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CINEMAバリQ

【ロンドンゾンビ紀行】
「ショーン・オブ・ザ・デッド」への多大なリスペクトで生まれた映画

ロンドンゾンビ紀行 映画あらすじ

テリーとアンディー兄弟の祖父レイが入居する老人ホーム「ボウ・ベル」は、不況のあおりを受け閉鎖を余儀なくされていた。
それを知った2人の兄弟は、祖父や親しくなった老人たちを想い、ホームの運営が継続できるよう銀行強盗を決行する。

しかし、そのとき既に、どういうわけかロンドンはゾンビだらけの状態に…。

ロンドンゾンビ紀行 映画レビュー

この「ロンドンゾンビ紀行(2012)」は、思わず「なんで、そうなるの?!」とコント55号の決めゼリフをいいたくなるような映画だ。

孝行な孫たちが祖父を救うため発想したのが銀行強盗という時点から、すでに頭のなかを大量の疑問符が飛び交ったのに、加えて街がゾンビだらけなのだから。
おまけに、ゾンビと戦うのは知能的でも肉体的でもない人のいい兄弟と、最高にクールなお年寄りたちなのである。

ああ、本当に、こんな映画が大好きだ。

不思議と数多くのファンを生んだこの映画は、3人揃ったらホラー・コメディなエドガー・ライト監督、サイモン・ペッグ、ニック・フロストによる「ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)」への多大なリスペクトで生まれたらしい。
そもそも「ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)」も、彼らが崇拝するホラー映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督が、世界にその名を知らしめた「ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)1979」のパロディである。

そして、もちろんのごとく「ショーン・オブ・ザ・デッド(2004)」同様、この作品にも微妙な笑いがあふれている。
昔ながらのスローモーションな動きをするゾンビは、武装した警官隊を全滅させるパワーがあるくせに、歩行器を押しながら逃げるお年寄りに、まったく追いつけない。
ハラハラドキドキするよりも、低く微妙な笑いが地を這い徘徊しつづける。

いや、面白いんだけど…なんだか物足りない空気が蔓延してきたので、「ま、まさか、ずーっとこれで押し切る気か?!」と不安がわいてきた矢先、ゾンビよりわずかに動きが早いだけの爺ちゃん婆ちゃんたちが、覚悟を決めてブチかまし始めるあたりから、最高にクールな展開を見せていく。

テリーとアンディー兄弟が、守っているのか守られているのかわからないクールなお爺ちゃんを演じるのは、イギリスのテレビ業界では有名なベテラン俳優アラン・フォード。
ガイ・リッチー監督の「スナッチ(2000)」で、裏ボクシングの元締めブリック・トップを演じていた姿が印象的だ。

そして、そのアラン・フォードとちょっぴり微笑ましい関係のエレガントなお婆ちゃんは、「007 ゴールドフィンガー(1964)」で超セクシーなボンド・ガールを演じたオナー・ブラックマンだ。
すっかりお婆ちゃんになったが、やはり相変わらず美しい女性である。

ラストは「よっしゃー!」と思わず拍手してしまったし、地べたを這うような“底おかしさ”に寝ころびながら楽しく鑑賞することはできたが、正直にいえば、この映画が最高に面白いと手放しではいいがたい。
途中ところどころで飽きそうになった気もするし、ゾンビに囲まれ試行錯誤する辺りはまどろっこしくてイライラする感もある。

しかし、この映画が好きなのは、頑固なほどのバカバカしさと、高齢者の悲哀がミクロほども描かれていないことだ。
人生の大先輩には、若い連中に媚びることなく不敵に生きてほしい。
俺たちがお前らを守ってやるぐらいの勢いで、長年の経験で培った熟練の勘と判断力、そしてスッとぼけ術で、如何なる困難も乗り切って欲しいのだ。

ライター中山陽子(gatto)でした。

ロンドンゾンビ紀行(2012)

監督 マサイアス・ヘイニー
出演 ハリー・トレッダウェイ/ラスムス・ハーディカー/アラン・フォード/オナー・ブラックマン

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