10月の平均買取価格 8,740円
平均買取点数113点、お客さま1件あたりの平均買取実績です。

CINEMAバリQ

【ライト・スタッフ】
サム・シェパードがチャック・イェーガーを演じた映画

ライト・スタッフ 映画あらすじ

エドワーズ空軍基地(ミューロック陸軍飛行場)では、さまざな機体のテスト飛行が繰り返し行われていた。テストパイロットのチャック・イェーガーは、怪我を隠してロケット機「ベルX-1」のテスト飛行に挑み、それまで誰も成し遂げられなかった音速(マッハ1)の壁を破ることに成功。1947年のその日、人類初の有人超音速飛行が達成された。

それからアメリカは、ソ連に負けじと総力を挙げて宇宙ロケット開発へ。有人宇宙飛行を成功させるため、各軍から宇宙飛行士候補者を募る。やがて、厳しいテストを通過した精鋭7人が、ザ・マーキュリーセブンとして選出される。

 

ライト・スタッフ 映画レビュー

頑固そうだけど温かみのあるハンサムな俳優さん。繊細で上品なのに、荒々しい自然のなかに佇むような雰囲気もある。ヴィム・ベンダース監督の『パリ、テキサス(1984)』 の脚本を書いたことも有名だ。そんなサム・シェパードは、実のところ俳優以前にライターであり、ピューリツァー賞の受賞経験を持つひと。映画では主役としてガンガン前に出てくるわけではないので、出演者のなかに名前を見つけては何となく喜んでいた。

その彼が、残念なことにこの世を去ってしまった。すると今まで、彼の出演作品(脚本で携わったものも)を意識して観ていなかったことに気がつく。そこで今回は哀悼の意を込めて、この『ライト・スタッフ』だ。

第56回アカデミー賞で作曲賞など4部門を受賞しているとても有名な作品。俳優としてのサム・シェパードの代表作といえるかもしれない。トム・ウルフの同名ノンフィクションの映画化で、宇宙飛行士の実話を基に描いた見ごたえある作品だが、実はそれほど進んで観るタイプの映画ではないため未鑑賞だった。だが、結果的には、とても深く心に残る映画となった。

 

ライト・スタッフとは、「己にしかない正しい資質」「必要とされる資質」という意味を持つらしい。前者と後者では供給と需要みたいで別物のようだが、そもそも、どちらも本来のニュアンスが伝わりにくい。どちらかといえば後者だろうか。

いつ死んでもおかしくないという、常に厳しい現実と向き合っているテストパイロットは、誰かが墜落して命を落とすと「あいつにはライト・スタッフが足りなかったのさ」という。逆に、たとえミッションに失敗してカッコ悪くても、生還すれば「あいつにはライト・スタッフがある」という。つまり、命をかける勇気があり、しかもその危機に対応できる資質がある、という意味をこめているようだ。

また、それを美化したり、それを用いて死者を侮辱したりすることも、「ライト・スタッフ」を持つ者にはそぐわない。だからテストパイロットらはこの「ライト・スタッフ」という言葉を軽々しく口にしないのだ。

 

正直なところ、上映時間160分のこの映画を鑑賞するにあたって、

「なーーーーーーーーーげーーーーーーーー(長い)」

と思わなかったわけでもない。だが、誰よりも極上のライト・スタッフを持つチャック・イェーガーを演じた、若かりし頃のサム・シェパードがビックリするほどセクシーだったし、テストパイロットとして生きる男たちの「暗黙の誇り」にもグッときた。

また、この映画を観たすぐあとに、テレビで航空自衛隊のアクロバット飛行チーム、ブルーインパルスの姿を目にした偶然のおかげで、ますます強く記憶に残る映画となった。

そして、国家の重圧にも負けないザ・マーキュリーセブンの団結力もすごくいい。でも色々比較されただろうに、実際には妬みひがみも多少はあったんじゃないかと、つい下衆の勘ぐりをしてしまう。しかし、人類未踏のハードで危険なミッションに挑んでいるにもかかわらず、おサルさんと比較されていたのだから、やはり一致団結していたのかもしれない。

 

なお、若すぎて最初は誰だかわからなかったが、すぐ頬骨の張り具合でデニス・クエイドだと気づき、当時ならではの“やんちゃ”な演技を楽しんだ。また、どんなに若くてもすぐわかるエド・ハリスやスコット・グレン、フレッド・ウォード、ジェフ・ゴールドブラムにおいては、その頃の若々しい演技はとても新鮮だった。

 

ライター中山陽子でした。

 

ライト・スタッフ(1983)

監督 フィリップ・カウフマン
出演者 サム・シェパード/スコット・グレン/エド・ハリス/デニス・クエイド

フィリップ・カウフマン監督作品の買取金額の相場はこちら
サム・シェパード出演作品の買取金額の相場はこちら
スコット・グレン出演作品の買取金額の相場はこちら