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不良探偵ジャック・アイリッシュ 死者からの依頼(もしかしてガイ・ピアースがもっとも魅力的な作品)

不良探偵ジャック・アイリッシュ 死者からの依頼 あらすじ

依頼人の男に逆恨みされ、最愛の妻を奪われた弁護士のジャック・アイリッシュは、その悲惨な出来事のあと弁護士を引退し、借金の取り立てや競馬オッズ操作に加担するといった生活を送っていた。

そんなある日、かつてひき逃げ事件で弁護した男性が、ジャックの留守電に伝言を残したあと、まったく連絡が取れなくなってしまう。
その後、その人物が警官に銃を向け射殺されたと聞いて、不審に思ったジャック・アイリッシュは独自に捜査を開始する。

やがて、裏に潜む陰謀の陰が見えはじめるとともに、執拗な妨害がはじまる。

不良探偵ジャック・アイリッシュ
死者からの依頼 レビュー

この作品は、有名な探偵小説をテレビ映画化したものらしい。
これが第1作目で、3作目までが映画化されている。

通常よりも低予算の映画かもしれないが、全体に流れるクラシカルでアナログな雰囲気、そして、大人の粋な会話や、登場人物たちがなんとも魅力的だ。

それに、個人的にはジャック・アイリッシュというキャラクターが、ガイ・ピアース一番のはまり役ではないかとさえ感じている。

映画の冒頭で描かれていた”やり手の弁護士ジャック・アイリッシュ“は、いかにも嫌味な感じのホワイトカラーだ。
しかし、その過去があるからこそ、妻を殺されたあと無精ひげを生やしたダーティーなジャック・アイリッシュに変貌をとげても、実は知的であるということを観客に感じさせる。

それに、彼は決して荒れ果てた生活を送っているのではない。
温厚で部下を大切にする男ハリーと、その部下の男気あるキャムとつるみ、表街道ではないが生きるために金を稼いでいる。

そして、毒舌家だが根は優しい家具職人の爺さまに弟子入りしたり、フットボール好きな爺さまたちが集まるパブにたむろし、人生の賢者たちと穏やかな日々を過ごすという側面も持っている。

それに、人から今の職業を問われても、まったく悪びれず意気がることもせず「職業はギャンブルと酒」と答える。なんとも自然体なのだ。

また、妻を失ってから久々に女性と関わる際に、少しだけシャイな部分を見せ、そして素直で率直な気持ちをぶつけている様子にも好感が持てた。
女性の前で、失った妻のことで表情を曇らせるのはわずかなシーンにとどめており、その後、恋へと発展しても大人のサバサバした関係を保っているせいか、濡れ場が度々登場することも気にならなかった。

ストーリーには、警察から政治家から事業家から聖職者までもが絡んでくる。
ありがちな話ではあるが、テンポよく謎がひも解かれていくので観る側を飽きさせない。

犯罪ドラマ好きな人には、「愛着がわくお馴染みのメンバー」と「事件の謎解き」という2つの要素が組み込まれているので好まれやすいかもしれない。
ただ、いかんせんテレビ映画なのでスケール感は小さい。

しかし、全体に流れるクラシカルな雰囲気、人生の大先輩と女性に敬意を払うジャック・アイリッシュという男性の魅力、仲間の”粋”で力強い計らいが、いちいち心をグッとつかむ。
それに、やたらすぐ銃を出しドンパチやらずに、大事そうにケースから「スミス&ウェッソン」の銃を出す感じなども良い。

そして、バリバリのキャリアウーマンである新聞記者のリンダが、テーブルと、テーブルに置いてあるものを使って、きな臭い土地開発の概要をジャックに説明するレストランのシーンもいい。

新聞記者リンダ・ヒリアーを演じるマルタ・デュッセルドープは、決して絶世の美人ではないが知的な雰囲気にあふれ、ウィットに富んだセリフを発する声も良く、なおかつ色気もあるのでジャックが恋に落ちるのも納得できた。
2人が若くはなく、多くを経験した大人の関係を結んでいるために、会話が洗練されているのも魅力的だ。

爺さまたちとジャックの関係にホッとできる映画だが、ウゲッ!という刺激的なシーンも登場するし、ハダカ丸見えの濡れ場もあるので注意が必要だ。
子どもを寝かせてから、大人だけで気軽に楽しんで欲しい。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

不良探偵ジャック・アイリッシュ 
死者からの依頼(2012)

監督 ジェフリー・ウォーカー
出演 ガイ・ピアース/マルタ・デュッセルドープ/ロイ・ビリング

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