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CINEMAバリQ

【フリーガイ】
ゲームをしない人でもおもしろい※ネタバレあり

自分が主役になる人生に目覚めたモブキャラ

【あらすじ】

サングラス族と呼ばれる連中がところかまわず銃をぶっ放し、強奪、暴力、破壊などやりたい放題の「フリー・シティ」には、毎日同じ会話と行動をする、とても温厚な(サングラスをしない)人々が暮らしていた。そのひとりである銀行員のガイは、ある女性に一目ぼれをしたことから人生が一転。初めて彼は日々の行動を自ら選択し、「生きている」という実感を楽しむことができた。しかし、じつはガイとその仲間たちはみな、ゲームの背景的な存在――いわゆるモブキャラだったのだ……。

デッドプールの100倍上品なライアン・レイノルズ

【レビュー】※ネタバレします!

やっぱりライアン君(ライアン・レイノルズ氏)はコメディとアクション満載の映画が似合う。そう思える作品でした。心が優しくてポジティブで、悪いことなんて絶対にできない真面目な普通の銀行員役、というのがまたいい。まあ実際は、ゲームのなかで成長する人工知能なんですけどね。

この映画を観るまで、「デッドプール」こそがライアン君のハマり役だと思っていましたが、個人的にはその100倍は上品なガイのほうが好みです。もちろん真面目キャラだけど、ジョニー巡査へのやったら声高な挨拶(やあジョニーィィーーーー)とか、会話の途中で何気に車上でお色気ポーズとか、好きな人にウットリする際のねずみ男みたいな顔とか、笑いへの闘魂はバッチリ燃やしまくっています。

ねっとりした踊りで絡んでくるチャニング・テイタムさんは、いささかやりすぎな印象があるものの、全体的には極悪人は出てこないし、恋愛関係もキス止まりで爽やか極まりないし、「いいことをする」「友情」「キュンとする恋」主体なので、とにかく安心して楽しめます。

マーベルファンにはたまらんオマケもあり。そして、ゲームをよく知らない人でも十分に楽しめますよ。第2弾も制作してくれないかなぁ~。

【登場人物と出演者】

我らがライアン・レイノルズさん演じるガイは、ゲームのなかのモブキャラ(その他大勢の名もなき人々)です。そして、死ぬほど真面目でいい人(しかもハンサム)。もともと成長可能なAIでしたが、その可能性が閉じられたまま、モブキャラとして迷うことなく同じ日々を過ごしていました。しかし、運命の女性と出会いついに成長を開始。ゲーム会社の連中に「なんだこのモブキャラっぽい、いいことばかりする凄腕のプレーヤーは!?」と目をつけられてしまいます。

ジョディ・カマーさん演じるミリーは、ガイが存在するゲーム「フリー・シティ」の“もと”の共同制作者。そしてガイの運命の女性です(それにはある理由が……)。人間として実在する彼女がガイと接することができるのは、ゲームのプレイヤー(モロトフ・ガール)としてのみ。最初は怖い女に見えるけど、実のところ頭がよくて優しくて、とても素敵な女性です。ちなみに、この映画ではマライア・キャリーさんのヒット曲『Fantasy』がよく流れていて、明るく心地のいい雰囲気をつくり出していますが、物語上ではこのミリーが大好きな歌ということになっています。

ネットフリックスの人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の頼れる兄貴、スティーブ役でもお馴染みの ジョー・キーリーさん演じるキーズは、「フリー・シティ」の“もと”の共同制作者のひとり。「フリー・シティ」は自分たちがつくったものだと主張し、証拠探しの協力を乞うミリーさんを蔑ろにしているかのように見えて、じつは一番の味方。やっぱりこの映画でも頼れる青年でした。

リル・レル・ハウリーさん(名前も明るい)演じるバディは、ガイの友人で「フリー・シティ」のモブキャラ。そして、やはり成長可能なAIのひとりです。明るくていい奴で、ものすごく前向きな男性。ある意味、哲学者でもあるのかも。そう思った理由は、この感動的なセリフからでした。自分がリアルな人間じゃないと嘆くガイに対し、(筆者のうろ覚えのまま「こうだったかな」という感じで書きます)「でもいま僕は、友人を心から心配している。これは自分にとってリアルなこと。これがリアルじゃないなら、僕にはリアルがわからない」という。うーん、バディ最高っす!

【結論】

やっぱりライアン・レイノルズ氏はコメディとアクション満載の映画が似合う。これに尽きるかも。タイカ・ワイティティ監督も、(声だけなら)デッドプールの永遠のライバルも、ブラックアダムのあの人も出ているよ!

ライター中山陽子でした。

フリー・ガイ(2021)

監督 ショーン・レヴィ
出演者 ライアン・レイノルズ/ジョディ・カマー/ジョー・キーリー/リル・レル・ハウリー