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CINEMAバリQ

今日の1本 鉄道員(ぽっぽや)(1999)DRQのレビュー

鉄道員(ぽっぽや)(1999)DRQのレビュー

男は仕事に生きるもの。
親の死に目にも立ち会えない仕事もある。

そう、分かっている。
分かっているけど、仕方ない。
悲しいけど仕方ない。
仕方ないでは済まないけど、仕方ない。

高倉健が演じる佐藤乙松はそういう男。
幌舞線の終点である、幌舞駅の駅長。
できること、知っていることは鉄道のことだけ。
生粋の鉄道員(ぽっぽや)。

愛する我が子の死に目に会えなかった。
躯となった我が子を乗せた汽車を迎えた乙松。
「あんた、そうやって、死んだ子まで旗振って迎えるんだね」
妻は言う。だが、その妻もやがて他界。

男は氷点下の土地で一人になった。
唯一残されたのは仕事。
だが、かつて炭鉱で5万人を数えた街も、いまでは200人足らずの片田舎。
そしてローカル線となった幌舞線を廃線にすると連絡が入る。
全てを失う乙松。
しかし奇跡は起こる。

お涙頂戴の安っぽいストーリーと笑う者もいるかもしれない。
だけど、人が死の間際に望むものはこういうことではないのか。
終盤、愛する者が作る鍋を食べながら、堰を切ったように涙を流す乙松。
演技とは思えないその自然さに、こちらの胸も熱くなる。

泣かせる映画ではない。人であれば泣いてしまう映画だ。

鉄道員(ぽっぽや) [DVD]

監督: 降旗康男
出演: 高倉健, 大竹しのぶ, 広末涼子, 吉岡秀隆, 安藤政信

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