CINEMAバリQ
今日の1本 ヒミズ(2012) DRQのレビュー
今日の1本 ヒミズ(2012)
原作は古谷実。
彼の稲中以外の作品は、退屈な日常をテーマにしているので、非日常の集中砲火が得意な園子温と、どういう化学反応を起こすのか、ワクワクしながら鑑賞。
結果、やっぱり園子温節全開でしたね。
この監督は人間の「闇」を抉りだす演出が上手い。
暴力、借金、愛情のかけらさえない両親。
絶望の果てとも言える状況に放り込まれる中学生役の染谷将太。
この歳でなんであんな死んだ目を演じることができるのだろうか。
そして、そんな彼を支えながら、自身も絶望的な状況にある同級生役の二階堂ふみ。
この子、いいです。
体当たりの演技ができるし、何より強い母性を感じた。
他のレビュー見ると、被災地をロケに使ったり、原作と違うラストについて、かなり酷評されてましたね。
別にこれでいいじゃんって思います。
震災後に公開された本作。
「がんばれ！」の叫びが誰に、そして本当はどこへ向いているのかは観れば分かります。
使い方次第では本当に安っぽい言葉かもしれません。
けどあのプラトーンでも使われた「弦楽のためのアダージョ」をBGMにして、絶叫する「がんばれ！」を観ながら熱い何かを感じずにはいられませんでした。
いまどん底でもがいている人、必見です（逆にそういう方は原作を読まないように）。
いやー映画って本当にいいものですね。
オラ頑張る！！
ヒミズ(2012)
出演: 染谷将太, 二階堂ふみ
監督: 園子温