NCIS:LA〜極秘潜入捜査班やたらラフなチームがジワジワ好きになるドラマ其の三
チームの一員になった気分を味わえる、1話完結型の犯罪捜査ドラマをご紹介する第三弾です。今回のピックアップは、本当に捜査官なのかと聞きたくなるほど、ラフな雰囲気のメンバーたちが活躍する『NCIS:LA〜極秘潜入捜査班』です。
【疑問だらけの「NCIS:LA〜極秘潜入捜査班」】
『NCIS:LA〜極秘潜入捜査班』は、アメリカの超人気ドラマ『NCIS〜ネイビー犯罪捜査班』のスピンオフ(番外編)として始まりました。2009年からスタートして、現在シーズン8が放映中とのこと。日本では現時点(2017年1月)でシーズン7まで観ることができます。
ちなみに、NCISは実在するアメリカ海軍省の法執行機関です。Naval Criminal Investigative Service の略称で、海軍犯罪捜査局のこと。実際にはもっと管轄が広そうですが、ドラマ上では、起こった事件に何かしら海軍が関わっていると捜査に乗り出します。
正直に言うと筆者の場合は、もともと本家『NCIS〜ネイビー犯罪捜査班』の大ファンなので、『NCIS:LA〜極秘潜入捜査班』を観始めた当初は、まったくと言っていいほど気分が乗りませんでした。
それに、ワシントンD.C.が舞台の本家とは違い、ロサンゼルスが舞台のこちらは、まるで休日バーベキューパーティーでもするかのようにラフな格好をしています。それと同様に、オフィスも取調室もナチュラルなリゾートのよう。
おまけに、よく付け焼刃な潜入捜査を行います。なにが付け焼刃かというと、潜入現場に行く途中で「あ、じゃあ俺不動産屋ね」「じゃ俺は……麻薬ディーラー」という具合に、食事のメニューでも決めるかのように潜入する際の役柄を決めるところです。実はしっかりと調査を重ね、準備を行っている設定かもしれませんが、そのような描写はほぼありません。
しかも、衣服以外の変装はせずロスでガンガンいろんな潜入捜査をして、人がわんさかいるビーチや街で銃撃戦をおっ始めたりしています。そんな状態じゃあ、「あら、あの人潜入捜査で有名な何とかさんよね、えっと~ほらほら、なんだっけ」と、井戸端会議をしているご婦人たちに、キャッキャ噂されてしまうのではないでしょうか。
そんなこんなで、ゆる過ぎる犯罪ドラマにだんだん視聴意欲が減退してくるかと思いきや……意外や意外、そうではありませんでした。
【ドラマ「NCIS:LA〜極秘潜入捜査班」の魅力】
もしかして、本家のファンであればなおさら、筆者のように感じる人は少なくないかもしれません。しかし、シーズンを通して観ているうちに、ドラマという許容を超えた「限りなく不自然な部分」に、どういうわけか惹かれていったのです。
なにが魅力的な不自然さかというと、
いくつも極秘潜入捜査をしている部隊なのに、職場で談笑している姿はまるで、普通の会社に所属する同期の仲良しグループが、「今日の飲み会どこにする?」と会話している雰囲気なのです。しかも、本当にそんな会話がたびたび登場します。「おまえらバラバラに潜入捜査しているくせに一緒に飲みに行くんかい」と突っ込みたくなりますが、それよりもチーム皆が楽しそうなので「ま、いっか」ってな具合にどうでもよくなります。
そして、皆やたら引き締まりスタイルがよく、加えてラフな格好やナチュラルなオフィスの雰囲気も手伝い、まったく捜査官に見えないということ。潜入捜査をするぶんには有利かもしれませんけどね。
また、専門が違うので多少の差異はありますが、とくに誰かが抜きんでて能力が高いというわけではなく、同じように高い能力をもつメンバー皆が、どんだけ仲良がいいんだと突っ込みを入れたくなるほど同等に活躍します。あるエピソードでは、メンバー皆がそれぞれの方法で同じ事件の捜査をして、結局同じ犯人へと同時に辿りつたこともあります。効率がいいのか悪いのかわかりませんが、とにかくケンカもするけど皆仲良しです!
