【パーフェクト・ゲッタウェイ】
途中から視点がガラリと変わるサスペンス映画
パーフェクト・ゲッタウェイ 映画あらすじ
新婚旅行でハワイを訪れたクリフとシドニーが車を走らせていると、どこか危険なオーラを放つケイルとクレオのカップルにヒッチハイクされる。また、彼らがトレッキング途中に出会ったニックとその恋人ジーナも、なんだか怪しげな雰囲気だ。そんななか、新婚カップルが惨殺されたという話が彼らのもとに届く。しかも犯人は男女のカップルだという。クリフとシドニーは不安を募らせたが、成り行きで一組のカップルと行動を共にすることとなる。
パーフェクト・ゲッタウェイ 映画レビュー
大好きなミラ・ジョヴォヴィッチが主演、ティモシー・オリファントとクリス・ヘムズワースも出演していて、しかもサスペンスというのでウキウキしながら鑑賞。
舞台は逃げ場がなさそうなハワイの島だ。きっとサバイバル要素が満載で、「犯人はお前だったのか――。」的な展開だろう……、と思っていたら、なんとなく抱いていたイメージとは違っていた。
想像とかけ離れていたわけではないけれど、途中で視点がガラリと変わるので「あれれ?」という感じなのだ。しかもそれが「いい意味で期待を裏切られた……。」というわけでもない。また、ミラ・ジョヴォヴィッチのファンとしての満足度も微妙だと思う。
その理由は視点が変わってしまうことに加えて、なんというか……、いつもの美しいミラではなかったからだ。衣装が悪いのか髪型が悪いのか、それとも役柄が悪かったのか。不思議なことに、常に戦闘態勢で挑んでいる『バイオ・ハザード』シリーズの時よりも、“ゴツい女”に見えた気がする。
まあ、それはさておいて、とにかくこの映画では真相が見えてくるまで、登場人物たちが怪しさを“これでもか”というくらい振りまいている。特にティモシー・オリファント演じるニックと、クリス・ヘムズワース演じるケイルの怪しいこと怪しいこと。危険な雰囲気を持つガタイのいい2人が怪しいもんだから、余計にスティーヴ・ザーン演じるクリフが猛獣に狙われた草食動物かワンコに見えてしまうのかもしれない。
物語はどんでん返しと、最後の最後にねじ込む“ひねり”とで、観客を「わぁッ」と言わせる。ただし、その展開や演出が魅力的だったかどうかは先述したとおり微妙なところ。正直に言えば、ラストに描かれたカップルの“不器用な愛”はよかったが、結局は複雑な感情を残したまま映画が終わってしまった印象だ。
ミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が発揮されていなかったということ以外に、なにがそうさせたのだろう。
もしかして観客も一緒に推理を楽しむ作品の割に、疑わしい登場人物の数が少なかったことと、その駒の動かし方が単純であったことが原因ではないだろうか。なんだったらカップル同士が初見ではないとか、『アイデンティティー (2003)』並みに登場人物が多く、その関係性も物語が進むうち複雑に入り混じっていくようにしたらよかったのに。
そして、もうひとつ意図的なチャレンジだったのかもしれないけれど、誰が主役なんだかわからなくしてしまったことが、観客を混乱させた原因かもしれない。
“単純にサスペンスとして楽しめた”とは言い難いタイプの映画であったが、意外な展開そのものは興味深い。ちなみに監督・脚本は、ヴィン・ディーゼル主演の『リディック』シリーズ、『ピッチブラック(2000)』を手掛けたデヴィッド・トゥーヒーである。
ライター中山陽子でした。
パーフェクト・ゲッタウェイ(2009)
監督 デヴィッド・トゥーヒー
出演者 ミラ・ジョヴォヴィッチ/ティモシー・オリファント/キーリー・サンチェズ/スティーヴ・ザーン
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