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CINEMAバリQ

【ギャラクシー・クエスト】
ウソを知らない無垢な宇宙人が愛おしいSFコメディ

熱狂的ファンかと思ったら本物――「ギャラクシー・クエスト」

【あらすじ】

伝説的人気を誇る SF・テレビシリーズ『ギャラクシー・クエスト』の放送終了から20年。いまだ人気が衰えず、熱狂的なファンに支えられてはいるけれど、キャストらはパッとしない俳優生活を送っていた。収入源はほぼサイン会やイベント、ドラマとは全く関係ないディスカウントショップのオープニングセレモニーなどのみ。そんなある日、ドラマで艦長役を務めていたジェイソンの前に、ちょっと変わってはいるが、礼儀正しく控えめなグループが現われる。「我が星を救って欲しい」と懇願する彼らの言葉が仕事の依頼だと思い込んだジェイソンは、「送り迎えはリムジンで頼む」といい残し立ち去るが……。

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ギャグと勇気と友情のSFストーリー――「ギャラクシー・クエスト」

【レビュー】

伝説的人気の SFドラマに出演していた俳優たちが、本当に宇宙戦争に巻き込まれる物語を描いた、カルト的人気のSFコメディです(ややこしい)。何にせよ、宇宙人サーミアンが猛烈に魅力的で愛おしいのです。彼らの純粋で健気な言動や姿が、世知辛い世の中ですっかり腐ってしまった人間たちの意識を変え、未来まで変えてしまいます。

この映画の魅力は、宇宙人サーミアンと、繊細なテクニックでベタに描いたギャグ、そして、愛と友情と勇気です。思わず涙を誘うシーンもある、大満足の逸品なのです。シガニー・ウィーバーさんがセクシーキャラ担当という時点で、かなり前の作品(1999年公開)だと容易にうかがわせますが、いま観ても、何度観ても、楽しく笑えて爽やかな気分になれます。

2000年度のヒューゴー賞を獲得したこの作品は、『スタートレック』へのオマージュが満載だといいます。しかし、『スタートレック』をあまり知らない筆者でもこれほど楽しめるのですから、必ずしも予備知識は必要ありません。が、知っているとより面白いのは確かです。ちなみに、本気の『スタートレック』ファンはこの作品を観て喜ぶのだろうか、それともイラっとするのだろうか。

監督は『ディック&ジェーン 復讐は最高! (2005)』や『REDリターンズ (2013)』などの作品を手がけたディーン・パリソットさん。筆者には笑いのセンスがピッタンコでした。

【登場人物と出演者】

映画の中の架空のドラマ『ギャラクシー・クエスト』で、ピーター・クインシー・タガート艦長を演じるのは、映画上の俳優ジェイソン・ネズミスです(ややこしい)。人の気持ちを考えないし、傲慢だし、適当だし、女好きだし、平気で仲間を裏切る(勝手に自分だけで仕事をとる)ので、メンバーからの信頼度は5%。その唯一の5%は、“決して悪ではない情がある人間性”の部分です。それが映画後半には増大し、どんどん愛すべきキャラクターになっていきます。長年にわたるSFエンターテイメント出演のせいで、本当の宇宙戦争に巻き込まれても、いちいちカッコつけて転がってからじゃないと銃を構えられません。実際に演じているのは【ティム・アレン】さん。

タウニー・マディソン少佐を演じるグエン・デマルコは、ドラマの中のプロテクター号メンバーでは唯一の女性です。それゆえにセクシー系担当であること、ドラマの中でコンピューターの指示を復唱するだけであることにウンザリしています。しかし、体に染みついた行動なので、本物の宇宙戦争に巻き込まれても、つい同じように復唱してしまいます。彼女が怒るとものすごーく怖いので、復唱にイラっときても、誰も再三文句を言うことができません。実際に演じるのが【シガニー・ウィーバー】さんなので、誰も逆らえないのは当然でしょう。

ドクター・ラザラスを演じるアレクサンダー・デーンは、知的な医師役ではありますが、トカゲ頭のエイリアンであり、いちいち「グラブザーのハンマーにかけて……」と決め台詞を言わされる役なのでウンザリしています。以前はシェイクスピア俳優だったこともあり、プライドの高さがより気分を落ち込ませています。でも、仕事を終えて家にいるのにトカゲ頭のままだったのはなぜだろう。 実際に演じているのは、1作目の『ダイハード(1988)』で悪役を演じ、『ハリー・ポッター』シリーズのセブルス・スネイプとしてよく知られる、実力派俳優の【アラン・リックマン】さん。とても残念なことに、2016年に亡くなられています。

技術主任チェンを演じるのはフレッド・クワンです。許容量が異常に大きく、宇宙人とか、宇宙に転送とか、危険が迫っているとか、タコと△〇%&$とか、ほとんどのことには全く動じません。でもなぜか、他者を転送するときだけは怖気づいていました。自分のことは恐れなくても、他人に影響が及ぶと恐怖を感じる、優しい男性なのです(かなりの変人だが)。ちなみに、多分これもギャグだと思いますが、全くそうは見えないが技術主任チェンは東洋人とのこと。実際に演じているのは、やはり実力派俳優の【トニー・シャルーブ】さん。

ラレド大尉って肩書きがなんだかすごいが、全盛期に演じていたのは子供のトニー・ウエバー。20年経ち、すっかり大人になっています。でもケガを負った際には、子供のように絶叫していました。一番若いので、やはり吸収力はダントツです。あるテクニックを完璧に習得して仲間を助けます。実際に演じていたのは【ダリル・ミッチェル】さん。実はミッチェルさん、2001年のオートバイ事故で下半身不随になってしまいました。米ドラマ『NCIS:ニューオーリンズ』にも出演しています。

“乗組員6”を演じているのは、ガイ・フリーグマン。いつもすぐ殺される役ばかりなので、ほとんど役名をもらったことがありません。イベントMCを務めながら、密かにプロテクター号のメンバーになることを願っています。なんだかよくわからない役柄ですが、演じているのが【サム・ロックウェル】さんなもんで、もったいないほど存在感があります。

なお、何度見ても笑ってしまう宇宙人サーミアンたちを実際に演じたのは、『ヴェロニカ・マーズ』シリーズでは主人公のパパ役でお馴染みの【エンリコ・コラントーニ】さんや【パトリック・ブリーン】さん、最近はドラマでよく悪女を演じる【ミッシー・パイル】さんに、【ジェド・リース】さんなど。

ちなみに、ファンの域を超えてもはや司令本部の技術担当状態だった少年少女らのリーダー、ブランドンを演じていたのは【ジャスティン・ロング】さんです。

【結論】

宇宙人サーミアンと、プロテクター号のメンバーが愛おしすぎて、またすぐ観たくなる、愛と友情と信頼と笑いの壮大なコント……、じゃなくて映画です。ぜひご賞味あれ。

ライター中山陽子でした。

 

ギャラクシー・クエスト(1999)

監督 ディーン・パリソット
出演者 ティム・アレン/シガニー・ウィーバー/アラン・リックマン/トニー・シャルーブ

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