【エイリアンVSプレデター】
思わずプレデターに愛着がわいてしまう映画
氷の下に現れた謎の巨大遺跡――「エイリアンVSプレデター」
【あらすじ】
ある日、ウェイランド社の人工衛星は、南極のブーヴェ島に強い熱反応があることを感知。地下奥深くに巨大な建造物が出現していた。その異常事態を受け、ウェイランド社の社長チャールズ・ビショップ・ウェイランドは、世界中から優秀な探検家や考古学者、地層学者に、傭兵や発掘業者などを集め調査チームを発足。ほとんど準備が整っていない状況で、調査に向かうのは危険だという女性探検家レックスの言葉を無視し、ウェイランドは調査を強行するが……。
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落ち武者っぽい着ぐるみプレデター――「エイリアンVSプレデター」
【レビュー】
人気2大クリーチャーがバトルを繰り広げる作品です。エイリアン、プレデターファンの方ならばまた違った感想になるかもしれませんが、そこまで双方のキャラクターに熱を入れていない筆者の場合は、色んな意味で大いに楽しめました。
監督は、『バイオハザード』シリーズのポール・W.S.アンダーソンさん。地下奥深くにある巨大ピラミッドの描き方(デジタル上の構図だけで規模を示す)が、どうしても『バイオハザード』に登場するアンブレラ社の地下研究所「ハイブ」に見えてしまいます。
この作品のポイントは、何といってもプレデターがゆるキャラに見えてしまうこと。髪(?) を振り回し、人間と一緒に走ったり乗っかったり闘ったりしている姿は、まるで中に人が入った落ち武者の着ぐるみです。また、そのプレデターが人間とジェスチャーでこんな感じのやりとりをするので、
(これね……、こう……。ね? 強い酸にも負けない材質なんだよ)
(ほんとうだ。いい盾と武器になるね!)
(うん)
――見つめ合う――
「何してるの?」
(これね……、こう……。ね? ボーン)
「爆弾ね?」
(うん)
――見つめ合う――
(いい? 素顔見せちゃうよ)
(あ、ちょっとエグイかも。さすがにキスとかは無理かな)
(あのね、よく頑張ったね。これ、頑張った印だよ)
(痛そうだけど、いいよ)
(ね? いい感じでしょ? 特別なんだからね……)
(うん……。ありがと……)
――見つめ合う――
もはや、いったい何を見せられているのかわからなくなってしまいます。とはいいながら、実はこうした展開がすごく好みなので、大喜びしながら鑑賞させていただきました。ニール・ブロムカンプ監督の『第9地区 (2009)』を観ている気分にもなれます。
いずれにせよ、エイリアンとプレデターが激闘を繰り広げるシーンは大迫力。その部分は、SFホラーアクションとして十分に見ごたえがあるのではないでしょうか。
【登場人物と出演者】
聡明な女性冒険家のアレクサ・ウッズ(レックス)は、当初この調査に反対していましたが、正義感が強く他の参加者を放っておけなかったため、結局は参加することになってしまいます。知恵がよく回り、逞しく、おまけにエイリアンまで倒していたので、そのへんの傭兵よりずっと頼もしいかもしれません。演じるのはサナ・レイサンさん。『ブレイド(1998)』では、ブレイドのママを演じていましたね。
考古学者のセバスチャン・ウェルズは、発掘調査の資金援助を断たれ崖っぷちになっていたとき、実業家のウェイランドに調査隊の一員としてスカウトされます。レックスといい関係になるのかと思いきや、そうではありませんでした。おいしいところは、ほとんどプレデターに持っていかれます。演じるのは、ハンサムなイタリア人俳優のラウル・ボヴァさん。
チャールズ・ビショップ・ウェイランドは、ウェイランド社の社長。名誉欲しさに専門家が止めるのも聞かず、調査を強行します。それなら、何のために専門家を呼んだのやら。とはいえ、終盤は男気を見せる部分も。演じるのは『エイリアン』シリーズのアンドロイド、ビショップを演じているランス・ヘンリクセンさん。
自分の子供のために写真を撮りまくっていた地層学者のグラハム・ミラーは、一見すると能天気な小心者ですが、実際にはとても勇敢な男性でした。家族思いのいいパパでもあり、やたら人に我が子の写真を見せたがります。演じるのは『トレインスポッティング』のスパッド役で知られるユエン・ブレムナーさん。
マックス・スタッフォードは、ウェイランド社長の秘書兼ボディガード。冷酷なようでいて、仲間思いなところもあります。演じるのは、コリン・サーモンさん。『バイオハザード(2002)』では、アンブレラ社特殊部隊隊長を演じ、網状のレーザーグリッドで細切れになるという、グロテスクな演出の餌食になっていました。監督が同じせいか、今回の作品でもプレデターのワイヤーネットを絡められています。恐らく「またこれかよ」といったはず。
そして、スカーは仲間とともに地球にやってきたプレデターのひとり。もちろん、凶暴なハンターであることは間違いありませんが、プレデター界ではかなりのイケメン&ジェントルマンかもしれません。
【結論】
女性探検家のレックスの強さが半端ないのはさておき、やはりエリアンのゴッドマザー「エイリアン・クイーン」は期待どおりの強さでした。一方、プレデターは着ぐるみを着た人間にも見えてしまうので、強さと弱さと情を兼ね備えた親しみあるクリーチャーを見たいなら、おすすめの映画です。
ライター中山陽子でした。
エイリアンVSプレデター(2004)
監督 ポール・W・S・アンダーソン
出演者 サナ・レイサン/ラウル・ボヴァ/ランス・ヘンリクセン/ユエン・ブレムナー