【スリー・ビルボード】
アカデミー賞の2部門を受賞した「怒りと愛」の狭間に皮肉が見え隠れする映画
スリー・ビルボード 映画あらすじ
アメリカ、ミズーリ州の田舎町に、3枚の真っ赤な広告看板が新たに設置された。そこに書かれているのは、地元警察への批判メッセージ。そして、その広告主は、悲惨な事件で娘を失った母親、ミルドレッドだった。数か月経っても捜査の進展が見えず業を煮やしたのだ。それに、世間の関心が集まれば、捜査も進むだろうという腹積もりもある。しかし、人望の厚いウィロビー署長を名指しで批判している看板を、多くの住民たちは快く思わなかった。特にウィロビー署長を敬愛するレイシストの警官ディクソンは、心の中で激しい怒りを募らせていた。そして、事態は思わぬ方向へと進み……。
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スリー・ビルボード 映画レビュー
コーエン兄弟制作の映画『ファーゴ(1996)』では、冷静かつ穏やかで、強い意志を持つ女性署長を演じたフランシス・マクドーマンドさんが主演を務めた映画です。
監督は、ブラックコメディの名手といわれる『ヒットマンズ・レクイエム(2008)』のマーティン・マクドナーさん。イカれたレイシストの警官、ディクソンを演じたサム・ロックウェルさんとは、『スポケーンの左手(2010)』や『セブン・サイコパス(2012)』でも協働しています。
この作品の中で最も圧倒されたのは、やはり、フランシス・マクドーマンドさんの演技です。比較的、声に抑揚がなく表情も乏しいのですが、目や顔の微妙な動きと些細なしぐさだけで、娘を失った母親ミルドレッドの後悔、執念、気づき、解放といった、心の機微を感じさせてくれました。
ミルドレッドは同情すべき人物でありながら、恐ろしいほど強く、猪突猛進型で可愛げのないオバサンです。ときには大きな間違いを犯すこともあり、差別の心もゼロではありません。それでいて、ときおり敵を味方に変えてしまうような、弱さや優しさを浮き立たせることがあります。
この難解なキャラクターを見事に演じたマクドーマンドさんは、第90回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。また、予測不可能な行動ばかり起こすディクソンを演じたサム・ロックウェルさんも、助演男優賞を受賞しています。
おかしなもので、自分に対し怒りを抱えていたり、特定の誰かに怒りを抱えたりしていても、「怒り」はランダムに回されてしまった回覧板のごとく、「誰かに渡さなきゃ」と、結局は向けやすい人に向けられてしまいます。「怒り」をもたらしたものが何なのか、論理的にたどっていけば冷静になれるかもしれませんが、この物語においては無意味かもしれません。なぜならば、「怒り」がテーマですから。
何にせよ、怒りは連鎖するもの。怒りは怒りしか生まず、復讐は復讐しか生みません。それゆえに、あるシーンでは「怒りは怒りを来す」という言葉が幾度も聞こえてきます。しかし、この映画はそれが間違いであるとか、人間的な感情や優しさを持つべきだとかのメッセージを込めたり、感動的に描いたりする気は毛頭ないようです。
ラストは少し皮肉で、不思議と穏やかで爽やか、それでいて心強いという、面白い終わり方でした。怒りを抱えた者たちは、愛と情によって冷静さを取り戻し、「怒り」をかたちにすることで、自らの問題の解決策を見出したのです。
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この作品は、第90回アカデミー賞で2部門を受賞したほか、作品賞、脚本賞、作曲賞、編集賞などでもノミネートを受けました。また、2017年・第74回ベネチア国際映画祭では脚本賞、同年のトロント国際映画祭では最高賞にあたる観客賞を受賞しています。
筆者にとっては、『ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994)』のせいか「暴れん坊キャラクター」のイメージが強いウッディ・ハレルソンさんですが、今作では親しみやすい人格者、ウィロビー署長を演じ、アカデミー賞助演男優賞候補になっています。
ライター中山陽子でした。
スリー・ビルボード(2017)
監督 マーティン・マクドナー
出演者 フランシス・マクドーマンド/ウッディ・ハレルソン/サム・ロックウェル/アビー・コーニッシュ
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