そんな彼らと、とても背が低い凄腕の管理部長ヘティが並んだときのアンバランスさは、まさにこのドラマの愛すべき不自然さを象徴するものでしょう。
でも、実はこのドラマ、ゆる~いふりしてアクションについてはドッカーン!バーンと、かなり迫力があります。
こんな風に、鑑賞者をすっかりチームの一員に引き込んでしまうドラマの、魅力的なメンバーをご紹介しましょう。
【NCIS:LA=魅力的なキャラクターたち】
G・カレン(クリス・オドネル)
チームの主任であるG・カレンは、ゆる過ぎてそうは思えないのですが、伝説ともいわれている潜入捜査のプロです。謎が多く辛い幼年期を過ごしたため、とてもナイーブな部分をかかえた人物設定のようです。しかし、演じているクリス・オドネルが、実生活では明るくハンサムな子だくさんパパであるせいか、その雰囲気がG・カレンというキャラクターにじみ出て、とても温厚かつおおらかな人物に見えてしまいます。そんな彼がリーダーとしてチームに指示するときは、相手のことをとても尊重している印象があります。
サム・ハンナ(LL・クール・J)
元シールズ(アメリカ海軍の特殊部隊)であるサムは、筋肉隆々のアフリカ系アメリカ人です。演じているのがラッパーでもあるLL・クール・Jなので、これがまたYO!YO!という感じで、ぜんぜん捜査官に見えません。いっちゃなんですが、ムッキムキなんですけど元シールズにも見えません。上半身裸で王冠をかぶりポーズをとっている、ラッパーとしての彼を目撃してしまったせいかもしれません。しかし、元シールズに見えなかろうが、捜査官に見えなかろうが、根本的にすごく腕っぷしが強いので、どうでもよいのです。個人的には、マブダチG・カレンとの、ちょっぴりゆるい絡みがとても好きです。
ヘンリエッタ・”ヘティ”・ラング(リンダ・ハント)
背がちっちゃいヘティは、上質な服や音楽、ゆったりとしたティータイムを好む、謎が多いチームの上司です。このキャラクターの人脈のすごさは他に類を見ません。チームが困っていると、ちょいとアナログな電話帳を取り出し、誰か知らんがすごーく偉い人に電話をします。しかも、必ず雲の上の高―いところから根回しして、それにともなう結果を出します。落ち着いた物腰や、冷静で鋭く的確な仕事ぶりに、お偉いさん含め誰もが一目置いています。しかし、一番の魅力は心優しい一面と、チーム皆とのコミカルな会話かもしれません。彼女が窮地に陥ると、チームは頼まれなくても一丸になって彼女を守ります。好かれる上司なんですねえ。
ケンジー・ブライ(ダニエラ・ルーア)
父親が海軍であったため、幼いころから鍛えられているケンジーは、男性も顔負けな強くてカッコいい女性です。なんといっても彼女の魅力は、すぐれた戦闘能力やサバイバル知識をもちながら、完璧なボディバランスとセクシーな顔立をもち、女性としてとても可愛らしいところ。シーズンを重ねていくと、事件の解決とともに、彼女の恋愛模様を見守るのが楽しくなります。
マーティー・ディークス(エリック・クリスチャン・オルセン)
ロサンゼルス市警察(LAPD)の所属ですが、連絡係としてNCISに加わった人物です。おちゃらけた口調にフワフワの金髪ヘアー、そして青い目をもつディークスは、やることなすこと軽いチャラ男に見えます。しかし、これがまた意外にデキる男というのがツボ。見た目と違い誠実で真面目、しかも、仕事における能力が高いために敏腕なチームの一員として認められました。猛烈に母性本能をくすぐるタイプなので、ディークス目当てにこのドラマを観ている女性が結構多いようです。
彼ら以外にも、人のよさそうな新米捜査官ドミニク・”ドム”・ヴェイル(アダム・ジャマル・クレイグ)、心理学担当の草食系ネイト・ゲッツ(ピーター・キャンバー)、高いIOをもち情報分析に長けたエリック・ビール(バーレット・フォア)と、ネル・ジョーンズ(レネー・フェリス・スミス)というITオタクな2人も大活躍します。
ただ、ひとつ文句を言いたいのは、レギュラーだったキャラクターをいきなり不自然に除外してしまう展開です。まったく役者さんが姿を見せず「行方不明になった」という設定の乱暴さ。そこまで急に降板させるってどうなんだと思いますが、まあ、どのドラマにも起こっている大人の事情なので、仕方ないですねえ……。
このように、サークルみたいな仲良しグループの陰にチラホラ見えてくる、弱肉強食のエンタ-テイメント界の闇?も堪能しながら、楽しんでみてはいかがでしょうか。
ライター中山陽子でした。
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