4月の平均買取価格 6501円
平均買取点数85点、お客さま1件あたりの平均買取実績です。

CINEMAバリQ

【クライアント・リスト ザ・ムービー】
売春スキャンダルの実話をもとにした全くドロドロしていない映画

クライアント・リスト ザ・ムービー 映画あらすじ

美人コンテストで優勝した経験を持つサムは、3人の子をもつ魅力的な母親である。
しかし、フットボールの花形選手だった夫が怪我で働けないため、家計はもはや火の車。

そこで、サムがなりふり構わず仕事を探したところ、意外にも即座にマッサージサロンで採用が決まる。
これで家計を支えられるとサムは安堵したが、そのサロンが行うマッサージの正体を知り、愕然となる。

クライアント・リスト ザ・ムービー 映画レビュー

この映画は、2004年にテキサス州オデッサで実際に起きた売春スキャンダルを、ファミリードラマ風に脚色した作品である。
そのため『売春スキャンダル』というダーティーなテーマとは程遠い、少し“ほのぼの”としたような空気が漂っている。

また、ライトな仕上がりのテレビ映画なので、気軽に観るぐらいが丁度よい。
ちなみに、設定が似たドラマ版もあるが、映画とのつながりはない。

売春だのドラッグだのといった題材なので、家族団らんでの鑑賞にはそぐわないが、濡れ場は一切出てこないし、裸も都合よく隠されている。

それよりも、明確に見えてくるのは…
輝きに満ちあふれた時代を過ごしたのち、理想を打ち砕かれ、
残酷な現実に直面した夫婦の姿だ。

美人コンテストの優勝者と、花形フットボール選手。
さぞかし周囲の憧れの的となり、鼻高々な日々を過ごしてきたことだろう。

それに、サムは美しくセクシーなだけではなく、頭の回転が速く、記憶力が人並み外れている。
サムの記憶力のよさは、のちに売春スキャンダルとしてメディアに注目される大きな要素のひとつなので、冒頭から何度もフォーカスされている。

しかし、やがて2人の勝ち組カップルは、転落の一途をたどる。
正確にいえば、本当に転落していくのはサムのみだ。
とはいえ、運命共同体の家族も一緒に落ちていくのは必然である。

銀行からの差し押さえ寸前の状況、仕事ができず自己嫌悪に陥り、酒に飲まれてしまう夫の姿、使用停止のクレジットカードと、1ドル札しか入っていない財布、金銭的な問題からフットボールもできない息子の姿を目にして、サムは自らが犠牲になってお金を稼ぐことを決意する。

この時点では、誰も彼女を責めることはできないだろう。

基本的に、彼女はまだ幼い3人の子供を育てているので、時短で効率よく稼ぐ必要がある。
また、住む街も歩けば知り合いに当たるような田舎なので、仕事がざらにあるとも考えにくい。

なおさら、その状況で必要となるお金は、決して小さくはないようだ。
それに、チヤホヤされて生きてきた彼女が初めて人生に行き詰まったのだから、「もう自分に残されたのは『女』という武器しかない」と思い込んでしまうのも、無理はない。

だが、家族のために、低賃金でも真っ当な仕事に就いた夫や、母を心から信頼し懐く子供たちを前にしても、その怪しい仕事を辞めないサムの姿に疑問符が舞いはじめる。
そもそも、もう十分稼いでいるはずだ。

結局、短時間で大金を得て贅沢をするという感覚に、サムはマヒしてしまったのである。

ただ、のちに彼女の口から、その仕事に引き留めておいたものが、『お金』だけではなかったことが語られる。
そのサロンでサムは、誰からも注目されキラキラと輝いていた『昔の自分』に再開したのだ。

しかし、どんな理由があろうとも、サムは過ちを2つも犯してしまった。

とはいえ、転落していく様子は、目も当てられないほどドロドロに描かれてはいない。
時折ユーモアを交えつつ、物語は軽快に進んでいく。

軽~いハラハラドキドキがいくつかあり、やがて爽やかにラストを迎える…といった感じだ。

そのサムを演じるのは「ラストサマー(1997)」のジェニファー・ラヴ・ヒューイット。
エッチなロリータ風からSMの女王風な衣装までよく似合い、その小柄な体系にはそぐわないほどの豊満なバストで魅了していた。

ただ、家族のために仕方なく売春をはじめる主婦のわりには、最初からサムはやたらケバいしエロい。
正直、物語をたどらなければ“落ちていった境目”がわからないほど、ずーっとケバいしエロい。
それに、就寝中も “つけまつ毛”バッサバサだ。

まあ、そんな不自然さには目をつむり、軽い感じで鑑賞するのが一番なのだろう。

なお、サムの母親を演じるのはシビル・シェパード。
この映画公開当時は60歳前後だと思うが、とても洗練されていて美しい。

彼女は、ロバート・デ・ニーロの「タクシードライバー(1976)」で、トラヴィスが言い寄るベッツィーを演じた女優さん。
「こちらブルームーン探偵社」というドラマでは、ブルース・ウィリスとも共演している。

その彼女と、ジェニファー・ラヴ・ヒューイットが演じた母娘関係は、アッケラカンとしながら愛情深い、心地いい距離感だったと思う。

ライター中山陽子(gatto)でした。

クライアント・リスト ザ・ムービー(2010)

監督 エリック・ラニューヴィル
出演 ジェニファー・ラヴ・ヒューイット/テディ・シアーズ/シビル・シェパード/ソニヤ・ベネット

エリック・ラニューヴィル監督作品の買取金額の相場はこちら
ジェニファー・ラヴ・ヒューイット出演作品の買取金額の相場はこちら
シビル・シェパード出演作品の買取金額の相場はこちら