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CINEMAバリQ

【マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章】
雰囲気も役者さんもいいのに少し残念な映画

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 あらすじ

インドにあるマリーゴールド・ホテルの青年支配人ソニーと、ホテルの長期滞在者でありながら経理を手伝う老婦ドネリーは、ホテル界の大物タイ・バーレイに提携の話を持ちかける。一方、同じくホテルに住むイヴリンは、79歳にして生地バイヤーの仕事をオファーされ戸惑っていた。友人以上恋人未満のダグラスとは、まだ進展がないようだ。そのほかのお馴染みメンバーは、老齢ながら2人の男性から求婚されたり、浮気の誘惑があったりと、何やら色めき立っている。そんななか、ホテル提携に関わる査察官らしき人物がマリーゴールド・ホテルを訪れるが……。

 

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 レビュー

この映画は、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2012)』の続編である。

ドネリーと支配人、またはドネリーと使用人女性との立場や人種を超えた温かい関係や、イヴリンとダグラスの老年ながらキュンとくる微妙な関係、そのほか多彩な登場人物の背景を知るためにも、先に1作目を観ておくことがおすすめだ。

それに……、今作品のソニー(支配人)はいくら必死とはいえ、やたら狡っ辛いし僻みっぽい。それで笑えるならまだしも、酷すぎて全く笑えない。1作目では決してこんなキャラクターではなかったのだ。

楽天的だが自分に自信が持てず、母親にも頭があがらない。しかし、夢をもって父のホテルを守り抜こうとする好青年だった。なぜ今回はあんな風になってしまったんだか。

ソニーを演じたデーヴ・パテールは、彼を世界的に有名にした『スラムドッグ$ミリオネア(2008)』以降、その強烈なイメージから抜け出したいと考えているようだ。それゆえに1作目で好評を得たこのシリーズで、ソニーというキャラクターを活気づかせたかったのだろうか。それで前のめりな演技になってしまったのか、もしくは演出がまずかったのかはわからないが、とにかく、今回のソニーは魅力が無さすぎて、むしろ気の毒になってしまったほど。

また、ソニーのお母さんは前作から素敵な人だと思っていたけれど、リチャード・ギア演じるガイ・チャンバースが、出会った途端に猛プッシュしまくるのもどうかと感じた。そのせいでリチャード・ギアの魅力も半減していたように思える。メイキング映像を観る限り、リチャード・ギアのキャスティングにはスタッフ・出演者のあいだで嬉しいどよめきが起こっていたようだし、もっと魅力的なキャラクターで登場できたら良かったのに。

勝手なことを言えば、「寡黙で個人主義でそっけないが、実は思いやりにあふれる情熱的なロマンス・グレー」といったキャラクターのほうが良かったんじゃないだろうか……。

とまあ、突っ込みまくったが、この映画の根底にある楽天的でハッピーな部分、人生につきまとう哀愁を面白おかしくもジンワリ描写する部分、人生の熟練者から発せられる心に染み込む言葉などは健在だ。そして、エキゾチックで色鮮やかな雰囲気や、オシャレ番長イヴリンのファッションもますます磨きがかかっている。

だからこそ、やはり残念だなあという気持ちが、むくむくと湧いてしまうのであった。

 

ライター中山陽子でした。

 

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章(2015)

監督 ジョン・マッデン
出演者 ジュディ・デンチ/ビル・ナイ/マギー・スミス/デーヴ・パテール

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