【SPY/スパイ】
ジェイソン・ステイサムがイタすぎるおやじを演じるアクション・コメディ
SPY/スパイ 映画あらすじ
CIAのオフィスで働くスーザンは、現場で任務を遂行するエージェントを、的確にサポートする優れた分析官。しかし、ふくよかでオットリしているため、その能力に気づくものはなかなかいない。仕事のパートナーであるエージェントのブラッドリー・ファインは、彼女をいいように使いながらも感謝の気持ちだけは示していた。そして、スーザンはそんなファインに密かな想いを寄せる。だが、そのファインは任務中ターゲットに射殺されてしまう。そして、残るCIAのトップエージェントらも危機にさらされたため、スーザンは復讐心を胸に涙を拭いて立ち上がる。
SPY/スパイ 映画レビュー
いままでとは180度違うジェイソン・ステイサムも悪くない。でも、やはり、どんなにベタでも、ジェイソン・ステイサムには常に最強で、なおかつセクシーなデキる男であって欲しいと思いながら鑑賞。
ただ、そんな感想を差っ引いても、かなり面白いアクション・コメディだった。笑いどころ重視の映画にしては、アクションだってなかなかの迫力。バカバカしい笑いに、ドキドキハラハラが背中合わせでつきまとう。
主役のスーザンを演じるメリッサ・マッカーシーは、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン(2011)』でブレイクした女優さん。そういえば、『ハングオーバー!!! 最後の反省会(2013)』ではアランのパートナーだったかも。『ゴーストバスターズ(2016)』にも出演している売れっ子さんだ。この映画の監督であるポール・フェイグとは、『デンジャラス・バディ(2013)』でも一緒に仕事をしている。
とにかく、彼女のコミカルなセリフまわしや“間”、表情、なにをとってもセンスがいい。オーバーアクション過ぎず、嫌みがない、しかも、ほどよくキュートで可愛らしい“ふっくらさん”なのだ。なおかつ相手を言葉で攻撃するときのキレが最高。
スパイ映画のエージェントといえば、敵地に潜入するさい必ず別人になりすます。そして、彼らはどんな職業の人間を演じるにしても、だいたいがセクシーだったりダンディだったりするもの。しかし、メリッサ・マッカーシーが演じたCIAのスーザンにおいては、いちいち“よく見る普通のおばさん風”IDが用意されてしまう。それを目にするたび落胆したり、上司にクレームをつけるが、すぐに受け入れ自分で消化する。その度量と謙虚さもいい。
また、007ならば仕掛けのある時計だのペンだの車だの、一見ステイタスを感じるアイテムが支給されるが、スーザンの場合は、たとえ優れた仕掛けがあるにせよ、見た目は除菌スプレーだの、お尻拭きだの、便を柔らかくする薬だの、いちいち体裁が悪い。そんな、いたたまれない雰囲気が万事にいきわたり、ことあるごとに自虐的な笑いが襲い掛かる。
そして、ひとりの女性エージェント(スーザン)を取り囲む、セクシーで屈強な男性エージェントたちが彼女を引き立てる。ブラッドリー・ファインを演じるのはジュード・ロウ。セクシーでハンサムで、誰もが認めるトップエージェントだが、ナルシストで調子がいい。
ローマで登場したイタリア系の連絡係アルドは、無類の女好きで「イタリア人は女性を敬っているので必ずくどく」という定説の領域を、すんなり超越している。また、無類のおっぱい好きだ。ただし、のんきで明るい彼の素性は意外にも謎なのである。
そして、屈強でイタすぎるエージェント、フォードを演じるのは我らがセクシーハゲおやじジェイソン・ステイサムだ。腕っぷしは強いがアホ過ぎてスキだらけ。自分を強く見せたがる癖があり、俺は自分で心肺蘇生しただの、飲んだマイクロチップを排泄してPCをつくっただの、切断された片腕をもう片方の腕で縫合しただの、マンガみたいな武勇伝を延々と、男汁たっぷりの声でまくしたてる。聞いているスーザンは「あーハイハイ」といった具合だ。そして、屈強自慢をする割には、人のミニバーから酒をいただくセコさがある。
どんな映画でもスーパー強くて頭脳明晰、度量が大きくてモッテモテのステイサムからは想像もつかないキャラクターだ。ステイサムはいい味を出していたし、とても面白かった。でも、次回はいつも通り凄腕のステイサムを観ようっと。
メリッサ・マッカーシーは現在46歳。女優であり、コメディアンでもあり、脚本家、プロデューサーの顔も持つ。決して若くはないが、これからますます活躍が楽しみな、才能あふれる女性なのである。
ライター中山陽子でした。
SPY/スパイ(2015)
監督 ポール・フェイグ
出演者 メリッサ・マッカーシー/ジェイソン・ステイサム/ローズ・バーン/ミランダ・ハート
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