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CINEMAバリQ

今日の1本 ルイーサ(2008)gattoのレビュー

ルイーサ 映画レビュー

ここ数年、そしてここ最近も大変なことが多い。
これまでも多くのことを乗り越えてきたから免疫がついているはずなのに、やはりシンドイことは、その都度同じようにシンドイ。

だから、オバハンがとにかく超たくましい、アルゼンチン映画『ルイーサ』を観てみた。
“どん底”でもへこたれない人間を見ると、癒しになるし、応援歌にもなるからだ。

“どん底”を経験したことがありますか?と人に聞いたら、きっと10代や20代の青年たちが「超どん底のり越えて、マジあたし最強」と言い、働き盛りの30代〜40代半ばの壮年たちが「もう忙しいし、どん底だし、貧乏ヒマ無しだし」と言い、40代後半から60代半ばの中年たちが「フン、ガキどもが何言っているんだ、本当のどん底っていうのはなあ」と語りだし、65歳以上の、高年期の皆さま方が「いっぱいあり過ぎて忘れたねえ。」と圧巻の答えを言うかもしれない。(あくまでも想像)

と、いう具合に、“どん底”というのは人それぞれなのである。
つまり、その環境や年齢なりの“どん底”があるのだ。

この映画の主人公、ルイーサの“どん底”は、この世には居ない愛する者たちの思い出だけを胸に静かに生きてきたのに、突然解雇されて、退職金もなくて、副業も失い、しかも、心の支えを失ったという、“どん底”業界でも上位の悲惨な“どん底”。
こんなに“どん底”という言葉を繰り返していたら、気分が沈んで酒が飲みたくなってきた。

まあ、とにかく、それでもルイーサはくじけない。
なりふり構わずお金を稼ごうとするのだ。
しかも、「え?そこで稼ぐのか?」と根本的に選択肢を間違いながら暴走する。

しかも、お金を稼ごうとするのは何のためでもない。
失ってしまった心の支え、愛猫のための埋葬資金だ。

そこなのか?食費や家賃や光熱費はどうしようと考えていたんでしょうかッ?!
という突っ込みはやめよう。だって映画だもん。

また、この映画を観ていて興味深かったのは地下鉄の物乞い事情だ。
私は以前、よくパリの地下鉄でそれを目にした。
乳飲み子を抱えたボロボロの服を着た女の子がいきなり喋りはじめるのだ。

「私の両親も夫も病気で、小さな子供を抱えています。どうぞ、小銭を恵んでください」と。
もしかしたら、なかには本当にそうである人も居たかもしれない。
しかし、大概はすべて「嘘」で小銭を稼ぐためのパフォーマンスらしい。
喋り終ると、小銭が少し入ったカップをチャリチャリ言わせながら乗客からお金を回収してまわる。
もちろん任意だが、人の善意につけ込むのだ。

また、パリの地下鉄でもレストランでも、勝手に人のテーブルの上や、膝の上にカードやオモチャを置いていく人も居る。
気に入ったら買ってくれ、という無茶苦茶な売込みだ。
「これは、触らないように」と昔から注意を促されていたので私は大丈夫だったが、もしも、知らなければ「あら、このオモチャくれるの?」なんて、それを手に取りニッコリしようものなら金を払えと言われるところだ。

そんなパリの物乞い事情に、この映画で描かれるアルゼンチンはそっくり。
そして、それは、小銭を入れる人ではなく、小銭を受け取る弱者の目線で描かれている。
ルイーサは、どん底のなかで人の優しさに触れる。そして友も得る。意外にモテるのね(笑)。

ルイーサ役はアルゼンチンの舞台女優、レオノール・マンソ。
岩のように頑固で、孤独な心を抱えたルイーサを好演している。
悲しくて、孤独で、たくましい。そして可笑しくて、優しい。

そんな気持ちが、この淡々とした映画を観ているあいだじゅう揺れ動き、最後はホッコリ熱を帯びていく。

もちろん、アメリカ映画のように、「オバチャン稼ぎまくって、超ハッピーエンド」なんて具合にはならないので晴々した爽快感は期待しないで欲しい。

むしろ、閉塞感を楽観的にとらえてしまうような映画だ。
しかも頭から離れない。じぇんじぇん離れない。
なんなんだ、マインドコントロールか?ってぐらい。

でも、見終ると、少し、強くなった気がして、元気になった気がする。
生きてりゃ、なんとかなるさ。
是非ご賞味あれ。

映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。

ルイーサ

監督: ゴンサロ・カルサーダ
出演: レオノール・マンソ, ジャン・ピエール・レゲラス, エセル・ロッホ, マルセロ・セレ

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