【ガンズ&ゴールド】
主役の2人が全く悪人には見えない犯罪映画
ガンズ&ゴールド 映画あらすじ
オーストラリアの刑務所に収監されたJRは、その中で異色の存在感を放つブレンダンに出会う。外では名うての強盗犯だったブレンダンは、若きJRに裏社会で生き抜くノウハウを教え、刑務所内で襲われないよう守ってくれた。しかし、そうしたのは、のちにJRを巧みに操るため。その思惑に従い、JRはブレンダンとその仲間の脱獄に協力する。やがて刑務所の外に出たブレンダンとJRらは、犯罪組織のボスから金鉱の精錬所を襲う計画を持ちかけられる。
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ガンズ&ゴールド 映画レビュー
ワイルドなヒゲを生やした悪人を演じる、珍しいユアン・マクレガーさんが見れる作品です。しかし、案の定、全く悪い人には見えません。
裏社会の知識や掟なんかを、“相当なワルの雰囲気”で若いJR君(鉄道会社ではない)に教えるのですが、それほど裏社会に精通しているようにも見えず、どちらかというと潜入捜査官風な感じ。いつバッジを出すのかと思わず待ってしまいました。
まあ、犯罪者であり、躊躇せず銃で人を撃ったり、軽く女性に手をあげたりはしますが、マット・ネイブルさん演じるスターロに対し、深い友情の「絆」を持っているような様子を見せたり、同じ犯罪者でも「婦女暴行」は許さないというポリシーを持っていたり、JR君を助けたり、強盗中に撃たれた人を介抱したりするシーンもあったので、「超極悪人」というわけでもありません。
しかーし、ちょっとした悪人にさえも見えないのがユアン・マクレガーさんなのです。だからこそ、ラストはドラマ的な雰囲気ある終わり方だったのかもしれませんね。
しかし、突っ込みたいのは「ユアン・マクレガーさんが悪人に見えない」だけではありませんでした。
ブレントン・スウェイツさん演じるJRに対し、単に利用するだけではない、何か感情的な部分が少しだけ見え隠れしていましたが、その背景や理由がどうもよく分からず。それが明確ではなくとも、多少は納得できるようなエピソードがあればもっと感情移入できたのですが。例えば彼の気質が気に入ったとか、息子のように感じたとか、もともとブレンダンには人としての感情的な部分があったとか、それとも、それが芽生えたとか。逆にJR君は、父親から愛情を与えられずに育ったため、刑務所で守ってくれたリーダー的存在のブレンダンに気持ちが傾いたわけですが、そちらはちょっと安直に感じたり。(「じゃあ、どうしろってんだよ!」by制作者)
また、犯罪組織のボスに関しては最後まで凄さが全く分からず。裏の裏をかく駆け引きも、「浅ッ!」と思わず叫んでしまうような感じ。「本当に、こやつら凄腕なのか?」と確認したくなるところが所々にありました。
殺し屋はチョロイし、裏切った奴のところには簡単に踏み込んでバンバンと撃ちアッサリ終了だし、「実はこんな裏をかいていたんだ」という説明の映像を見せられても、「えッ!? それだけの話かーい」という印象。裏切りそうで、全く裏切らない人物の、思わせぶりな演技も中途半端。
ついでに言えば、やたらハンサムでキュートなJR君は、悪人予備軍のチンピラどころか、人のいい青年にしか見えません。
とはいえ、先述したとおり、ジンワリと印象深く、穏やかな雰囲気で締めくくられたこの映画のメインテーマは、絶滅しない「ボノボ」なのです。
ボノボとは、ヒト科チンパンジー属に分類される霊長類。人類の祖先が、チンパンジーやボノボの祖先と別れたのは600~700万年前なのだとか。人間には平和主義で温厚なボノボのDNAを持つヒトと、凶暴なチンパンジーのDNAを持つヒトがいるそう。作中でブレンダンはJRにこのことをいい、「人間には2種類のタイプしかいない」と教えています。
この映画は、クライム・サスペンスあるいはクライム・アクションの括りに入っているようですが、むしろヒューマンタッチな作品として鑑賞したほうが、しっくりくるかもしれません。
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JR君は、組織で働かされている魅力的な女性ターシャに恋をします。そのターシャを演じているのは、スウェーデン出身のキュートなアリシア・ヴィキャンデルさん。『エクス・マキナ(2015)』や『リリーのすべて(2015)』といった作品で高い評価を受けている方ですが、いまは『トゥームレイダー ファースト・ミッション(2018)』のララ・クロフトを演じていることで話題ですよね。アンジェリーナ・ジョリーさんとは、全く雰囲気が違うララに興味津々です。
ライター中山陽子でした。
ガンズ&ゴールド(2014)
監督 ジュリアス・エイヴァリー
出演者 ユアン・マクレガー/ブレントン・スウェイツ/アリシア・ヴィキャンデル/ジャセック・コーマン
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