【レディ・プレイヤー1】
世界の三船アバタ―と「俺はガンダムで行く」のセリフに日本愛を感じる映画
レディ・プレイヤー1 映画あらすじ
2045年の近未来。荒廃しきった街で、未来が見えない現実から目をそむける多くの人々は、食べたり眠ったりトイレに行ったりする以外は仮想現実「オアシス」の中で過ごす。オハイオ州コロンバスのスラム街に住む若者ウェイド・ワッツも、現実では会ったことのない人々と友情を育み、アノラック・ゲームに挑み続ける日々を送っていた。アノラック・ゲームの勝者は、オアシスの創始者ジェームズ・ハリデーの遺言にも基づき、オアシスの所有権とハリデーの莫大な全遺産(56兆円)が授与されるという。しかし、ゲームの第一関門を突破し有名人になったウェイドの前に、オアシスの管理権を欲する世界2位の大企業IOI社社長、ノーラン・ソレントが立ちはだかる。
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レディ・プレイヤー1 映画レビュー
スティーヴン・スピルバーグ監督が、ベッドの下に隠していたオモチャ箱をひっくり返し、中のものをぜーんぶ出して広げたような映画でした。原作はアーネスト・クライン氏が2011年に発表した小説「ゲームウォーズ」。1980年代から90年代の映画・アニメ・ビデオゲーム作品が数多く登場しますが、著作権の問題やスピルバーグ監督の意向により、原作とは少し異なる部分があるそう。
筆者もすべては認識しておらず書ききれませんが、デュラン・デュランというキーワードや、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するタイムマシン「デロリアン」に、『シャイニング』を再現した世界観、『チャイルドプレイ』のチャッキー登場でテンションが上がりました。また、『AKIRA』の金田バイクやガンダムなども登場するので、ファンはたまらなかったことでしょう。
主人公のウェイドを演じるのは、『X-MEN』で若きサイクロップスを演じているタイ・シェリダンさん。サイクロップス役ではバイザーをかけさせられていますが、今作ではVRワールド「オアシス」に入り込むためのゴーグルをかけさせられています。
彼が「オアシス」で出会うミステリアスなアバタ―美女アルテミス(現実世界ではサマンサ)はオリヴィア・クックさん、強欲で非道なIOIの社長を演じるのは、『アニマル・キングダム』で凶暴なコディ家の長男を演じたベン・メンデルソーンさんです。また、キーパーソンをサイモン・ペグさんが演じています。
ちなみに、今作でハリウッドデビューを果たした日本の森崎ウィンさんは、あの三船敏郎さんをモデルにした侍アバタ―、ダイトウ(現実世界ではトシロウ)を演じていました。この大抜擢の理由をスピルバーグ監督は、「きれいな英語の発音」「誰でも微笑ませてしまう笑顔」や「カリスマ性」、そして「ハンサム」で「いいひと」であることなどを挙げていたそう。ベタ褒めですが、この映画を観れば納得です。トシロウの銃を構えるスーツ姿も素敵だったので、世界中にティーンズのファンが増えたのではないでしょうか。これからもっと体を鍛えて、スパイ・アクション映画なんかにも出て欲しいものです。
なお、このように、魅力的な役者さんたちが多数登場しますが、「これ『アバタ―(2009)』か?」と思うほど、映画のほとんどはアバタ―(分身キャラクター)が活躍するVRの世界。なおさら美女アルテミスの風貌が(ちがうんだけど)何となく『アバタ―』に登場する青いナヴィ族に似ているような気がして、だんだん感情移入できるかどうか不安に……。
しかし、そんな不安はすぐに吹き飛ばされ、縦横無尽な世界観に引き込まれていきました。知っているキャラクターなどが随所に登場するのも、魅了される大きな要因です。トシロウのセリフ「俺はガンダムで行く」までの“ため”がちょっと長すぎましたが、監督のあふれる日本愛にニンマリです。また、サイモン・ペグさんの老けメイクと老人演技が少しだけ微妙でしたが、好きな俳優さんなので、その辺の“突っ込み”も全部丸めてゴミ箱に捨て、映画を楽しんでしまいましょう!
そんな映画『レディ・プレイヤー1(2018)』は、売ってはいけない1本です。でも、もちろんご判断は皆様次第。
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世界中の人が、毎日ゴーグルをかけて仮想現実の中で過ごすという近未来は、決して有り得ない世界ではありません。でも、善と悪、光と影、太陽と月があるように、多くがバーチャルになればなるほど、対極にあるリアルをより求める気持ちが強まるのも確かです。「やっぱり現実世界の飯はうまい」というセリフに込められたメッセージは、スピルバーグ監督の強い思いでもあるのではないでしょうか。
ライター中山陽子でした。
レディ・プレイヤー1(2018)
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演者 タイ・シェリダン/オリヴィア・クック/ベン・メンデルソーン/リナ・ウェイス
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