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CINEMAバリQ

【誰かに見られてる】
痩せていたころのトム・ベレンジャーとスティングの歌声と夜景に酔いしれる映画

誰かに見られてる 映画あらすじ

あるパーティーで殺人事件を目撃してしまったクレアは、上流階級で暮らすゴージャスな女性。
護衛についた刑事のマイクは、元警官の妻と一人息子との幸せな家庭を持つ、素朴で野性味あふれた男性。

野放しの殺人犯による危険が迫るなか、真逆の環境で生きてきた2人は、徐々に惹かれあっていく。

誰かに見られてる 映画レビュー

ウットリするようなニューヨークの夜景と、優しく切なくて、艶っぽいスティングの歌声。それが、この映画すべてを物語っている。

当時この映画を鑑賞したときに生まれた感情とは裏腹に、アルコールで少し熱くなった気持ちをカクテルグラスに遊ばせ、それを目線で追いマッタリしているような、色っぽい感覚が頭に染みついた。
そして、「Someone to Watch Over Me」が流れるたびに、そんな感覚が蘇る。

監督はリドリー・スコットだが、もちろんSFではないし、男臭い映画でもない。
心に刻まれるようなロードムービーでもないし、クライム・サスペンスとも言い切れない。
軸になるのは殺人事件であり、主人公は刑事という設定ではあるが、この映画「誰かに見られてる(1987)」は、サスペンス要素を含んだ大人の恋愛映画なのだ。

もちろん監督は男性なので当たり前だが、この映画が女性の目線で作られていないのは明確である。
強気でチャーミングな下町の女と、瞬時に心を奪われてしまいそうなほど洗練された都会の女、そんな相反する2人の女性の間で揺れ動くなんて、「男の夢」以外の何ものでもないだろう。

かつてはトム・クルーズの妻でもあったミミ・ロジャースが演じるクレアは、超セレブでゴージャスで、知的で上品でセクシーな女性。
ここまでいったら、普通はむしろ男性の気が引けてしまうというもの。

しかし、主人公のマイクは護衛という任務のため、不可抗力で始終一緒にいることになる。
そうなれば、いくら近づきがたい完璧な女性でも弱々しく見えて守りたくなるし、親しみがわくような姿を見せられたら、そのギャップにガツンとやられてしまう。

「素敵だから一回観てみて」と80年代当時、会社の先輩に勧められ鑑賞したのだが、実をいうと、そのときの第一印象は“不愉快さ”だった。
至極まっとうな「不倫はいけません」なんて感情がわいたわけでは毛頭ない。

ただ、映画を観進めていくうち、ロレイン・ブラッコ演じるマイクの妻エリーの方に好感を抱いたからなのだ。
大人の女性なのに無邪気で愛らしいエリーを裏切り、知的・セクシー・超セレブ・おまけに感じが良いという3拍子以上揃ったクレアにうつつを抜かすマイクに、ムカーッとしただけの話なのだ。

無邪気なエリーがいつものように冗談ぽく「クソ」という言葉を使うと、すっかり上品なクレアに感化されたマイクが不愉快そうに注意を促す。
なんで、そんなこと言うの?とエリーは言う。
女の勘は鋭いのだ。

最終的にはサスペンスらしいハラハラするような展開になるが、この映画の肝は、やはりそこじゃあない。
宝石箱のように輝くニューヨークの摩天楼の片隅で、密かに咲いた大人の恋。

ドロドロした恋愛映画ではないし、血なまぐさいサスペンスというわけでもない。
ただただ、身勝手な男の想いに翻弄された女の切ない愛だけが、宙を舞って彷徨う。
ラストシーンで見せたクレアの表情が、脳裏に染みついて離れない。

まあ、正直なところ主人公にはイライラしたものの、結局、ニューヨークの夜景と、「Someone to Watch Over Me」という心に響くスタンダードなメロディが、この映画を特別なものへと変えてしまった。

全国の主婦を敵に回しかねない主人公のマイクを演じたのは、「プラトーン(1986)」「山猫は眠らない」シリーズのトム・ベレンジャー。
軍人や傭兵を演じさせたらピカイチの役者さんなので、この映画でもガッツリやってくれるかと思いきや、残念ながら違った。

ただ、少し前アメリカのドラマ「MAJOR CRIMES〜重大犯罪課」で見かけた姿は過激に太っていて、トム・ベレンジャーの上に、ひと回り大きいトム・ベレンジャーの着ぐるみを着ているみたいだったので、スリムでセクシーだったころのトム・ベレンジャーさんを堪能するには、今作品は最適かもしれない。

ライター中山陽子(gatto)でした。

誰かに見られてる(1987)

監督 リドリー・スコット
出演 トム・ベレンジャー/ミミ・ロジャース/ロレイン・ブラッコ/ジェリー・オーバック

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