【アップグレード】
相棒はAIチップだけどちょっと『ヴェノム』っぽいバイオレンスアクション・ホラー
絶望した男がAI搭載の超人に!?「アップグレード」
【あらすじ】
ちょっぴりヴェノムっぽい「アップグレード」
【レビュー】
アカデミー賞作品から『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなども手掛けるジェイソン・ブラム氏と、『ソウ』シリーズの脚本・出演などで知られるリー・ワネル氏がタッグを組んだ、全く新しいSFアクション――と言われていますが、脳内で話しかけられ超人になる部分や、ダーティなコメディ要素が『ヴェノム(2018)』っぽかったような気もします。
しかも、この作品で主役を演じたローガン・マーシャル=グリーンさんは、『ヴェノム』主演のトム・ハーディさんと似ているし。
とはいえ、相棒が地球外生命体だったヴェノムとは違い、こちらの相棒はAI(人工知能)チップ。もはや“殺されそうだ”ってときに「単独で動く許可を」と礼儀正しく尋ねるあたりは、いかにもAI的な面白さがあります。また、『ヴェノム』は最後までダーティな笑いで押し切りましたが、こちらは終盤に悲しさがにじみます。
個人的な好みでいえば面白おかしく終わるほうに一票ですが、「この動きは俺がやっているんじゃないよ~」といった表情をしながら、機械的な超絶アクションを見せてくれたローガン・マーシャル=グリーンさんはとてもよかったです。
【登場人物と出演者】
ローガン・マーシャル=グリーンさん演じるグレイ・トレイスは、全てがデジタル化した社会では珍しいアナログ自動車を扱うエンジニア。最愛の妻を奪った悪党たちに復讐するため、戸惑いながらもついつい強くて頭がいいAI君に身をゆだねてしまいます。
メラニー・バレイヨさん演じるアシャ・トレイスはグレイの美しい妻。謎の組織に襲われた際に殺されてしまいます。やたらにダーティな雰囲気の中で主人公らが仲睦まじいと、「あーあ、そのうち襲われるぞ」と、すぐに展開がわかってしまいますが、わかっても面白いので大丈夫です。
ベッティ・ガブリエルさん演じるジェーン・コルテスは、グレイを全身麻痺にした事件を担当する女性刑事。主人公目線だとやけにうっとうしいキャラクターでした。グレイを追い回すばかりで、もともとの事件はほとんど調べていなかったような。
ハリソン・ギルバートソンさん演じるエロンは、 STEMを開発した天才エンジニア。若いギルバートソンさんがさらに童顔なので、AIとの接続を断たれ「投げやりな感じで酒を飲んでいる姿」がビックリするほど似合いません。まあ、打ちひしがれていた真の理由はほかにあったのですが。
【結論】
「この動作オレはやってないからね」と他人事で機械的な超絶アクションが面白くて、ちょっぴり『ヴェノム』っぽい映画です。
ライター中山陽子でした。
アップグレード(2018)
監督 リー・ワネル
出演者 ローガン・マーシャル=グリーン/メラニー・バレイヨ/ベティ・ガブリエル/ ハリソン・ギルバートソン