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CINEMAバリQ

【不良探偵ジャック・アイリッシュ 3度目の絶体絶命】
是非とも同俳優陣でテレビドラマ化して欲しいと願うほど愛着がわいてしまった作品

不良探偵ジャック・アイリッシュ 3度目の絶体絶命 映画あらすじ

過去に妻を依頼人の逆恨みで殺されたジャック・アイリッシュは、弁護士を辞めてから定職につかず、競馬のオッズ操作や借金取り、探偵や、家具職人の弟子などをして生活していた。
そんなある日、弁護士時代からの友人ダミアンに調査を頼まれていた人物が、薬物の過剰摂取で死亡したことを知る。

そして、その出来事には、大切な人間を危機的状況に陥れる“からくり”が潜んでいた。

不良探偵ジャック・アイリッシュ 3度目の絶体絶命 映画レビュー

オーストラリアの人気作家ピーター・テンプルの小説を映画化した今作品は、シリーズ3作目。
テレビ映画なのでスケール感は小さく、作風なのか予算が少ないのか抑揚が少なく、話が淡々と進み、そして穏やかに終わる作品だ。

サスペンス度は低いしアクションシーンも少ない。
ジャック・アイリッシュは腕っぷしよりも知性と度胸で乗り切るタイプだが、舌を巻くほど知的な応戦を見れるわけでもない。

とはいえ、このシリーズが本当に好きでたまらない。
その理由は、1作目から既に愛着がわいたキャラクターに、2作目を経てその想いが深まり、さらに3作目で決定打を打たれ、もう「好きでたまらない」になってしまったのだ。

ジャックと、パブにたむろする爺様たちや、パブのオーナー、家具職人の師匠との心和む距離感。
競馬オッズの捜査で稼いではいるけれど、懐が深く優しいハリーや、裏社会で生きているであろうキャムも男気にあふれて、気もいい。
しかも、いざというとき非常に頼りになる男なのだ。

そして、いつでも何か食っているし、お下劣極まりないメタボな刑事も、なんだかんだいって頼りになるので、すっかり愛着がわいてしまった。

また、大人の雰囲気であることも、この作品が好きな理由である。
男女の関係は一見ドライだが、セクシーな声と知性にあふれるリンダとジャックとの関係は、なぜかすこぶる「いい関係」だ。

男女に限らず、友人同士の関係もそうだ。歯の浮くようなセリフは一切なく、口は悪いし皮肉っぽい。
サバサバしていて、お涙ちょうだいはほとんどない。それなのに、驚くほど優しさが伝わってくる。
口は悪いが配慮は絶対に忘れない。その部分がこの上なく大人な感じなのだ。

また、作品全編にわたり、怒号したり、絶叫したりするシーンは少ない。
邦画でよく「あ“―――!!」と若い俳優さんが絶叫するシーンを見かけるが、あの演出はどうしても幼稚に見えてしまう。

それに、穏やかで和む空気はもちろん、アナログでクラシカルな雰囲気も、インテリアも、気球によって雄大で心落ち着く情景を描いているところなんかも、本当に魅力的だ。

そして、なんといってもジャック・アイリッシュという人物像である。
映画の宣伝では、不良探偵だの酒と女に目がないだのといった謎のキャッチフレーズが飛び交っているが、周囲の人間を大切にする誠実な男にしか見えないし、やたら女好きでもない。
率直だが空気は読めるし、冷静で、洒落が利いて、そして穏やかだ。

これまで、様々なガイ・ピアース作品を観てきたが、この役柄ほど彼にハマっているものはないと個人的には思う。
つまり、この映画はストーリーうんぬんよりも、「いい雰囲気」と「キャラクターの魅力」を堪能する映画なのである。

ただ、今作品でなによりも残念なのは、家具職人の頑固な爺さまがいなかったこと。
もしも次回作がつくられたとしても、永遠に「旅行中」という設定になるのかもしれない。

家具職人の師匠を演じたベテラン俳優ヴァディム・グロウナは、ジャックとの、親子のような関係にジンワリさせてくれたシリーズ2作品目「不良探偵ジャック・アイリッシュ 2人の父への鎮魂歌(2012)」を最後に、この世を去ってしまったからだ。本当に、本当に、本当に残念だ。

映画と現実の狭間でROCKするライター中山陽子(gatto)でした。

不良探偵ジャック・アイリッシュ 3度目の絶体絶命(2014)

監督 ジェフリー・ウォーカー
出演 ガイ・ピアース/マルタ・デュッセルドープ/アーロン・ペダーセン/ロイ・ビリング

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