【アントマン】
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」へとつながるマーベルコミック等身大キャラの映画
アントマン 映画あらすじ
刑期を終えたスコット・ラングは、前科があるゆえ職にありつけず、最愛の娘とも会えない危機に陥る。
そのため、出所したばかりでありながら、昔の刑務所仲間に誘われた危険な仕事を受けてしまう。
しかし、それは、自分がまさかの小さなスーパーヒーローへと変身をとげる道案内だった。
アントマン 映画レビュー
コミカルなマーベル作品だろうな~という、安易な予測はもちろん無理なく当たったが、想像以上にポール・ラッド演じるスコット・ラング(アントマン)や、マイケル・ペーニャが演じる刑務所仲間ルイスたちと、可愛い娘役の女の子がナイスだったため、この映画の株がよりグーンとあがった。
また、「亜原子粒子の世界」への想像を掻き立てられることも非常に興味深い。
のちにアントマンへと変身するスコット・ラングは、映画冒頭からダメダメな男として描かれているが、その反面、「能ある鷹だけど爪が隠れちゃってるの」的にも描かれている。
なぜって、スコット・ラングは電気工学の修士号を取得している元エンジニアで、物質の性質を熟知して(活用する場面の良し悪しは別として)応用できる頭脳も創造性もある。
しかも、鍛え上げられる前から、身体能力の高さを見せつけているのだ。しーかーも!意外にモテる。
そんな彼に、いちいち回りくどい説明をする刑務所仲間ルイスが、いつでもホイップクリームたっぷりのワッフルを焼いている状況も面白い。
どうやら、このルイスを演じるマイケル・ペーニャはマーベルといくつかの映画出演契約をかわしたらしい。
好きな俳優さんなので、これからのマーベル作品がますます楽しみになった。
そして、もうひとり今後が楽しみな可愛い子ちゃんはアビー・ライダー・フォートソン。
ダメダメな父親スコット・ラングを強く支持する頼もしい娘を演じているのだが、時おり意思の強さを感じる澄んだ目で、大人を威圧するほどのオーラを発することがある。
パパが好きで好きでしょがないといった様子がこのうえなく愛らしく、パパがくれた微妙に気持ち悪いぬいぐるみも「かわいい!」と言いきれる大らかさ、いや、もしかしてマニアックさもある。
そして、魅力的なキャラクター力に支えられているこの映画には、タイトル通りではあるが、想像以上にたくさんの蟻さんが登場する。
なんとなく、復讐に燃えるハエを描いたインド映画「マッキ-(2013)」を思い出したが、昆虫そのものが主役ではないのでマッキ-ほど感情移入しないだろうと思いきや…!お前はワンコか?と問いかけたくなるほどアントマンに忠実で甘えん坊な可愛い蟻さんが登場してしまう。
頼むから、こんな風に感情移入させるなら定番キャラクターにしてほしい。
なお、正直なところ、テレビCMで見せすぎなこともあり、個人的にアクション関係はホホ―ぐらいの感想だった。
それよりも、亜原子粒子の世界観の方がとても興味深かった。そもそも、人間はミクロ(原子レベル)の世界を体感することはできない。
とはいえ、原子は顕微鏡で立体視することが可能だ。しかし、亜原子粒子はその原子よりも小さいのだ。もう想像がつかないではないか。
だからこそ、この映画「アントマン(2015)」で描かれている原子より小さい幻想的な世界はもちろん想像上のもの。
それでも、「もしかして、こんな風かもしれない…」と感じてしまうのは、ミクロを超えた世界は、我々がごく普通だと考える物理的な法則が通用しないからだ。
映画のなかのセリフにもあるが、今自分たちが目にしているもの全てが「無」になってしまうような世界なのだ。
それに、ミクロの世界には量子力学のテキストでお馴染みの「二重スリット実験」がまとわりついており、そこにはもれなくパラレルワールド(もうひとつの全く同じ世界の存在)がついてくる。
そんなこともあり「アントマン(2015)」は、マーベルコミック映画のなかの(小さいけど)等身大キャラを親しみやすく描いた映画というだけではなく、物理学ファンやSFファンの関心を集める映画であるに違いない。
そして、忘れてはならないのが脚本を担うのは、サイモン・ペッグとニック・フロスト2人のコンビが微妙な笑いをブチかます「ショーン・オブ・ザ・デッド (2004)」「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン! (2007)」「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (2013)」の監督・脚本をこなしたエドガー・ライトだ。
そんなわけで、“笑い”の部分もこうご期待あれ。
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
アントマン(2015)
監督 ペイトン・リード
出演 ポール・ラッド/マイケル・ダグラス/エヴァンジェリン・リリー/コリー・ストール
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