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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
コンピューター科学の父アラン・チューリングの物語

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 映画あらすじ

数学者のアラン・チューリングは、第二次世界大戦時のイギリスで、ドイツ軍の暗号『エニグマ』を解読する国家最高機密のチームに属していた。彼が成し遂げたことを世間は知る由もなかったが、戦後アラン・チューリングの家が荒らされたことがきっかけとなり、彼のプライベートな秘密が明るみに出てしまう。それによってアラン・チューリングは罪に問われるが、取り調べに当たったロバート・ノック刑事は、もっと大きな秘密があると睨んでいた。やがて、取調室でアラン・チューリングは、極秘となっていたブレッチリー・パーク時代のできごとを話しはじめる。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 映画レビュー

この映画は、実在したイギリスの数学者アラン・チューリングの少年時代から、ナチスの暗号機『エニグマ』の解読に没頭した時代、そして、戦後における人生を描いたものだ。少年時代や戦時中の出来事は、回想という演出になっている。

世界的に有名な人物の真実にもとづいた物語なので、予測のつかない展開はない。しかし、ひととは違う頭脳と情熱、そして苦悩とともに生きた人間の物語として、心に深く響くものがある。また、ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド、マーク・ストロングらの安定した演技が、より物語に深みを与えていた。

「今からでも天才になれますか?」という中学生の質問を、Q&Aサイトで見かけたことがある。「1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄になる」と考えたエジソンの言葉が、誰でも天才になりえる可能性を秘めた「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」という言葉に置き換えられたように、天才に近づけるものなら、近づきたいと思うひとは少なくない。

しかし「天才は幸せか」というネット上の検索が多いのは、はた目から見た歴史上の天才たちが、あまり幸せそうに見えないからだろう。それは、ナチスの暗号機エニグマ解読に貢献し、計算機科学および人工知能の父とも称されるアラン・チューリングも同じだ。彼は時代に翻弄され、悲しい人生の幕を閉じた。

もしも彼が現代に生きていたら、おごそかで豪華なアカデミー賞の授賞式にタキシード姿で参加し、名誉と称賛を受け、晩餐会で舌鼓を打っていたかもしれない。なおかつ、過去の別れを癒してくれるような生涯の伴侶を見つけ、愛情を育んでいたかもしれない。2015年の時点でイングランドとウェールズでは、15,000組以上の同性婚カップルが誕生したのだから。

彼が密かに活躍し、不名誉なまま死を遂げた1930年代~1950年代は、なんという愚かな時代だったのだろう。

1980年代、日本にも徐々にコンピューターが入り込んできた。一般人がコンピューターの概念を受け入れるのは大変だったが、所詮は専門家たちによって完成された、マニュアルつきのマシンを操作するにすぎない。

しかし、アラン・チューリングにおいては、コンピューターの概念が微塵も存在しない時代に、その原型ともいわれるチューリング・マシンを生んだのだ。異次元級の頭脳をもつのだから、その性格に多少難があっても仕方ないだろうとさえ思えてしまう。しかし、この映画を観れば、致命的に欠如した社交性が、彼を何度も窮地に立たせていたことがわかる。

とはいえ、彼の周囲には理解者も存在していた。婚約したジョーンやエニグマ解読におけるチームの一員ヒュー、そしてクリストファーだ。ただし、実在した彼らが、映画で描かれていたような人物であったかは不明である。

彼は死後だいぶ経ってから、政府より謝罪を受けている。名誉が挽回されたことはよかったが、不名誉の嵐にさらされながら世をあとにした事実は変わらない。天才は、極端なほど特別な能力と一緒に、それに見合った使命をあたえられてしまう存在なのだ。万能ではないことが必然の人間は、特別な能力をあたえられたぶん多くを奪われてしまう。

その人生に、平凡な頭脳をもつ筆者が思い浮かべるような幸せは、到底存在しなさそうだ。

ライター中山陽子でした。

 

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014)

監督 モルテン・ティルドゥム
出演者 ベネディクト・カンバーバッチ/キーラ・ナイトレイ/マシュー・グッド/ロリー・キニア

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