映画のなかで見かけた印象的なTATOOたち
映画は人々に、セリフ、映像、衣装など、様々なもので印象を残します。クリスマスが近くなると「今のセリフ……なんだかあの映画みたい」なんて会話をしながら、人目もはばからずイチャイチャしまくるカップルも登場し、人々をイラッとさせることでしょう。そこで今回は、またもや前ふりとは関係ありませんが「映画のなかで見かけた印象的なTATOOたち」をまとめてみました。
◆フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996)
クエンティン・タランティーノが脚本を書き、ロバート・ロドリゲスが監督した作品です。ジョージ・クルーニーは文句なくセクシーで、男臭い魅力にあふれていました。そのとき彼が演じたセス・ゲッコーの腕と首には、トライバルのTATOOがあり、とてもよく似合っていました。
関係ありませんが、ジョージ・クルーニーがアカデミー助演男優賞を受賞した『シリアナ(2005)』という映画がありますよね。この映画を知らない人と、これについて会話するのは、なかなか勇気が要ります。だって……
「ジョージ・クルーニーのシリアナ見た?」
◆ケープ・フィアー(1991)
マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロという『タクシー・ドライバー(1976)』コンビの、弁護士家族がひとりの男に追い込まれるサイコ・スリラーです。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996)』でもヒロインを演じていたジュリエット・ルイスが、非常に強いインパクトを残し評価を受けた映画でもあります。デ・ニーロ演じるマックスの指が、ジュリエット・ルイス演じる少女の口に入るセンセーショナルなシーンに、世間はザワつきました。
当時、この作品を観たときはとても怖かったのですが、もう一度観なおしてみたら、詰めが甘すぎてズッコケました。時が流れたんですねえ。この映画で、ロバート・デ・ニーロはマックスを演じるため、体中にTATOOをペイントしています。背中には、十字架や聖書と短剣が描かれ、真実(TRUTH)と正義(JUSTICE)が天秤にかけられています。実はこのTATOO、のちにつくられた映画『バウンド(1996)』に深く影響しているという裏話があります。
それにしても、この映画、デ・ニーロ以外の出演者もニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ロバート・ミッチャム、グレゴリー・ペックとすごいメンバーです。
◆バウンド(1996)
『マトリックス』シリーズを監督したウォシャウスキー兄弟改め、ウォシャウスキー姉弟改め、ウォシャウスキー姉妹による初監督作品です。初監督とはいえ、さすがは才能にあふれた2人。スタイリッシュな映像と無駄のない巧妙なストーリー、そして魅力的なキャラクターが登場する、小気味いいフィルム・ノワールでした。
このなかで、レズビアンの女泥棒コーキーを演じたジーナ・ガーションは、その前に映画『ショーガール(1995)』にて高飛車な女クリスタルを演じました。彼女の演技は高く評価されましたが、残念ながら映画そのものは酷評の嵐でした。そんな状況で次回作として選んだのが、名もない監督の、しかもレズビアン役だったため、周囲からは強く反対されたそうです。しかし、彼女は出演を決意し、もともと女性らしい体つきを鍛えて改造し、TATOOペイントを施し、完璧にコーキーというキャラクターをつくりあげました。そして、その役がズバッとはまり役で、映画自体も高評価を得たというわけです。
そのコーキーが入れていたTATOOは、ジーナ・ガーションいわく『ケープ・フィアー(1991)』でデ・ニーロがペイントしていたTATOOを参考にしたのだそうです。ですが、コーキーのTATOOはだいぶ洗練されたシンプルなものなので、かなり印象が違います。ちなみに、ヴァイオレットの方のTATOOは、なんか黒い虫が胸にとまっているみたいです。それを狙ったんでしょうか。
◆ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(2011)
何度も二日酔いで失敗する、懲りない奴らがまたもや大騒ぎのシリーズ2作目です。このなかでスチュ(エド・ヘルムズ)は、目覚めたとき身に覚えのないTATOOが顔に入っています。スチュも観客も「なんじゃこりゃー!」と思いましたが、実は裏でも「なんじゃそりゃー!」だったようです。
このTATOOについて、製作者のタトゥアーティストに許可をとっていなかったため、のちにワーナーブラザーズは訴訟を起こされたのだとか。結局は示談が成立したようですが、それができなかった場合はデジタル処理を施す予定だったとのこと。
ところで、このシリーズの奇異なキャラクター、レスリー・チャウは、毎回ムダに服を脱ぎまくり、よく股間にボカシを入れられています。その色白プヨンとした体にTATOOは入っていましたっけ?まあ、どうでもいいことなんですけどね。ちなみにレスリー・チャウを演じる勇気ある俳優さんは、なんと医師でもある韓国系アメリカ人ケン・チョンさんです。
◆処刑人(1999)
敬虔なカトリック教徒であるアイルランド系のイケメン兄弟が、啓示を受けたと勝手に悪人を成敗していく、とんでも自警団のお話です。カルト的な人気があり、今もコアなファンがいます。日本ではPG-12指定、シンガポールではR21のムチャクチャな映画ですが、所々に微妙なギャグもぶち込まれています。
なお、今作ではなくシリーズ2作目で、シャワーを浴びているときに彼らの全身TATOOが拝めます。とても宗教色が濃いTATOOだった記憶がありますが、イケメン兄弟のお尻に気を取られ、あまりよく覚えていません。ただ、ハッキリしているのは、ショーン・パトリック・フラナリーと、ノーマン・リーダス演じるアイルランドのやんちゃ兄弟が、黒いサングラスをして、黒いコートを着て、兄弟仲よく同じタイミングでタバコに火をつけるなどの姿が、興奮して不眠症になるほど魅力的ということです。
女装姿のウィレム・デフォーも拝めますが、そちらは違った意味で眠れなくなるようなインパクトでした。
ちなみに、映画やドラマで目にする役者さんのTATOOは、多くの場合があとで消せるペイントです。映画のキャラクターに感情移入し、俺も!私も!となる前に、TATOO(刺青)は自分の体そのものになるということを把握し、よーく考えてから行動しましょう。
ライター中山陽子でした。
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