【サンシャイン・クリーニング】
ダメダメ姉妹が事件現場のおそうじをはじめる物語
サンシャイン・クリーニング 映画あらすじ
シングルマザーのローズは、ハウスクリーニングの仕事をしながら息子のオスカーを育てている。ハイスクール時代はチアリーダーの花形で、皆から羨望のまなざしを向けられていたローズたが、今は苦しい生活を余儀なくされ、元彼との不倫やらパッとしない日々を送っていた。おまけに、妹のノラはフリーターで実家暮らし。息子のオスカーは学校で問題児扱いされ、父は下手な商売ばかり続けている。家族の未来が見えなくなっていくなか、ローズとノラは、高額な収入が期待できる「事件現場の清掃」を請け負うこととなる。
サンシャイン・クリーニング 映画レビュー
今作品は『リトル・ミス・サンシャイン(2006)』のスタッフが手掛けている。そのため、ことあるごとに比較され、「『リトル・ミス・サンシャイン(2006)』に比べていまひとつ」と評価されることも少なくない。だが、テーマは斬新だし、少し笑えて、家族の絆が切なく温かい。また、『リトル・ミス・サンシャイン(2006)』でも強烈な存在感を放っていた、アラン・アーキンのすっとぼけ爺さんっぷりもいい。
その爺さんの娘であるダメダメ姉妹を演じているのは、エイミー・アダムスとエミリー・ブラント。生まれ持った美貌も、ハイスクール時代の輝きも、人生に勝つことを保証してはくれないと厳しく物語っているだけに、彼女たちが美しければ美しいほど痛々しいものがある。とくに、ローズを演じているエイミー・アダムスは、なぜか「元人気者のチアリーダーだが今は苦労人」という役柄がやたら似合っている。
この映画は再生のドラマだ。人生の悲哀を面白おかしく描き「人生は厳しいね」「人は滑稽で愛おしいね」とシンミリジンワリさせるだけではなく、人間の“へこたれない根性”をしかと見せてくれるのだ。アルゼンチンの映画『ルイーサ(2008)』の、職を失いどん底に落ちた女が、ある種のテクニックを駆使して物乞いを始めるという内容も斬新だったが、今作品で主人公が選んだ仕事もかなり個性的だ。
ローズが高収入というだけで飛びつき妹のノラを巻き込んだ仕事は、凄惨な事件現場を清掃するという特殊なものだ。本来ならば一生身を置くことがないような悲惨な現場で、冷静さを保ち、プロとして仕事をこなさなければならない。
しかし、とてつもなく特殊で大変な掃除という荒療治で、彼女たちは無意味な関係、過去へのこだわり、暗い記憶、冴えない人生まですべて洗い流し、綺麗サッパリしてしまう。途中、とんでもない失敗もするが、それさえも荒療治になり、結果的には家族の絆を深めることとなる。
すっかり腹がすわったローズも、一歩踏み出す勇気を持ちはじめたノラも、決して未来が明るいと保証されたわけではないけれど、確実に未来へつづく道を見つけたようだ。
ちなみに、クリフトン・コリンズ・Jrが演じるウィンストンの存在は、この物語に多大な安心感と勇気を与えてくれる。ローズと同じく観客にも、温厚で優しい目を持つ友好的な彼が「気張らなくても大丈夫だよ」と、力んだ肩をポンポンと叩いてくれるだろう。
ライター中山陽子でした。
サンシャイン・クリーニング(2008)
監督 クリスティン・ジェフズ
出演者 エイミー・アダムス/エミリー・ブラント/メアリー・リン・ライスカブ/クリフトン・コリンズ・Jr
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