役者魂がすごすぎて複雑な気持ちになる映画たち
役者さんは、映画の登場人物になりきり、物語にいのちを吹き込んでくれます。しかし、時には役にのめりこみ過ぎて、ファンを複雑な気持ちにすることも少なくありません。そこで今回は「役者魂がすごすぎて複雑な気持ちになる映画たち」をご紹介します。
◆マルコヴィッチの穴 (1999)
ある夫婦が、ひょんなことから映画俳優ジョン・マルコヴィッチの頭のなかにつながる穴を見つけ、それを利用して商売を始めるというスパイク・ジョーンズ監督の作品です。こんな風に内容を書いていても、何を書いているのか訳がわからなくなる不条理さが売りです。主演のジョン・キューザックさんとキャメロン・ディアスさんはモッサリ感が激しく、一見誰だかわかりません。
また、本人役で出演しているマルコヴィッチさんの友人チャーリーは、どこから見てもチャーリー・シーンさんなのですが、そのヘアスタイルには「あっ」と驚かせられます。この映画のなかで、誰であるかハッキリしているのは、間違いなくジョン・マルコヴィッチさんです。
◆ピニェロ(2001)
劇作家、俳優、そして詩人でもあるミゲル・ピニェロの、壮絶な人生を描いた伝記映画です。ニューヨークに暮らし、ラテン系アーティストとして70~80年代に活躍した彼は、そのカリスマ性で絶大な支持を受けながらも、多くの犯罪に手を染めました。彼が有名になるきっかけとなった『ショート・アイズ』は刑務所で執筆したもので、1977年には映画化されたようです。そして、そんな危ないカリスマを演じているのは、ハンサムなベンジャミン・ブラッドさん。
過去にジュリア・ロバーツさんが一目ぼれしてしまったほど魅力的な俳優さんですが、この映画では麻薬におぼれ窃盗を繰り返すカリスマを演じているため、薄汚れてドロドロで一瞬誰なのかわかりません。しかし、このハンサムすぎる俳優さんが容姿ではなく、演技を高く評価された数少ない作品のひとつになりました。もちろんファンとしては嬉しいのですが、やはり、いつものセクシーでダンディでハンサムなベンジャミン・ブラッドさんを見たいという、欲求不満がたまりやすい映画でもあります。なお、この映画で共演した元ボンドガールのタリサ・ソトさんとは、めでたく実生活でも結ばれました。
◆リボルバー(2005)
ガイ・リッチー監督、ジェイソン・ステイサム主演、レイ・リオッタほかマーク・ストロングらも出演、しかもタイトルが『リボルバー』。こりゃあ、ぜったい小気味よくてスタイリッシュな映画だろうと、期待に胸を膨らませ鑑賞したのですが、観終わったあと「なんだこりゃ」といって倒れこみ、呼吸困難になりました。主人公が自己喪失に陥った時点で、観客も迷路に迷い込みます。この映画の根幹は、回転式拳銃『リボルバー』というタイトルがこっそりと物語っていますが、非常にわかりにくいものです。
いずれにしろ、ジェイソン・ステイサムさんは、いつものセクシーおハゲさんではなく、微妙なロン毛をかぶった髭づらです。一見して、誰なのかわからない外見でしたが、映画そのものもわかりにくいので、最終的にはどうでもよくなります。かっこいいジェイソン・ステイサムさんの登場を期待せず、アイデンティティーを回転式拳銃の装弾数であらわした、ガイ・リッチー監督のセンスを楽しむならば面白い映画かもしれません。
◆ラスベガスをやっつけろ (1998)
「おまえ本気でやるのか?なら俺もやる」といったのがジョニー・デップさんの方だったのか、ベニチオ・デル・トロさんの方だったのか忘れてしまいましたが、これは役を演じるにあたり決意を固めたお2人の会話です。何を決意したのかというと、ジョニー・デップさんにおいては、自ら頭の毛を抜きハゲ頭になってラウル・デュークを演じることです。ベニチオ・デル・トロさんは20キロ増量してドクター・ゴンゾーを演じることです。デル・トロさんは、もともと大好きなジャンクフードを食べまくって増量したらしいので、ある意味幸せだったかもしれません。しかし、ファンとしては、なんとも微妙でした。
なお、これらの映画以外にも、人一倍美しいシャーリーズ・セロンさんが、徹底的に容姿を変えて連続殺人犯を演じた『モンスター(2003)』や、クリスチャン・ベールさんがあり得ないほど痩せこけ挑んだ映画『マシニスト(2004)』、トム・ハーディさんがベインを演じる意味はあったのか頭をひねるほど別人な『ダークナイト ライジング(2012)』など、まだまだたくさん役者魂を見せつけてくれる映画が存在します。はた目には華やかな世界ですが、そこで成功しつづけるには強い意志と覚悟、そしてたくさんの努力が必要なんでしょうねえ。
ライター中山陽子でした。
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