なんだか猛烈に気になる食べ物が出てくる映画3選
秋といえば「食欲」の秋ですね。2013年には日本が誇る、繊細かつ芸術的な『和食』が無形文化遺産に登録されたこともあり、働き過ぎだの英語がへタだの、表情が乏しいだの足が短いだの、海外から散々いわれてきた日本人も鼻高々になりました。そこで、前ふりとはさほど関係ありませんが、「なんだか猛烈に気になる食べ物が出てくる映画3選」をお送りします。
◆ラスベガスをやっつけろ(1998)
役づくりのため、ドクター・ゴンゾーを演じたべニチオ・デル・トロが20キロ増量し、ラウル・デュークを演じたジョニー・デップがハゲ頭でのぞんだ映画です。アメリカのジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの同名小説が原作なのですが、もはや2人とも誰だかわからない容姿で、ほぼ(役柄上)ラリッていました。そういえば、デップは、『ブラック・スキャンダル(2015)』でもハゲ頭でしたね。ジェイソン・ステイサムに密かな憧れがあるのかもしれません。もしくは、全日本女子レスリングヘッドコーチの栄和人さん。
この映画のラストで、エレン・バーキン演じるウェイトレスを、ドクター・ゴンゾーがイビリまくるシーンがあります。そのとき、ゴンゾーがレモンパイを丸ごと買うのです。映画は、ほぼ意味不明で食欲が減退しましたが、そのシーンばかりは、思わずレモンパイが丸ごと食いたくなってしまうという、困った現象が起こりました。
◆シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014)
オーナーとのケンカで一流レストランをやめたシェフが、旅をしながら屋台でサンドイッチを売り、人生をとりもどすお話。本来ならば、映画のなかでフィーチャーされまくっている、ローストポークとチーズ、ハムやピクルスが入ったキューバサンドイッチに注目すべきなのですが、あえて注目したいのは、ジョン・ファヴロー演じるカール・キャスパーが、スカーレット・ヨハンソン演じるモリーに、お家でパスタをご馳走するシーンです。2人は過去、明らかに男女の関係があった風ですが、モリーは「私たちはもうお友達でしょう?」といい、距離を保とうとします。
しかし、コッテリ系なパスタを一流シェフがプライベートでつくるあいだ、モリーは超セクシーな服とポーズで、しかもシェフのベッドで待っています。挑発しているとしか思えません。そして、コッテリなパスタが出来あがると、エッチに微笑みながらパスタを頬張り、「あぁ…ん」と恍惚の表情を見せます。もう、シェフは生殺し状態です。あ、そうだ、とってつけた感じですが、パスタはもちろん美味しそうでした。
◆ア・ホーマンス(1986)
故・松田優作さんが監督・脚本・主演を務めたハードボイルドな作品です。同名の漫画が原作です。石橋凌さんは、この作品で映画デビューを果たしました。いまでこそ国民にロトを買わせようとするCMや、さまざまな映画やドラマに多数出演している人気俳優さんですが、当時はロックバンドARBのボーカルさんというイメージでした。当時20代だった筆者は、松田優作さんと石橋凌さんという、チョイ悪セクシーなお2人の出演映画と知り、ムラムラしながら友人たちと映画館に足を運んだのです。
しかし、映画を鑑賞したところ、意外にもある食事シーンが深く印象に残りました。それは、手塚理美さん演じる杉本千加が振る舞った食事を、石橋凌さん演じる山崎道夫が、噛みしめながら「うまい…ほんとうまいよ」というシーンです。しかし、観客側からすると、映像がニュートラルなので料理が冷めているように見え、あまり美味しそうには感じられませんでした。しかし、山崎はしつこいぐらい、レコードが壊れたように、「うまい…ほんとうまいよ…うまいよ…うまい」といいます。
あとで知りましたが、実はこのシーン、なんと当初はベッドシーンだったそうです。それを、松田優作さんが違ったかたちのラブシーンを撮るべく、食事の設定にしたそうです。石橋凌さんに出された、監督からの指示が気になりますよね。え?気にならない?……いずれにせよ、しつこいぐらい噛みしめて「うまい、うまい」いっていた意味が……なんとなくわかりました。
食欲の秋といいながら、もうすぐ近くに冬がやってまいりましたね。風邪などひかないよう、鍋でも囲んで、ついでに映画を観て感動したりして、からだの芯から温まってくださいな。
ライター中山陽子でした。
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