【グリーンフィンガーズ】
囚人だらけなのに心温まるクライヴ・オーウェン主演の映画
グリーンフィンガーズ 映画あらすじ
エッジフィールド更生刑務所に移送されたコリン・ブリッグスは、人生をすっかり諦めてしまった男。
監視カメラもなく、好きな時に紅茶を飲んだり、家族や恋人を呼べるといった限りなく自由な更生刑務所であるにもかかわらず、コリンだけは周囲と距離を置き、相変わらず無気力のままだった。
しかし、ある日、同室の老人ファーガスが彼に花の種をプレゼントする。
コリンは何の期待もせずに、最初は渋々その種を育てていたが、やがて、その行動が彼の心を少しずつ動かし始める。
そして、更生刑務所にいるメンバーたちを巻き込み、思いがけない奇跡を起こしていく。
グリーンフィンガーズ 映画レビュー
この作品が公開されたころ、実はまだクライヴ・オーウェンという俳優さんを知らなかった。
彼がこの映画で演じたコリン・ブリッグスは、武骨で無口な囚人だが、実は純粋な心と優しさを心の奥底に持つ男。
その役どころがピタリとハマっていたこともあり「誰だ?このカッコいい俳優さんは」という印象をもったものだ。
今となっては、ハリウッドでも有名な俳優さんであり、個人的には好きな映画ベストに入る「シューテム・アップ(2007)」でニンジンを武器にした荒くれヒーローを演じたお方だ。
そういった意味で、この俳優さんを認識した映画として、なおかつ、彼の魅力を余すことなく披露しているこの映画には、深い思い入れがある。
物語は実話をベースにした「イギリスの囚人たちがガーデニングを通じて生きる活力を取り戻す」というお話だ。
管理が緩い緩くないはさて置いて、場所はあくまでも刑務所であり、中にいるのは間違いなく罪を犯した男たち。
そんな底恐ろしい荒々しさを感じる男たちと、美しく健気に咲く花々たちとの対比が、とても興味深く映画関係者の目に映り、この映画ができあがったという。
刑務所を舞台にした物語で、男たちの友情が描かれるあたりは「ショーシャンクの空に(1994)」を思い出させるが、大きく異なる点がある。
それは、無気力だった主人公コリンに命を吹き込むのが「自由への執着」ではなく「花」という点だ。
そのせいか、全編にわたって長閑さがあり、ガーデニングの風景が常に観客の目を潤してくれる。それに、ちょっぴり恋愛も描かれている。
そもそも「花」は癒し効果があると知られている。
フラワーセラピーというやつだ。諸説あるが、たとえばカーネーションは体内の毒素を出し、ガーベラは血流を良くして向上心を高め、バラは女性ホルモンを活性化するという。
それは、色・形状・香りという3つの要素が影響しているそうだ。
なるほど、ガーデニングは常にたくさんの花々と触れ合うので、荒くれ男たちが癒されたり、やる気を起こしやすくなるはずだ。
そして、この物語を、より心温まる雰囲気にしてくれているのが老人ファーガスの存在である。
思い出すだけで涙しそうなほど温厚でチャーミングなお爺ちゃん囚人を演じるのは、「チャーリーとチョコレート工場(2005)」でジョーお爺ちゃんを演じたデヴィット・ケリー。
囚人のみならず、観客の心にも優しい魔法をかけてくれる可愛らしいお爺ちゃんだ。
「もう囚人は飽き飽きだ。庭師になろうぜ!」
言葉と表情、そのすべてが本当にチャーミングなのだ。
そして、最初は戸惑いながら、最終的には強い意志で囚人たちを導いてくれるガーデニングの先生を演じるのはヘレン・ミレン。
相変わらず、一見近寄りがたく険しい顔つきなのに、懐と情の深さがジンジン伝わる演技で魅了してくれた。
極悪人は出てこない。
所長も、その奥さんも、ガーデニングの先生も、その娘も、囚人たちも、監視のゆる~い自由極まりない更生刑務所で、蝶々と一緒に花と戯れる。
少しだけ悲しくて…あとは温かくて可笑しくて、限りなくほのぼのした囚人だらけの映画。
意外にもコリンが庭師として天才的だったというのが出来過ぎだが、心が温まり、「無駄だと思うことでも続けれていれば、いつかは花が咲く」と教えてくれる。
ずいぶん前の話だが、「毎日働いて水をやり、商売の花を咲かせなさい」と教えてくれた、仕事場近くの可愛いお爺ちゃん社長のことを思い出し、思わず泣きそうになった
ライター中山陽子(gatto)でした。
グリーンフィンガーズ(2000)
監督 ジョエル・ハーシュマン
出演 クライヴ・オーウェン/ヘレン・ミレン/デヴィッド・ケリー/ウォーレン・クラーク
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