今日の1本 昼下りの情事(1957)gattoのレビュー
昨年は、かわいい顔した女優さんが不倫妻を演じた日本のテレビドラマが話題になったので、「よっしゃカトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『昼顔(1967)』でも観たろか」と思っていたら、ふと目にしたオードリー・ヘプバーン主演の映画『昼下がりの情事』を手に取ってしまったので、こちらを観ることに。何故ならば、このあまりにも有名な映画を、まだしっかりと鑑賞していないことに気付いたからだ。
“サブリナパンツ”など、ファッション面でも有名なオードリー・ヘプバーン。彼女の作品をあまり知らない人ならば、思わずエロい想像をしてしまうようなタイトルだが、もちろん、今のハリウッドでは考えられないような清純派の女優さんなので、そんな激しいエロエロエッサイムな描写はない。
今のハリウッド映画ときたら…
知り合って…すぐチョメチョメだもんな!
ま、とにかく、この女優さんの映画はどれも、キュートで可憐で、パリのエスプリ感溢れる雰囲気が定番と言ったところ。もちろん、この映画も例に漏れず。
物語は、探偵の娘が父親の調査対象であった富豪に恋してしまうことで急展開するが、よりによって、まだまだ幼く恋に恋する娘が夢中になった相手は、色事に関しては百戦錬磨の超プレイボーイ。
そんな二人は、探偵の娘の勇敢な行動によって対面を果たす。
しかし、二人の年齢が明らかに離れすぎているので思わず「親子かいな」と突っ込みたくなる。ただ、その富豪プレイボーイを演じるのは、あの名俳優ゲイリー・クーパーなので、このうえなくダンディでセクシーだ。これなら、若い娘だって惚れてまうやろ。
富豪プレイボーイの過去を、父親の資料ですべて把握していた娘は、一旦それ以上接近することを躊躇する。しかし、そこはすご腕プレイボーイ。巧みな言葉と誘導でさらに急接近。
しかし、純な小娘だからこそ、澄んだその瞳は人を見抜く力を持っていた。また、父親の仕事のこぼれ話を耳にしたり、調査資料を片っ端から見ていたことで、色恋ごとに関し耳年増になっていたのである。だからこそ、あたかも、プレイ・ガールのように背伸びしても、すっかりそのように自分を装うことに成功した。
途中、足首につけるアクセサリー「アンクレット」についてのエピソードがあるが、実はアメリカで用いられる俗語で「ankle(アンクル:くるぶし)」は“いい女・いかす娘”としての意味合いも持つようだ。
そんな、劇中のさまざまなセリフも登場人物も魅力的で、どんどん物語に惹きつけられる。また、富豪のプレイボーイが何処に行っても“おかかえ楽団”と一緒なのが笑える。そして、その楽団の連中がまた、上品で滑稽なのである。
ヤケになった富豪と楽団メンバーとの、“お酒のやりとり”は、本当にセンスのある笑いの演出が素晴らしい。まさに、数多くの名作を世に送り出したビリー・ワイルダー監督の「粋」ではないだろうか。
この『昼下がりの情事(LOVE IN THE AFTERNOON)』という、一見秘めごとを感じるタイトルは、実はむしろ、夜のドロドロとした男と女の関係とは、一線を画した表現なのではないかと感じた。恋する乙女ならではの、午後の日差しを感じるようなLOVE IN THE AFTERNOONなのだ。決して、鼻息荒く服を脱がし合ったりはしない情事。
最後のシーンでは、痛々しいほど強がる娘の姿と、思いもよらぬ展開に涙がどっとこぼれた。そして、父の愛の深さと懐の大きさが、さらに涙を誘った。父親役のモーリス・シュヴァリエは適役だったと思う。
ラストシーンの盛り上がりが完ぺきな名作を、
是非ご賞味あれ。
映画と現実の狭間でROCKするgattoでした。
昼下りの情事
出演: オードリー・ヘプバーン, ゲイリー・クーパー, モーリス・シュヴァリエ, ジョン・マッギヴァー, ヴァン・ドゥード
監督: ビリー・ワイルダー
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