【グランド・イリュージョン 見破られたトリック】
つじつまを忘れて楽しむイリュージョン・サスペンス
グランド・イリュージョン 見破られたトリック 映画あらすじ
派手なイリュージョンで人々を魅了し、陰に潜む悪を暴いてきた正義の犯罪集団フォー・ホースメンは、再びIT企業の不正を暴くためその姿を現す。しかし、謎の人物に邪魔をされ、ゲリラショーは失敗に終わる。その正体は、マジックを科学で否定する天才エンジニアのウォルターだった。そして、フォー・ホースメンを追い詰め悪事に加担するよう迫る彼の陰には、意外な人物が隠れていた。
グランド・イリュージョン 見破られたトリック 映画レビュー
秘密組織に選ばれたマジシャンたちが、ド派手なイリュージョンで悪を暴き、弱者や罪なき人々を助けるという、斬新なストーリーが話題となった『グランド・イリュージョン(2013)』の続編。
前作同様「オイオイそんなアホな」と突っ込みたくなるイリュージョンだったが、今回はCGに頼らず、限りなくリアルなマジックを目指したようだ。
撮影するにあたって、これもまた前回に引き続き、世界的に有名なイリュージョニストのデヴィッド・カッパーフィールドが協力したほか、マジシャンのキース・バリー、メンタリスト、催眠術師らも重要なアドバイザーになったとのこと。また、出演者たちはマジックを猛特訓し、口から炎を吹いたり、カードを投げ飛ばせるようにもなったらしい。
そんな話を聞くと、一見やりたい放題なイリュージョンも真実味を帯びてくる。だが実は、突っ込みたくなるのはマジックのシーンではなく、ストーリーそのものなのだ。
この映画の根幹は、原題の『NOW YOU SEE ME(見えてますね)』のとおり。「NOW YOU SEE ME」は、マジシャンが観客を注目させる際につかう、常とう文句だ。そして、その言葉がマジシャンの口からでようものなら、すぐ後に観客は騙される、というニュアンスも含んでいる。この映画において、それは観客に向けられた言葉だ。
続編でもあるし、制作者側はさぞかし観客を騙したかったのだろう。しかし、だからと言って、ラストシーンで繰り広げられる「あまりにも意外な真実」は、いくらなんでも無理があり過ぎじゃあなかろうか。すっかり何事もなかったように和やかな雰囲気になっていたが、前作の内容から考えるとあまりにも腑に落ちない。それに、かわいそうな母と子が、何も知らぬまま放置されていたことには変わりないのだ。
そんなわけで、マジックよりも、物語のどんでん返しの方がイリュージョンな映画だった。
ただ、もともとこの映画の面白さは、マジックでこんなことができるの?というリアルさの追求よりも、超能力があるんじゃないかと思うようなすご技で、アンチヒーローなマジシャンたちが悪事を暴き、罪なき人々を守る爽快さだ。どんな仕組みか考える以前に、してやったりなフォー・ホースメンたちを見て、気分爽快になる感覚を楽しみたい。つまり、「あまりにも都合が良すぎる脚本なのでは?」なんて突っ込みは、むしろ無粋なのだ。
なおさら、出演者たちが本当にあの見事な手さばきを習得していたならば、映画自体の深みは十分ではないか。
個人的には、マーク・ラファロがちょいちょいマジシャン的なテクニックを見せながら、マカオで大乱闘するシーンがお気に入りだ。周到につくられた、ピタゴラ装置を見せられているような感覚になれる。ぜひご賞味あれ。
ライター中山陽子でした。
グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016)
監督 ジョン・M・チュウ
出演者 ジェシー・アイゼンバーグ/マーク・ラファロ/ウディ・ハレルソン/デイヴ・フランコ
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