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CINEMAバリQ

【ハード・トゥ・ダイ】
ギャグなのか本気なのか考える間もなくダイ・ハードでノンストップな映画

ハード・トゥ・ダイ 映画あらすじ

シカゴ警察のブーマーは、潜入捜査中に正体を知られ、信頼する仲間を失ってしまう。
その後、すっかり嫌気がさした仕事を辞めて、愛する恋人ケリーのもとへと向かう。

途中、強盗に合いすべてを奪われるも、たまたま通りがかった探偵のフラッシュによって助けられる。しかし、安堵したのも束の間、その出会いが、ブーマーを窮地へと追い込んでいく。

ハード・トゥ・ダイ 映画レビュー

久々に、ものすごい映画を観てしまった。なにがすごいかというと、ギャグなのか本気なのか、まったくわからないという部分だ。
そして、主人公が伝説レベルに達するほど不運で不死身なこと。

映画は容赦なくワイルドにはじまる。観客や、女子供に気づかわない男臭い雰囲気だ。
無意味にも感じるセリフのやりとりを聞かされながら、主人公らが、これから危険に飛び込んでいくと想像させ、緊迫感をあおる。

そして、ここから不死身伝説がはじまるのだ。
そもそも、主人公のブーマーは銃の構えが甘い。ピシッと停止できず、なんとなくプルプルしている。

それは、数々の出来事に痛めつけられ、男としてすっかりワイルドになったあとも、まったく変わらなかった。
タイマンで銃を向けあう“ここぞ!”というキメのシーンでも、相手の腕にぶつかった銃口がフラフラしていた。

だが、そんな状態でも、ブーマーに弾は当たらない、ブーマーだけは殺されない、ブーマーは助けられる、ブーマーは逃げ切れる、ブーマーは窮地に立たされ目を閉じて空を仰いでも、絶対に撃たれない。

そして、天才的なお人好しで、絶望的に不運だ。

恐らく、不運部門では「ダイ・ハード」シリーズのジョン・マクレーンをはるかに超える。
不条理率もトップレベル。ただし、スケールは小っちゃい。

ブーマーは強盗にあう、ブーマーはどんどん巻き込まれる、ブーマーは誤解される、ブーマーいやなのに頼まれる、ブーマーすぐ最悪の状況になる、ブーマーはまったく関係ないのに助けに行く、ブーマー便器に突っ込む、ブーマーは簡単に裏切られる。

観ていて涙がこぼれそうになる。
しかし、不死身なので心配なし。

物語がすすむにつれイケメン君は、どんどん心も体も服もボロボロになっていく。
やがて、潜入捜査のときには下手っぴだった、汚い言葉づかいも上手になってくる。
しかし、そのセリフを放つときの表情も、ビックリするほど迫力がない。

とはいえ、この映画には、いろんな意味で“どうしようもない”魅力が猛烈に詰まっている。
主人公が困難をクリアしていく面白さというよりは、間違いなく「そんなアホな」という部分だ。

それに、ニヤリとしてしまうようなこだわりも見える。

探偵のフラッシュが、きれいとはいえない車のなかに仕込んでいた、ホテル並みの朝食や、タランティーノやロドリゲスを感じさせる、手づくり感たっぷりの武器などだ。

そして、なんといっても強烈だったのは、確信犯か偶然か判断しかねる、格闘シーンの途中に出現したコントみたいな場面。

壁に頭を突っ込んだ状態で「何見てるんだよ」といわれたときには、「8時だよ全員集合」を見せられている感覚に陥り、頭が混乱してしまった。

なぜあのワンシーンをつくったのか、まったくわからないが、とにかく、この映画のなかで最も見てほしい部分である。一瞬だけど。

この作品の監督・脚本は、主人公のブーマーを演じたスコット・ワイパー。

彼はこの作品以外にも、本物のプロレスラーを主人公に置いた筋肉系アクション映画などで、監督や脚本をこなしている。

この経歴は彼の風貌と一致しなかったが、プロレスラーらと同等の体格で、ガッツリ手やら肩やら組んで満面の笑みを浮かべているスコット・ワイパーを見ていると、映画づくりと格闘技が大好きな少年の心をもつ、とても素直な人物に思えて好感がもてた。

彼のそういった部分が、この映画には表れていたのかもしれない。スコット・ワイパーの「こうしたい」「これがいい」が、策略なく素直にぜんぶブチ込まれているような感じだ。

また、出演している俳優陣もなかなかのもの。

すでに「スピーシーズ」シリーズで有名になっていたナターシャ・ヘンストリッジをはじめ、ルー・ダイアモンド・フィリップスに、ジョー・パントリアーノ、おまけに「ピースだぜ」というオジサンは、同年に公開した「オーロラの彼方へ(2000)」にも出演していたアンドレ・ブラウアーだ。

危機的状況のなかで、美しすぎる恋人とイチャイチャするシーンは要らんかった気がするが、まあ、格闘技アクション大好きスコット・ワイパーの「だってナターシャ・ヘンストリッジとラブシーンやりたかったんだもん」という素直さに免じてよしとしよう。(あくまでも勝手な想像)

ライター中山陽子(gatto)でした。

ハード・トゥ・ダイ(2000)

監督 スコット・ワイパー
出演者 スコット・ワイパー/アンドレ・ブラウアー/ルー・ダイアモンド・フィリップス/ナターシャ・ヘンストリッジ

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