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CINEMAバリQ

【殺し屋チャーリーと6人の悪党】
いつものサイモン・ペッグとは少し違うブラック・コメディ・サスペンス

殺し屋チャーリーと6人の悪党 映画あらすじ

殺しも請け負う冷酷非道な便利屋チャーリー・ウルフは、ある男から「妻を殺してほしい」と依頼を受ける。
しかし、チャーリーが着々と準備を始めるにつれ、海沿いの美しい街にはびこった「悪」の姿があらわになっていく。

裏切りと確かな愛が交差する街で、チャーリー・ウルフが目にしたものは…。

殺し屋チャーリーと6人の悪党 映画レビュー

サイモン・ペッグ主演ということで、心からどうでもいいブラックな笑いを期待して観たら、確かにブラック・コメディではあるが、想像していたものとは少し様子が違った。

サイモン・ペッグが凄腕の殺し屋と銘打たれた時点で、スティーヴ・カレルが演じた【40種類もの言語を自在に操り脅威的な分析能力を持ちならがら、地球規模の天然ドジおじさんマックスウェル・スマート(『ゲットスマート(2008)』)】を思い出したので、「人がいい殺し屋を演じるのかしら」と思いきや、そうではなかったのだ。

基本的に、この『殺し屋チャーリーと6人の悪党(2014)』に登場するキャラクターは、ほとんどが様々な「悪」をかかえている。
しかしながら、「いろんな悪党のキャラクターが、いろいろ登場しちゃうんだぜ」的なDVDのパッケージ・デザインは少々いただけない。

強烈というよりは、猛烈に濃いキャラクターで喉が渇くほどの『スモーキング・エース(2007)』ならば、なるほどキャラがすべて立っているので理解できるが、どちらかというと、この『殺し屋チャーリーと6人の悪党(2014)』の面白さは、とてもシニカルにそれぞれの思惑が交差し、リンクしてしまうことだ。
もっと、もっと、クールなデザインにしてしまって良かった気がする。

美しい海辺の街の景色が、ときおりバイオレンスに揺さぶられ、血しぶきで汚される。
だれもが身勝手かつ暴力的で不快感きわまりないが、バラバラに散らばったピースが小気味よくカッチリはまっていく展開と、チャーリーの呑気な携帯の着信音、ちょっとご機嫌な音楽に引きこまれていく。

そして…再びすべてが時を止めたような美しい海景色に覆われ、血しぶきを見たことが嘘だったかのように記憶を塗り替えていく。
ついには血なま臭さまで心地よい海風にさらわれ、登場人物たちが見せたうんざりする悪行を忘れさせてしまう。
実のところ、この映画はある意味、愛の物語でもあるのだ。

とはいえ、爽快感とその余韻はもちろん味わえない。非常~に不愉快だと感じる人も少なくないはず。
唯一「悪」のなかに咲く「真実の愛」においても、共感できる人が多いとは思えない。

ただ、筆者の個人的な意見としては、決していつもの大好きなサイモン・ペッグではないが、こんなサイモン・ペッグも時折はいいかもしれないと感じた。
それに、物語はテンポが良くて面白いし、美しい景色には不可抗力で癒される。
ラストシーンはクッと笑いを誘い「あ、やっぱりサイモン・ペッグだ」と思わせてくれる。

ちなみに、サッカー選手ネイマールと同郷の女優さんアリシー・ブラガのことはあらゆる映画で目にしているが、今まで観たなかでは今作品が一番魅力的にみえた。

もしかして、海辺のホテルやスパニッシュ・ローズの服がこのうえなく似合っていたせいかもしれない。
あんなピンクが似合うとは、さすがはラテン系だ。

そして、悪女を演じたテリーサ・パーマーは相変わらず可愛らしかったけれど、やはり彼女は『アイ・アム・ナンバー4(2011)』のナンバー6役で見せた超絶アクションをかましている姿が一番魅力的だと思う。

ライター中山陽子(gatto)でした。

殺し屋チャーリーと6人の悪党(2014)

監督 クリフ・ステンダーズ
出演 サイモン・ペッグ/アリシー・ブラガ/テリーサ・パーマー/サリバン・ステイプルトン/ルーク・ヘムズワース

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