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CINEMAバリQ

【LEGO(R)ムービー】
笑って泣いて歌える異常なまでに楽しいLEGOの映画

LEGO(R)ムービー 映画あらすじ

エメットはブロック・シティに暮らす平凡な建設作業員。とにかく楽天的でハッピーで、すこぶる真面目な青年だ。彼は何でもかんでもマニュアルに従って生活することで、毎日を平穏に過ごしていた。だがある日、落としたマニュアルを拾いに工事現場へ戻ったエメットは不審な人物に遭遇。すぐに通報しようとしたところ、うっかり現場の奥深くまで落ちてしまい、行き着いた場所で世界を救える「奇跡のパーツ」を見つける。それからというもの彼は「選ばれし者」とされ、世界征服を阻止する戦いに巻き込まれていく。

LEGO(R)ムービー 映画レビュー

LEGOと言えば、カラフルな色のプラススティックのパーツを組み合わせて遊ぶデンマークの玩具だ。この玩具を製造するLEGO Groupの2015年売上高は54億USドル、従業員数は13,974名である。そーんな巨大企業の玩具を使った映画なんて、きっとマーケティングの匂いがプンプンして、幼稚で退屈だろうと思いこんでいた。

しかーし!ぜーんぜん違っていた!

想像を一千万光年以上遥かに超えて面白かったのだ!

CGでつくりあげられたLEGOの世界も圧巻だったが、小刻みでハイテンションな笑いの応酬と、映画の中に込められた人々へのメッセージが、この映画を特別なものにしていた。

映画の冒頭では、完璧にマニュアル通りに生きるエメットのバカがつくぐらい能天気な1日が映し出される。「すべてはサイコ―!!みんなのマネして生きてこ~♪」と底抜けに明るい笑顔で歌うエメットの、どんだけマニュアルに沿うんだ的なライフスタイルを見せられているだけなのに、いちいち勘所を押さえた笑いに襲われる。このシーンだけでも大爆笑したが、それからずーっとこの映画は笑わせてくれるのだ。しかもチョッピリ泣かせてくれる。

そんなわけで、映画が始まってものの十数分で疑うことを知らないアホ面エメットが大好きになった。マニュアルがないと何をどうしていいのかさっぱりわからないエメット。それゆえに、ワイルドガールと魔法使いのウィトルウィウスとエメット自身が、エメットの頭の中をのぞいたとき中身は空っぽだったのだ(笑)。

でも、そのときの彼らのやり取りは、むしろ何もないことでそこに生まれる創造力が無限大であることを示唆している。

しかしエメットは「選ばれし者」として大勢の前で演説する際、「僕はあれもできないし、これもできない。これが優れているわけではないし、とくに得意なものもない。」といった具合に、すべて正直ありのままの自分をさらけ出してしまう。このとき映画の中のキャラクターたちは失望するが、すぐに観客は気づくはず。見栄も虚栄も張らない真面目なエメットは、心から信頼できる貴重な存在だと。

ちなみにエメットは、顔が平凡すぎて誰にも覚えてもらえない。世界征服をたくらむ“おしごと大王”がエメットを捕まえようとして顔認識にかけても、顔が平凡すぎて登録されている顔のデータベースすべてに引っかかってしまう始末。(まあミニフィグだからな)

でも、彼はただただマニュアルに沿って真面目に生きてきたが、それは決して無駄ではなかった。マニュアルによって大事な基礎を地固めした彼が「自分はできる」と信じたら、そこには屈強な力が生まれるからである。

自分なんて個性も才能もないからクリエイティブなことなんてきでないと思っているあなた。LEGOブロックなら組み立てていくだけで、自分の中に隠れているクリエイティビティを掘り起こしてくれるはずですよ!

って、違った。LEGOの宣伝をしているんじゃなかった。

とにかく……、若いころは自分を特別だと思い、なんでもできると思ったけれど、どんどん眼も体も顔も頭も悪くなっていき、今となっては人々の陰に埋もれて、もう誰にも注目されることなんてないと、毎日自分を卑下して生きる女(筆者)でも、この映画を観ていたら「自分はできる」と信じてもう一度立ち上がろうと思えた。とりあえず……、LEGO買ってみっか。

てな具合に映画も販促も大成功した映画
『LEGO(R)ムービー(2014)をぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

LEGO(R)ムービー(2014)

監督 フィル・ロード/クリストファー・ミラー
出演者 クリス・プラット/ウィル・フェレル/エリザベス・バンクス/ウィル・アーネット

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