【クーデター】なんだかホラーを感じると思ったらジョン・エリック&ドリュー・ドゥードル兄弟作品だった
クーデター 映画あらすじ
会社が倒産し職を失ったジャックは、愛する妻子を養うため新たな仕事に就く。
その仕事とは、東南アジアで水道の支援事業を行うというものだった。
再起をかけたジャックは、家族を連れて言葉もわからない国に海外赴任することを決意。
しかし、赴任当日は迎えに来るはずの人間もなく、翌日になっても現地の会社から何の連絡も入らない。
情報を得るためホテルを出たジャックは、そこで信じがたい光景に出くわす。
それはまさに、その国にいる欧米人が、絶望的な危機に晒されていることを示す光景だった。
クーデター 映画レビュー
映画冒頭は、いきなりこの物語の核心が詰め込まれた「事」が勃発するシーンから始まる。
某東南アジアの国のトップと、水道事業を行う側の人間と思われる欧米人、そして、その社名と、ある部類の男たち。
それらの伏線を一挙に見せられたあと、平和な空気に包まれたジャック家族が現れると、「ああ、頼むから、そのかわいい娘たちを連れてその国になんか入るなよ~」と誰もが思うだろう。
しかし、もちろんその家族が入国しないとこの物語は始まらない。
この作品は、その愛すべき4人家族が、言葉も文字もわからない海外赴任先で起こったクーデターに巻き込まれながら、徹底的に危機を逃れまくる決死のサバイバル映画なのだから。
しかし、鑑賞を進めるうち、ふと気付くことがある。
「わぁ~…見つかる、見つかる…ギャー!!見つかったーー!」的な心拍数の早まり方が半端なく、そして、その感覚がとてもホラー映画に似ているのだ。
それは、つまり…この作品はホラー映画並みに鑑賞するだけでダイエットできる、ということでもある。
何故ならば、ウエストミンスター大学の科学者たちが行ったリサーチ結果によれば、「ホラー映画はアドレナリン放出により心拍数・呼吸数・体温が上昇するためカロリー消費できる」らしいのだ。
ちなみに、ホラー映画90分の鑑賞で200カロリーほど消費するとのこと。
…でも、伝えたいのはその部分ではなくて、「クーデター」という邦題だけに社会派サスペンスかと思いきや、「とにかく観客をハラハラドキドキさせたれや」というホラー的な意気込みを感じる潔い映画だったということだ。
まあ、それもそのはず、この映画は、「REC:レック/ザ・クアランティン(2008年)」「デビル(2010年)」「地下に潜む怪人(2014年)」といったホラーを手掛けた、ジョン・エリック&ドリュー・ドゥードル兄弟作品たっだのだ。
今作品に複雑なストーリーはなく、実際に起きた「事件」と、その原因をか~なり大雑把に説明するシーン以外は、もはやゾンビにしか見えない反乱軍がどこもかしも制圧し、4人家族が追い詰められていくというもの。
もちろん、「クーデター」と「水のインフラ」が絡むあたりはリアリティがある。
そういえば、「マッドマックス 怒りのデス・ロード (2015)」でも暴力的な支配を行う軍団は、やはり「水」を支配していた。
ちなみに、「水」が枯渇してしまうと、移民がほかの民族の土地に入り争いが起こるため、「中東の平和は雨の降る量次第」と専門家は伝えている。
人間にとって必要不可欠な「水」は、往々にして紛争の原因にもなりやすいのだ。
また、この映画では舞台となる国をわざと特定せず、かかわる欧米の国や、諜報機関についても曖昧にしている。
つまりは、それほど扱う内容がデリケートであり、影響力があるということなのだろう。
物語の途中、頼もしくも哀愁を感じるプロフェッショナルな助っ人がたびたび登場するが、もはやゾンビみたいな反乱軍の追跡は一向に弱まらない。
劇中で「彼ら(反乱軍)も家族を守ろうとしている」というセリフがあるが、百歩引いても、ゾンビとしかいいようがない残忍さを見せつける。
しかし、そこで発揮するのが、ジャック一家の“超越的な運の良さ”だ。
「ありえへん」という状況ながら、ジャンプして、投げて、隠れて、潜んで、危機一髪ともなれば助っ人登場。
とにかく、アッパレといわざるを得ない危機の脱出っぷりを数えきれないほど披露し、終盤に見せるママの強さと、パパの機敏な銃さばきには、とうとう「お前らはプロか」といいたくなるほど。
そう、つまり、この映画は、強運過ぎて各国からスカウトがきそうな家族のサバイバル・ストーリーである。
そして、変な話、ゾンビ映画好きならばチョッピリこの映画を気に入るかもしれない。
ただ、やはりピアース・ブロスナンは「ダーティ」ではなく、「ダンディ」がよく似合う。
ちなみに、今作品ではダーティだった。
映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。
クーデター(2015)
監督 ジョン・エリック・ドゥードル
出演 オーウェン・ウィルソン/レイク・ベル/ピアース・ブロスナン/スターリング・ジェリンズ
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