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CINEMAバリQ

ワーキング・ガール(バブル世代が身震いするメラニー・グリフィス主演のサクセス・ストーリー)

ワーキング・ガール 映画あらすじ

頭が良く努力家でありながら、学歴が満たず出世が望めない秘書のテスが与えられるのは、やりがいのある仕事ではなくセクハラばかり。
そんな人生に行き詰まりを感じているさなか、恋人にまで浮気され、おまけに、独自の着眼点で得た情報とアイデアを盗まれてしまう。
怒り心頭に発したテスは、上司がケガをして休養している合間に、大胆な行動を開始するが…。

ワーキング・ガール 映画レビュー

メラニー・グリフィスといえば、この「ワーキング・ガール(1988)」と、裸満載のちょっとエッチなブライアン・デ・パルマのサスペンス映画「ボディ・ダブル(1984)」を思い出す。

情熱的な愛で結ばれたアントニオ・バンデラスとも離婚し、演技とは関係ないゴシップばかりで注目されてしまう今では信じがたいが、当時は本当にかわいくて色っぽい、小悪魔的な魅力と才能にあふれた女性だったのだ。

母親はヒッチコックの「鳥(1963)」で高い評価を得たティッピ・ヘドレン。そして、テレビドラマ「特捜刑事マイアミバイス」で人気だったドン・ジョンソンとのあいだに生れたのは、エロティックなテーマと描写が話題となった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015)」で主演を務めた若手女優ダコタ・ジョンソンだ。

そんな家族に囲まれ、ショービジネス界で生きてきた彼女が、最も輝いていたのが、この映画なのは疑いようのないこと。
役柄がピッタリとハマり、演技が高く評価されただけではなく、多くの働く女性から深い共感を得た。

ただ、個人的には、なんだか悪役だったシガーニー・ウィーヴァーが、かわいそうに思えた記憶がある。
なぜならば、当時のメラニー・グリフィスは絶対的にモテるタイプだから。

超ナイスバディで、触ると柔らかそうで、ちょっとおバカに見えて、かわいくて、喋り方が甘ったるくて色っぽい。
おまけに、実は頭がキレるって、「ちっくしょ、持ちすぎだろ」と遠吠えしたくもなるわけだ。
ハリソン・フォード演じるジャック・トレイナーと出会ったときの、酔っぱらったテスを演じたメラニー・グリフィスは、このうえなく魅力的だった。
これじゃあ男は黙って帰さんだろーにぃ~。

反面、シガーニー・ウィーヴァーは触ると骨がゴツゴツあたりそうで、(役柄なんだが)取っ付きにくいインテリ感丸出し。
ガーターベルト姿でセクシーに迫っても、残念ながらあまり色気を感じない。しかも、この映画では完全に人間としてダメな女性を演じていた。

「あんまりではないか~」と一筋の涙も流したくなるってもんだ。
まあ、それもこれも、「ゴーストバスターズ (1984)」以来、無条件に応援しているせいもあるが…。

とにもかくにも、社会で働いた経験があり、セクハラされた記憶があり(笑)、バリバリ仕事を頑張るも思うように進まず、会社のトイレや取引先のトイレで泣いた経験がある女性ならば、この映画に爽やかな感動を覚えずにはいられないだろう。
なおさら、自分のようにバブル世代なら、感慨深いものがあるはず。

パワーだけで押し切ることができた、バカで、大げさで、懐かしい時代。
今でもこの映画のメインテーマ曲「ステップ・バイ・ステップ(Let The River Run -Carly Simon)」を聴くと嬉しい鳥肌が立つ。
当時のことを思い出し、まだ何も恐れを知らない若さと時代感が心と身体を覆い、勇気が生まれるのだ。

この映画を観た当時の自分はペーペーなのにエグゼクティブな気分が高まり、映画のなかで描かれていたスタイルを真似て、通勤はあえてスニーカーに履きかえていた時期があった。
しかも、会社に着いてスニーカーから履きかえるのがピンヒールではなくペッタンコ靴なので、もはや意味を成していない。

この映画のなかで、メラニー・グリフィス演じるテスと、ジョーン・キューザックが演じるシンシアの髪型も肩パットも強烈だが、まさに80年代そのもの。
ただ、物語のなかでは、悩み多き秘書と、成功を手にした女性の服装やメイク、髪形は比較的ハッキリと区別されている。

この作品の魅力は、誰にでもチャンスがあるということと、希望と勇気を与えてくれる部分にある。そして、血が沸き立つほどの疑似“達成感”を味わえるのだ。

また、女性同士の友情も明るく楽しそうに描かれている。実のところ、現実の世界で真の友を見つけるのは難しい。
だからこそ、こんな友情に憧れを持つ人も少なくないのではないだろうか。
いい友達を演じさせたら右に出るものはいないジョーン・キューザックは、ユーモアたっぷりで頼もしく、気のいい最高の友人シンシアを魅力的に演じていた。

ちなみに、この映画ではテスの相手役を演じたハリソン・フォードが目立っているが、何気にブレイク前の俳優がわんさか出演している。

アレック・ボールドウィンに、ケヴィン・スペイシー、「Xファイル」でモルダー捜査官を演じたデイビッド・ドゥカブニー、個人的には「ガンシャイ(2000)」で演じたフルヴィオがかわいかったオリヴァー・プラットも。
今となっては、それぞれ貫録のある俳優さんになったが、その彼らが初々しく演技をしている様子を見られるのもお楽しみのひとつだ。

同時期にはマイケル・J・フォックス主演のサクセス・ストーリー「摩天楼はバラ色(1987)」が公開された時代。
そして、実はこの映画、今は存在しないワールドトレードセンターで撮影されていたとのこと。

なお、自分がキャリアを積むうえで、情報を得るのは新聞やニュース、堅苦しい本ばかりではなく、ゴシップでも映画でもドラマでも、マンガでも、思わぬ場所からアイデアが生まれ、知識が蓄積されるのだと思うようになったのは、この映画のお蔭だ。

そんなわけで、何から何まで、さまざまな想いがわきあがる作品なのである。是非ご賞味あれ。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

ワーキング・ガール(1988)

監督 マイク・ニコルズ
出演 メラニー・グリフィス/シガーニー・ウィーヴァー/ハリソン・フォード/アレック・ボールドウィン

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