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CINEMAバリQ

【ヴィジョン/暗闇の来訪者】
『ソウ』シリーズ監督のサスペンススリラー

ヴィジョン/暗闇の来訪者 映画あらすじ

忘れがたい交通事故から1年後、イヴリーは夫と自然に囲まれた土地でワイナリーの経営をはじめる。交通事故によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えながらも、新天地で夫と幸せに暮らすイヴリーだったが、出産が近づくにつれ奇妙なことが起こりはじめる。霊に憑りつかれていると訴えるイヴリーに対し、周囲は妊娠による体調の変化や、PTSDの症状だといって取り合わない。しかし、ワインのバイヤーであり、その土地の事情をよく知るヘレナだけは、何かを知っているようだった。

 

ヴィジョン/暗闇の来訪者 映画レビュー

「やっぱりな」8割、「そう来たか」が2割の映画だった。
とはいえ、この手のサスペンススリラーが好きなので、無理なく楽しむことができた。モヤモヤ散らばっていた伏線も、後々明かされていく真実がきれいに回収してくれる。

ただ、終盤の盛り上がりで、主人公がアワアワ言いながら見ているだけだったのが、どうも気に食わない。大怪我をした人物本人が「救急車は呼んだ」と言って倒れこんだときは、心から同情してしまった。途中、怪力で“母の底力”を見せてくれたが、それ以上を期待すると、ちょっとイライラするかもしれない。

主人公を演じたのは、『グランド・イリュージョン (2013)』『華麗なるギャツビー (2012)』などにも出演している、かわいい系女優さんアイラ・フィッシャー。この作品の役柄ではイラッとさせられたが、『グランド・イリュージョン (2013)』では頼もしい女性を演じていた。

ちなみに主人公の友人アイリーンを演じたのは、アメリカの人気ドラマ『デスパレートな妻たち』で大ブレイクしたエヴァ・ロンゴリア。今作品で登場したときは、ラテン系のセクシーさにミステリアスな雰囲気が加わり、「きっと何かしでかしてくれる」と思いっきり期待させてくれたが、全くと言っていいほど何もしなかった。

しかし、それ以上に謎なのは、ワイナリーがこぞってひれ伏すワインの大御所バイヤー、ヘレナだ。もちろん他の人々よりは霊感が強く、主人公が置かれた状況にも理解が深かったが「だから、結局あの人はなんだったんだ」としか言いようがない。もともと主人公のイヴリーが体感したであろうことを、ただ一緒に体感したがけやないかい。

そして、もうひとつ、ついでに突っ込むならば、霊媒師によってもたらされた何百年前の代物に“重み”がなさすぎる。なんだか小ぎれいに残されていたため、まったく古さを感じなかった。あそこは肝心要の部分じゃないんかい。

 

とまあ、例のごとく突っ込むことも楽しみながら、ゾクゾクして鑑賞するサスペンススリラーなのである。主人公夫婦が住み始めた家が、やたら幻想的に映されているので「まさか……、まさか夢オチじゃねえだろうなっ」と疑い続けて鑑賞する人も少なくないかもしれない。実際のところどうなのかは、ぜひ作品を観てご確認を。

ライター中山陽子でした。

 

ヴィジョン/暗闇の来訪者(2015)

監督 ケヴィン・グルタート
出演者 アイラ・フィッシャー/アンソン・マウント/ジリアン・ジェイコブス/ジム・パーソンズ

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