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マッドマックス 怒りのデス・ロード(生みの親ジョージ・ミラーによる27年ぶりシリーズ第4作目)

マッドマックス 怒りのデス・ロード あらすじ

核を用いた戦争により全てが汚染され、誰もが生きるために資源を求め、苦しみもがく荒廃した近未来。支配するもの、支配に身を任せるもの、身をひそめるもの、ただただ求めさまようものがいるなか、もと特殊警察のマックスは過去の幻想に悩まされながら、根幹に残る生存本能のみで生きながらえていた。

しかし、イモータン・ジョー率いる武装集団に捕らえられたことで、運命的に美女たちの壮絶な戦いに巻き込まれていく。

マッドマックス 怒りのデス・ロード レビュー

「マッドマックス」という映画シリーズは、80年代テレビで全米ヒットチャートをチェックするのが日課で、カセットテープでお気に入りミックスをつくっていた自分にとって、当時は「愛の魔力(What’s Love Got to Do with It)」がヒットしたティナ・ターナーが出演している映画(「マッドマックス/サンダードーム(1985)」)という印象だけが突出し、正直なところ内容についてはトンと詳しくなかった。

それも、自分がまだ若い女性だったからだろう。
当時は飲み会の席で年上の男性が「やっぱり男のなかの男はメル・ギブソンだよな~」と宙に視線を泳がせ吐き出すセリフに、若い女性群が「え~、そうかなあ~」という景色がごく普通であり、自分もその許容レベルだったからだ。

しかし、映画に魅了されながら歳を重ねてある日、シリーズのなかで最も評価が高い「マッドマックス2 (1981)」を観たときビックリしたことを今でも思い出す。

「なにッ!メル・ギブソンって、こんなにハンサムだったのッ!」
世の中の縦横や規則には一切従わない、ワイルドな不良おじさんが若かりし頃のいい男っぷりに驚愕したが、思いがけない大役に抜擢されたトム・ハーディはそんな驚愕どころじゃなかっただろう。

トム・ハーディが知名度を上げたのは「インセプション(2010)」かもしれないが、自分が彼を認識したのはガイ・リッチ―監督の「ロックンローラ(2008)」だった。
いたずらっぽいゲイのハンサム・ボブ役がやけに小悪魔!?でカワイくて魅力的だったのだ。

そのあと「ダークナイト ライジング(2012)」でいかついマスクをした肉肉段々な彼を見てズッコケたが、ハンサムなキャラを嫌う“ベニチオ・デル・トロ”タイプなのかと(勝手に)妄想し、さらにグッと(勝手に)株を上げた。

しかし、正直なところ、確かにトム・ハーディはハンサムでワイルドな部分もあるが、やはり、メル・ギブソンほど徹底的に悪ガキな内面が顔に出ておらず甘いマスクをしているのだ。
それゆえに、余計「ロックンローラ(2008)」で演じた、ある意味マックス役よりも不敵なハンサム・ボブ風の役柄が似合うんじゃないかと、そこに執着してしまう。

しかし、いずれにせよ、今回の「マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)」は傑作という呼び名が高い。
ストーリーはシンプルなので、もちろん予備知識無しでも楽しめるが、前3作を鑑賞し、キャラクターの背景を知ったうえで観た方が、より楽しめるかもしれない。

1作目は「近未来で妻子と友人を殺されたマックスら警官たちと暴走族との戦い」、2作目は「それから数年後、荒れ果てた世界でさまよっていたマックスがある一団の用心棒になったうえでの外敵との戦い」、3作目は「なんだか子供たちに慕われちゃったマックスと町で君臨する女支配者たちとの戦い」。

3作目で少し丸くなった感のあるマックスが、再び武骨でワイルドになって戻ってきたという感じだろうか。
この映画の魅力は言うまでもなく、砂漠のなかでのカーチェイス、バイオレンス、男臭さ、醜悪のなかに見出す美学、ヘヴィメタル的な攻撃性、そしてシンプルなストーリーにある。

理論的なものを求めるのは全く無意味であり、世界観に身をゆだねることが何より楽しむ方法だ。
そして、そのキャラクターを愛することも楽しみ方の一つだろう。

マックスという不動のキャラクターはもちろんのこと、今回は、ちょっぴり情けないけど憎めないニュークスもかわいかった。
ボスに陶酔したり、母性溢れる美女に恋する様子は、まるで中学生の男の子が色んなことに夢中になっているよう。
彼はあの「アバウト・ア・ボーイ (2002)」に出演していた男の子だ。

そして、荒れ果てた世界で逞しくも女神のようなビジュアルを持つ美女たちも必見。荒々しい世界だから美しく見えるのではなく、本当にキラキラした美女ぞろいだ。

「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン (2011)」などにも出演していたモデルさんほか、レニー・クラヴィッツの愛娘、エルヴィス・プレスリーのお孫さんなどがいる。
彼女たちの存在は、砂漠で砂に浸食された喉を潤おす感覚をもたらすだろう。

そして、特筆すべきはフュリオサ大隊長を演じたシャーリーズ・セロン。

彼女自身、実際に壮絶な過去をもつからか、いつでもその人並み外れた美しさのなかには“凄み”が存在する。
「モンスター(2003)」でその美貌を根本から変え挑んだ役者魂を見ればわかる通り、彼女がフュリオサ・ジョ・バサを最高かつ魅力的に演じることは、誰もが信じて疑わなかったのではないだろうか。
少なくとも私はそうだった。

正直に白状すれば、ドクロがいたるところに貼りつけられ、山海塾なビジュアルの連中がなんだか荒れ狂い、何故かギターを弾きまくる男や、太鼓をたたくものが乗る車を滑走させカーチェイスを行うシーンを楽しみにこの映画を観たというよりは、トム・ハーディという魅力的な俳優さんが演じるマックスと、性別を超えた女優シャーリーズ・セロンを見たかったというのが最大の理由だ。

荒れ果てた世界、醜悪な世界観、そして、そのなかに見えてくる美学と爽快感。
全身汚れまみれた刈り込み頭のシャーリーズ・セロンは、この世のものとは思えないほど、やはり美しかった。
是非ご賞味あれ。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)

監督 ジョージ・ミラー
出演 トム・ハーディ/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト/ヒュー・キース=バーン

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