【アベンジャーズ エンドゲーム】
再び1作目から愛でたくなるアベンジャーズ最後の戦い
宇宙の生命体が半減。その後――「アベンジャーズ エンドゲーム」
【あらすじ】
スペース、マインド、リアリティ、タイム、パワー、ソウル、6つのインフィニティストーンを手に入れた宇宙最強のヴィラン・サノスによって、宇宙の生命体の半分を消し去られてしまった世界。地球で散り散りになったアベンジャーズたちは、どうにも出来ないもどかしさに打ちひしがれたり、他者に働きかけ正常心を保とうとしたり、良くも悪くも全てを忘れ、新しい人生を歩んだりしていた。しかし、限りなく小さいけれど、ある可能性が見え始め……。
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思わず泣いてしまう――「アベンジャーズ エンドゲーム」
【レビュー】
感慨深いというより、喪失感が大きいというほうが、しっくりくるかもしれません。2008年の『アイアンマン』から始まり11年目、とうとうこの日が来てしまいました。これまで長く慣れ親しんできたアベンジャーズ最後の……、本当にラストの戦いです。最強最悪の敵によってボロボロにされたアベンジャーズに残されたのは、紛れもなく至上最強の「絆」でした。
今回の作品は、「“この”アベンジャーズは本当に終わりだよ」と、マーベルから断言されたに等しい印象です。マーベル・スタジオの製作社長であるケヴィン・ファイギ氏も、アベンジャーズ第4弾は「決定的な終わりになる」とカナダの新聞に語ったそう。
とはいえ、「“今後”のアベンジャーズ」を示唆している部分も大いにあり。とても寂しいですが、その可能性を胸にエンドゲームを楽しみましょう!
では、『アベンジャーズ エンドゲーム(2019)』における、主な登場人物の“雰囲気”を紹介していきます。
【登場人物と出演者】
● トニー・スターク/アイアンマン
いつも堂々としていた彼も、なんだか今回はボロボロ。痛々しさがぬぐえません。でも、かつて金持ちでプレイボーイで、武器商人だった彼は、家族と仲間と地球を愛する正真正銘のヒーローになりました。演じるのは、ロバート・ダウニー・Jrさん。以前は色々と問題があった彼を、『アイアンマン(2008)』に起用した ジョン・ファヴローさんの功績は大きい。この人なしで、このシリーズは成功しなかったかもしれません。
● スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ
政府には楯突くけれど、確固たる信念・正義を貫くアベンジャーズきっての優等生キャラ、キャプテン・アメリカも、今回はさすがに参っています。この人が、優れたリーダーシップを発揮できたのは、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)』で示されていたとおり、肉体的な強さではなく、強靭な精神力を持っていたからなのだと、今回しみじみ感じました。演じるのはムキムキなイケメン、クリス・エヴァンスさん。
● ブルース・バナー/ハルク
1作目の『アベンジャーズ(2012)』では、腫れ物扱いされている天才科学者(怪物)という感じでしたが、今回の作品では、知的で温和で大らかな、強くて優しいお茶目なキャラクターになっています。演技派としても知られる マーク・ラファロさんの穏やかな表情が、しっかりハルクにも生きていますよ。キャラクター・アークが完成して、ものすごくチャーミングになったことだし、今後も面白おかしく登場してほしいものです。
● ソー
いつも自信満々で、俺様な印象だったアスガルドの王、ソーも今回はズタズタ。メンバーのなかで、もっとも精神が病んでいます。しかし、実はこれが、内面の大きな変化につながっていくわけです。『マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)』以降、面白おかしいキャラクターの「ソー」を望んだクリス・ヘムズワースさんの意図が継続されており、かなり笑わせていただきました。しかし、どんな状態でもイケメンはごまかせず。
● ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
容姿からはとても想像できない、飛びぬけて高い戦闘能力を持つ元S.H.I.E.L.D.のエージェントで、アベンジャーズの一員。そんな彼女も、宇宙規模のヴィランによってズタズタにされてしまいました。髪の毛など見た目もかなり悲惨なことに。しかし、スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)同様に強い精神力を持っているので、針1本の太さしかない希望の光でも力強く立ち上がります。演じるのはボロボロでも美しいスカーレット・ヨハンソンさん。バナー博士は、どうやらすっかり恋愛の対象外になったよう……。
● クリント・バートン/ ホークアイ/ローニン
元S.H.I.E.L.D.の優れたエージェントで、アベンジャーズの一員でもあったクリント・バートン(ホークアイ)は、すっかりマイホームパパに。しかし、それから一転……!? この役を演じる ジェレミー・レナーさんは、もともとダーティであったり反発的であったりするキャラクターを演じるのが上手なので、今回のビジュアルや雰囲気は意外にしっくりきていました。ソフトモヒカンなヘアスタイルは、キャラクターの変化が関係しているのかも。雨の東京が舞台のシーンでは、あの人も登場!
● ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシン
元アメリカ空軍大佐で、ウォーマシン、トニー・スタークの親友でもあるローディは、今回も信頼度の高い人物としてアベンジャーズを支えています。『シビルウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』では、戦闘で重傷を負ってしまいましたが、紆余曲折を経て再びウォーマシンとして活躍。飾らない優しさと思いやりを見せながら、時おり真面目な顔して突っ込み、笑わせてくれるナイスなキャラクターです。演じるのは演技派俳優のドン・チードルさん。
● スコット・ラング/アントマン
笑わせてくれるといえば、ネビュラにもバカ呼ばわりされてしまうこの方。スコット・ラング(アントマン)は今回、希望の光を皆にもたらすので、とても大きな役割を担っているといえます。このスコット・ラング(アントマン)とブルース・バナー(ハルク)が絡むシーンは、ホッコリ和ませること間違いなし。そこにソーとロケット、岩君ら(?)が入り混じると、ますますSFコメディ映画状態に。演じるのはポール・ラッドさん。
● キャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベル
『キャプテン・マーベル(2019)』では、MCU史上最大規模の強さを見せつけられたので、今回はどうなるのかと思っていたら、想像以上にキャプテン・マーベルの行動範囲は広く、想定以上にサノスは強かったようです。したがって、うまく適度に活躍します。なんにせよ、今回の作品でもやはり、元アメリカ空軍女性パイロットらしくキリっとして、ジェンダーレスで、真っすぐな印象でした。演じるのはブリー・ラーソンさん。
● ロケット
戦術家で狙撃手で、とても高い知能を持ったアライグマのロケットは、今回もその優れた能力をいかんなく発揮します。「ぬいぐるみかと思った」などと地球人にいわれていましたが、状況が状況だけに、これまでのように嫌味で返したり癇癪を起こしたりすることもなく、とても理性的でした。声はもちろんブラッドリー・クーパーさん。実際に演じていたのはショーン・ガンさんです。ガンさんの演技や表現が、そのままロケットの動きに活かされているとのこと。
● ネビュラ
今回の作品で新境地を開いたネビュラは、不器用ながらも、すっかり愛嬌のあるキャラクターになっていました。青い機械交じりの無表情な顔ながら、時に思いやりを見せ、時にガールズトークまで!? しています。よく考えたら、もっとも可哀そうなキャラクターかも……。演じるのは、実は美しくてスタイル抜群で、茶目っ気たっぷりのカレン・ギランさん。ネビュラを演じるため、実際に丸坊主にしたという役者魂の持ち主です。
● サノス
前作で、目的を果たした憎っくきサノスは、ちょっと驚くような“その後の姿”を見せます。生命体の半分を消し去ることが、この世の均衡を保つことだと信じて疑わない、困ったオッサン異星人ですが、そのブレない姿勢には目を見張るものがあります。演じるのはジョシュ・ブローリンさん。現場では、モーションキャプチャースーツを着たジョシュ・ブローリンさんが、サノスの顔看板を背丈位置に装着し、演じているはず。
その他はネタバレになるので控えます。ちなみに、先述のとおり、愛すべきソーの友人(岩君)も登場しますよ!
【結論】
最初はそれぞれ印象が悪かったけれど、未曽有の事態が起こり、心を許すようになって、やがて一致団結。しかし、思いがけず内紛が起こり、ついにはサノスが大暴れしてバラバラに。それでも繋がれていた最強の絆で、奇跡を起こしたアベンジャーズに、感慨無量の思いがこみ上げてくる映画です。
なんて、感慨にふけている場合じゃありません! MCUフェーズ3のラストであり、フェイズ4の皮切りともいわれる『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が近いうちに公開される予定です。大いに期待しましょう!
ライター中山陽子でした。
アベンジャーズ エンドゲーム(2019)
監督 アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
出演者 ロバート・ダウニー・Jr/クリス・エヴァンス/マーク・ラファロ/クリス・ヘムズワース