【エージェント・ウルトラ】
ジェシー・アイゼンバーグの最強?エージェント物語
エージェント・ウルトラ 映画あらすじ
美しい恋人フィービーと一緒に暮らすコンビニ定員のマイクは、気楽ながらパッとしない人生を送っていた。
フィービーと旅行に出かけようとするとパニック症状を起こし、料理をすれば火事寸前になってしまう。
だが、落ち込むマイクをフィービーは、大きな心で優しく包み込んでいた。
そんなある日、謎の言葉を発する女性がマイクの働くコンビニに現れる。
その直後、彼の驚くべき能力が覚醒する。
エージェント・ウルトラ 映画レビュー
今作品は、なんとなく微妙な感じで消化しきれない…そんな印象の映画だった。
ジェシー・アイゼンバーグは、「ゾンビランド (2009)」のコロンバスしかり、「ソーシャル・ネットワーク (2010)」のマーク・ザッカーバーグしかり、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (2016)」のレックス・ルーサーしかり、よく知られた人物やキャラクター、もしくはその映画オリジナルのキャラクターを、いつでもうまく演じている。
それゆえに今回も、どれだけ「へタレで“しこたま”強い男」を演じ、楽しませてくれるのだろうと期待に胸が膨らんでいた。
しかし、物語を描くことが大好きで、薬漬けで、彼女が好き好き大好きな青年を演じたジェシー・アイゼンバーグの演技はいいとして、巨大な国家の陰謀を示唆しておきながら、彼をとりまくもののスケールが小さく感じられてしまい、盛り上がれないままラストシーンを迎えてしまったのだ。
あのラストシーンは、アーノルド・シュワルツェネッガーとジェイミー・リー・カーティスの、本気のギャグ・アクション映画「トゥルーライズ(1994)」のエピローグといったところだろうか。
「トゥルーライズ(1994)」の場合は、まさかの状況で近くにやってきた戦闘機を二度見するところや、テロリストが声明を録画中にビデオテープのバッテリーが切れて、撮影係の部下が脂汗を流すなどの細かいギャグが散りばめられ、なおかつ壮大な規模でスパイの公私混同っぷりを堂々と描いていたことから、その余韻とともにエピローグを楽しめた。
しかし、この映画の場合、その余韻はおろか、「色々あったけど、結局なんだったんだ…」という疑問符が宙を舞ったまま終わってしまった。
もちろん、現代の視点で描いたヒッピーなカップルの映画と、シュワちゃんとアメリカが波にのっていた時代の映画を並べるのは無意味だけれど。
また、ほとんどお客が来ないコンビニで店番をする青年が、実は、CIAの洗脳プログラムによって、強靭な工作員へと育成された人物だったということを含め、予告で“いいところ”をほとんど見せてしまっている。
加えていえば、CIA連中の行動がどうも意味不明だ。莫大な予算をつかい青年を狙うやつらがいれば、後先考えず覚醒させちゃうひともいる。
情が移ったにしても、その役割に謎がつきまとう人物もいるし。
こっそり知らせたり叱ったりの行動が謎である以前に、その存在自体がよくわからない人物などなど、消化不良のネタはつきない。
おまけに、観客(筆者)の消化不良を表したかのように、バカップルが刻々と異常なまでに薄汚くなっていくのだ、げふー。
しかしながら、クリステン・スチュワートは本当に美しい。
その美形っぷりは、どんどん薄汚れていっても隠せないほど。
また、本当にバカバカしいプロポーズには笑えた。
クリステン・スチュワート演じるフィービーが、置かれている状況をもろともせず、周囲を『野暮』扱いしたところもよかった。
ほか、ジョン・レグイザモのベタな演技もいい。
ただ、ビル・プルマンの役どころは、もう少し箔がついた演出をしてあげたらよかったのに、と感じた。
ちなみに、この映画の題材である洗脳プログラムは、『MKウルトラ計画』という、過去にCIAが実際に行っていたマインド・コントロールの人体実験のことである。
被験者は、CIA職員から軍人、医師、妊婦、精神病患者までいたそうだ。その部分は映画にも多少反映されている。
ゾッとする事実だがそれを描いたこの映画は、あくまでもコメディである。
(ただしR15+指定の)
ライター中山陽子でした。
エージェント・ウルトラ(2015)
監督 ニマ・ヌリザデ
出演 ジェシー・アイゼンバーグ/クリステン・スチュワート/トファー・グレイス/コニー・ブリットン
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