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CINEMAバリQ

【フライド・グリーン・トマト】
キャシー・ベイツとジェシカ・タンディ共演のホラー要素を含んだ爽快な映画

フライド・グリーン・トマト 映画あらすじ

子供が独立し夫婦2人の生活を送るエヴリンは、妻に無関心で横柄な夫に内心うんざりしていた。
そんなある日のこと、叔母がいる老人ホームを訪ねたとき、エヴリンは老女二ニーに出会い、彼女が語る昔話に心酔していく。

二ニーの物語の舞台は数十年も前の閉鎖的な南部アラバマの小さな町。
忌まわしい因習に立ち向かう、勇敢な白人女性2人のお話だった。

フライド・グリーン・トマト 映画レビュー

アメリカ南部といったら、すぐに人種差別という言葉が頭に浮かぶ。
ディープサウス(Deep South)と呼ばれるアメリカのアラバマ州では、いまも平然と南部連合旗が掲げられ、黒人が人種差別主義者に虐殺されるという事件が勃発している。

なおさら、この映画の舞台のひとつは30年代。
閉鎖的かつ猛烈な差別主義がはびこっていたアラバマ州の小さな町で、2人の女性が巻き起こした愛と勇気の嵐は、並大抵の覚悟ではできないものだと想像できる。
それを、名女優たちが力いっぱい演じているので、観ている方は否応がなく「勇気」をもらえるのだ。

物語のなかでも、そんな昔話をジェシカ・タンディ演じる「二ニー」に聞いた、悩める主婦「エヴリン(キャシー・ベイツ)」が俄然勇気を噴火させ「トゥワンダ~!」と叫びならがら、ガンガン自己改革を起こしている。

二ニーの昔話に登場する2人の女性はイジ―とルース。2人とも最愛の男性(同一人物)を失った過去がある。
閉鎖的な町で、イジー(メアリー・スチュアート・マスターソン)は、どんなに迫害を受けても差別を忌み嫌い、どんなことをしてでも貧しい人々に全てを分け与えることを止めない。

彼女とは、友人以上とも思える絆を結んでいるルース(メアリー=ルイーズ・パーカー)も、イジ―と同様の心を持ち、どんな人々とも愛にあふれた交流をしている。
彼女を密かに愛するスモーキーのひた向きな姿に心が締め付けられたが、それもこれも、ルースが愛にあふれた女性だったからだ。

現代と過去が交差し、心を塞ぎかけた人々が立ち上がり、観る者に勇気を与える映画。
このように、この大筋だけでも十分映画は見応えあるものだ。
しかし、この映画がこれほどまでに多くの人々の記憶に残ったわけは、他にもあると思う。

それは、ある意味この手のストーリーのタブーを、2~3壁ぐらいブチ破った部分である。「まさか」という強烈なブラックユーモアが展開されるのだ。

しかしながら、もはやホラーかと思えるような内容も、いっそのこと深く考えなければ爽快感につながる。
自分たちだけが優れているという愚かで残虐な差別主義者に対し、同情の余地は原子より小さい亜原子粒子ほどもない。つまりゼロだ。

ちなみに、最初はモジモジ君みたいに泣き虫で優柔不断だった主婦のエヴリンが、バリバリ活動的な猛烈主婦に変身したときに叫ぶ「トゥワンダ~!」とは、かつてアメリカ南部の黒人たちが使っていた挨拶の言葉らしい。
その言葉を繰り返しながら、嫌味なイケイケ女たちの車をボッコボコにしていたシーンは大いに爽快だった。

また、裁判シーンにおける、聖書の話もユーモアにあふれていた。
そして、何か物言いたげな演出が所々に散りばめられ、観終わったあとは「なんだこの作品は…!こんな物語だったのか…!」と驚いてしまう。

なお、裁判のシーンでルースがイジ―との関係を聞かれ、しばし言葉を詰まらせる場面がある。
これが、この映画の精いっぱいの演出だったのだろうか。
映画の原作となった『Fried Green Tomatoes at the Whistle Stop Cafe』のなかでは、どうやらイジ―とルースの特別な関係性がしっかりと描かれているようだ。

だが、その情報を知る前から、イジ―が女性でありながら男性のようなスタイルを貫いていたのは、反骨精神だけではなく、彼女の本質そのものだったのではないかと想像することができた。

彼女たちの関係性を映画でバッサリ切り落としていたことに腹を立てた人もいるようだが、裁判シーンでルースが言葉を選ぶ演出のみに留めたのは、むしろリアル感があり良かったと思う。
閉鎖的な30年代は、同性を愛してしまった当人たちも戸惑うことが多かったであろうから。

しかしながら…本作のタイトルでもあり、イジ―と二ニーが開いた「ホイッスル・ストップ・カフェ」の名物料理フライド・グリーン・トマトという料理は、そ~んなに美味しそうには見えなかったかな。
とりえず、バーベキューの方は強くご遠慮申し上げておこう。

ライター中山陽子(gatto)でした。

フライド・グリーン・トマト(1991)

監督 ジョン・アヴネット
出演 キャシー・ベイツ/ジェシカ・タンディ/メアリー・スチュアート・マスターソン/メアリー=ルイーズ・パーカー

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