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CINEMAバリQ

今日の1本 クリッシュ(2013)gattoのレビュー

クリッシュ 映画レビュー

インドには過去に一度仕事で訪れた。
馬鹿でかい工場のなかで、ひたすらラグを織る工員さんの姿を、なんとも言えない気持ちで眺めたのを覚えている。

そのあとオーナーに昼食に招かれ、ショールームのような部屋でお酒とご馳走をいただいた。
オーナーはまるで洋画にでてくるような色男で超リッチ。
秘書なのかスタッフのインド人女性もとても美人さん。

インドでおこる事件を目にするたびに、その光景がよみがえる。
インドのキラキラ系な華やかさの陰に、想像を超えた格差があるはずなのだ。
だからと言って許し難く、本当に腹立たしいが、格差社会のひずみが性犯罪を生んでいることは容易に想像できる。

なーんて暗い始まりだけど、そんな想いに光を与えるのがこの映画だ。ボリウッドの進化系映画『クリッシュ』。
実は、この映画はシリーズの3作目。
映画の冒頭に、いきなり”これまでのお話”的な説明をしだすので何かと思ったら、そういうワケがあったのだ。

クリッシュという名のスーパーヒーローを演じる主役のリティック・ローシャンは、監督であるラーケーシュ・ローシャンの息子。
インド版プレスリーに見えたのは髪型のせいか。
いや、それよりも、特筆したいことがある。

最初の方で、科学者のパパが世紀の実験を見せようと、息子夫婦を起こしに行ったとき、息子が上半身裸で出てくるのだが…
「おい、ちょっと待て、今のは見間違いか?」と、言うぐらい、カラダがゴイスー(凄い)。

「ハハハ、まさかね、そんなワケはないし…」と言いながらもう一回戻してみて「やっぱりスンゲー!!ムキムキやんけー!!」と叫ぶひとが多いのではないだろうか。
しかもウエストのクビレが半端ない。
まあ、脱いだらムキムキな俳優さん大好きな私から、ひとこと言わせてもらえば「明らかに、やりすぎです。」(筋トレを)

しかし、そんな俳優さんが、この映画では、お腹が出始めた優しい科学者のパパと、スーパーヒーロー2役を演じている。
脱いだらムキムキだってわかっているのに、科学者のパパの方は本当に歳をくったパパに見えてくるから役者さんってすごい。老けメイクってすごい。

この映画には『スーパーマン』と、『スパイダーマン』と、『X-メン』と『ファンタスティック・フォー』と、ちょっぴり『バイオハザード』の要素が入っている。
巨大な地下の研究所を表現するCGなんて、まさにそのもの。
ウィルスとワクチンを操作して儲けちゃってる悪役を演じたヴィヴェク・オベロイはかなりイイ味を出していたが、あの登場の仕方は、どう考えても『バイオハザードIV アフターライフ』の悪党アルバート・ウェスカーだって(笑)。

なんて、ことは、ほぼご愛嬌になるぐらい、相変わらずインド映画は限度を知らない超ど級アクション描写が本当に面白い。
ムキムキヒーローの最初の登場の仕方はカッコ良過ぎて鳥肌が立ったが、“飛行機の一部”になっていたCGに思わず吹き出した。
あと、スーパーヒーローのコスチュームについてだが、ハンサムでナイスバディが光沢系の黒いコスチュームを着るのはこのうえなくカッコいい、が、

しかしっ!
足もとを見ると、いかんせん“ズボンと靴”感が否めない。

オイオイ、洋品店で買ったのかそのコスチューム。
アパレル系の人に、「ズボンという言い方はやめてくださいズボン→パンツです」と言われても訂正することなんてできない。明らかに“ズボンと靴”なのだっ!

しかもっ!
アップになると、その靴は、明らかにスニーカーではないかっ!どこで買ったんだ!そのスニーカー!

とは言え、スーパーヒーローは人助けをするとき以外は一般人として暮らしている。
人助けが忙しいので、すぐ居なくなることから仕事はクビになってばかりだ。
しかし、家族はスーパーヒーローであるということを知っているので、「またクビになったの?」とあまり気にしない。
(パパは科学者で奥さんはニュースキャスターなので収入的には問題ないらしい)

奥さん役のカー・チョープラーは、唇が印象的な超美人。
20世紀最後のミス・ワールド優勝者らしい。

そして、悲運な美しきミュータント役はカングラー・ラーナウトという女優さん。
この、どんな姿にもなってしまうキャラクターは、絶対『X-メン』シリーズのミスティーク参考にしてるでしょ。

途中「クリッシュは誰なんだ?」と悪役が詰め寄るシーンがあるが、「誰が見たってわかるでしょ。すぐに」とつっこみたくなるのを我慢しながら観ていると終盤、不覚にも優しい科学者のパパの「愛」に涙する。
チックショー突っ込みどころ満載の映画でウルウルしちまったと悔やんでいたら、さらに追い打ち。

「クリッシュは思想よ」
スーパーヒーローは特殊な能力を持って万人を救えるが、それがこの世の救いではない。
この世を救うのは、人の心にある“善意の気持ち”だ。
誰かが誰かを助ける、手を差し伸べる。
その気持ちこそが「クリッシュ」なのだと。

その「思想」という言葉に宗教を感じて拒否反応を起こす人もいるらしいが、素直にその心持ちを受け止めたらいいんじゃないのかなあと思う。

「クリッシュ」という名前は、インド神話の神の名からとったものらしい。
『ラ・ワン』でもそうだったが、インドのスーパーヒーローの名前の由来は「神」が絡むことが多いようだ。
飛び立つときチョッピリ遅い気がするスーパーヒーローに会えるインド映画、是非ご賞味あれ。

もちろん歌と踊りもあるよ。
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。

クリッシュ

監督: ラケシュ・ローシャン
出演: リティク・ローシャン, ヴィヴェーク・オベロイ, プリヤンカ・チョープラー, カングナ・ラナウト, アミターブ・バッチャン

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