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CINEMAバリQ

【ワンダー・ウーマン】
ガル・ガドット主演・反戦争の意志も明確なスーパーヒロイン映画

ワンダー・ウーマン 映画あらすじ

セミッシラは、全知全能の神ゼウスによって作られた女性だけの島。人間がその存在に気づかぬよう、特別な壁によって守られている。その美しく平和な楽園の島では、ゼウスの邪悪な息子アレスの復活に備えたアマゾン族が、日々激しい訓練を行っていた。そんな島ですくすくと育った王女ダイアナは、アマゾン族の女王ヒッポリタの娘。母はダイアナの身を案じ戦士としての訓練を禁じていたが、女王の妹で史上最強の将軍アンティオペは密かに彼女を鍛え続けた。やがて、ダイアナが師を越える強さを身につけたころ、人間界から迷い込んだプロペラ機が海に不時着。彼らは世界大戦で混乱の真っ只中なのだ。その戦争がアレスの仕業だと確信したダイアナは、母が制するのも聞かず、不時着機に乗っていたアメリカの諜報員スティーブ・トレバーとともにロンドンへ向かう。

 

ワンダー・ウーマン 映画レビュー

ご存じDCコミックスのキャラクターで、スーパーマンに負けないほど強いスーパーヒロインが活躍する映画。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (2016)』と 同じく、DCエクステンデッド・ユニバース(スーパーヒーローらによる架空の世界)のひとつである。そのスーパーヒロインを演じるのは、ミス・イスラエルで『ワイルド・スピード』シリーズのジゼルとしても知られるガル・ガドットだ。

『ワイルド・スピード』シリーズのときはかなり細身だったが。この映画では筋肉を増量した逞しい姿でダイアナ・プリンス(ワンダー・ウーマン)役に臨んでいた。これまでのどの作品よりも、彼女は魅力的だったのではないだろうか。

イスラエルには男性のみならず女性にも兵役義務があるとのこと。ただし該当するのはイスラエル在住のユダヤ教徒とイスラム教ドゥルーズ派の教徒のみで、その他の教徒に兵役義務はないらしい。そして、ガル・ガドットにはその兵役経験があったのだ。それは、名だたる強豪を押しのけこの大役を獲得するには有益だったらしい。それに、見ての通り彼女はスタイル抜群で美しい顔立ちをしている。経験・素材ともに申し分のない人物だったのだろう。

 

そんなガル・ガドットが今回演じたのは、まだ無知で理想主義だったころのダイアナ・プリンス(ワンダー・ウーマン)。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (2016)』での、すべてを達観したような女性とは180度違う。真っ直ぐで純粋だが、未熟な女性だ。まあ、100年ぐらい前の話なので、「未熟な子供だった」とかいうレベルじゃないんだが。とにかく、ジャスティスの誕生のときのダイアナ・プリンスは、実際には相当なお婆ちゃんだったということ。

なお、今作では子供のころのダイアナが描かれている。そこから成長し、丁度よく女盛りなビジュアルのときに肉体的な成長(老化)が止まったらしい(笑)

 

ちなみに、ワンダー・ウーマンがコミックに初めて誕生したのは1941年。第二次世界大戦(1939年~1945年)のころだ。それゆえに、当初の設定はダイアナ・プリンスとして従軍看護師をしながら、ワンダーウーマンとして戦うスーパーヒロインだった。戦争という悲惨な現実に直面していたアメリカが欲したのは、傷ついた兵士と国を守る母性にあふれた強い女性だったのだろう。

そんな状況下で誕生したキャラクターなので、もちろん映画でもガッツリ戦争が描かれている。この映画の時代背景は第一次世界大戦(1914年~1918年)のころ。物語のなかでは密かに毒ガス兵器を開発し、戦争終結を妨害しようとしているドイツの軍人を描いているが、それは実際に起こった歴史的事実でもある。第一次世界大戦において、ドイツ軍は大規模な毒ガス放射を行ったのだ。

だからこそ、絶対的な能力をもつワンダー・ウーマンが、成り行きで連合国の一員かのように、中央同盟国と戦う構図は見ていていい感じはしなかった。たとえ邪悪な神だの、神がつくったパラダイス島だの、超能力だのが描かれている非現実的なスーパーヒーローものでも、戦争にしか見えないからだ。

しかし、物語が終盤になるにつれて、ダイアナの成長とともに戦争への意志(戦いでは何も解決しないということ)が明確になってくる。それで、深く納得することができた。連合国として戦っていたダイアナの姿は成長の過程だったのだ。そしてダイアナを悟らせる要因が、とても身近な「愛」という部分にも共感できる。また、邪悪な神が吐息を吐くだけで、結局は嫉妬心や僻み心、不信感によって自ら戦争を勃発させている人間の本性を説くあたりも深い。

 

監督は、「モンスター」でメガホンをとったパディ・ジェンキンス。「フェミニストでない人は性差別主義者だと思います」と言い切るガル・ガドットや、ワンダー・ウーマンがバイセクシャルであるというキャラクター設定の要素なども加わり、この映画は性差別を鼻で笑って吹き飛ばすような、力強くフラットな作品になったと思う。

シナシナとしたお色気は一切ない。女性蔑視が激しい時代に堂々モノ申すダイアナの姿や、50代のロビン・ライトのパワフルなアマゾネス姿も素晴らしいので、ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

ワンダー・ウーマン(2017)

監督 パティ・ジェンキンス
出演者 ガル・ガドット/クリス・パイン/ロビン・ライト/ダニー・ヒューストン

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