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CINEMAバリQ

【ケーブルガイ】
J・キャリーがサイコを演じるブラック・コメディ

馴れ馴れしくて親切な配線工がサイコと化す「ケーブルガイ」

【あらすじ】

恋人と一緒に暮らしていた家を出て、一人暮らすことになったスティーブンは、ケーブルテレビを見ようと配線工(ケーブルガイ)を呼ぶ。しかし、待てど暮らせどケーブルガイはやってこない。しびれを切らしてシャワーを浴びていると、けたたましくドアを叩く音が聞こえてくる。すると、やってきたのは、風変わりで馴れ馴れしいケーブルガイだった。その彼に、タダで有料テレビを見る方法について問いかけたスティーブンは、思わぬ事態に巻き込まれ……。

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ベン・スティラー監督、ジム・キャリー主演の映画「ケーブルガイ」

【レビュー】

1996年に公開されたこの映画は、アメリカのコメディバラエティ番組「Saturday Night Live」出身であるベン・スティラーさんが監督した作品です。『ズーランダー(2001)』では、『2001年 宇宙の旅(1968)』のテーマ曲をバックにiMacをバコバコ叩きながら、一緒に原始人と化していた仲良しのオーウェン・ウィルソンさんもチョコッと出演しています。が、登場してすぐに悲惨な目に合っていました。

この映画の見どころは、いうまでもなくジム・キャリーさん演じる「ケーブルガイ」の奇怪さ。賢くて何でもできるが心の機微がわからず、思い込みが激しくて限度を知りません。配線を自由自在に扱えるという特有のスキルを武器に、人脈を広げ、他人の家に入り込み、通信までも確保してしまいます。いわゆるストーカーなのです。

文字にしてみると恐ろしい人物ですが、コメディということもあり、この映画で描かれているサイコパスはあまり怖くありません。それに、友達がいないんだか、たくさんいるんだか、自閉的傾向があるんだか、社交的なんだか、よくわからないのです。

とにかく、ジム・キャリーさんが、粘っこく、しつこく、奇妙に、グネグネしながら面白くしようと必死なので、ストーカー行為よりも、その部分に唖然とします。

【登場人物と出演者】

怪しくて粘っこいケーブルガイを演じるのは、この映画の2年前に『マスク(1994)』で世間をアッといわせたジム・キャリーさん。相変わらず「こいつ、一体何なんだ」といいたくなるようなキャラクターを演じています。

そのケーブルガイにつきまとわれるスティーヴンは、異常といわざるを得ないほど「お人好し」な抜け作です。演じたのは、『フェリスはある朝突然に(1986)』の主演や、SATCでキャリーを演じたサラ・ジェシカ・パーカーさんの夫として知られるマシュー・ブロデリックさん。

スティーヴンの恋人ロビンは、 非の打ちどころがないほど美しいレスリー・マンさんが演じています。ロビンは顔も心も美しいですが、スティーヴンや、彼の家族同様に、お人好しで騙されやすい女性です。ちなみに、当時のアメリカ女性は1993年の映画『めぐり逢えたら』にウットリしていたらしい。

スティーヴンの友人を『スクール・オブ・ロック(2003)』のジャック・ブラックさん、映画のなかのテレビでトップニュースになっている犯罪者は、監督でもあるベン・スティラーさんが演じています

【結論】

『マスク(1994)』は「粘っこくて面白い」けれど、この作品は面白さよりも「粘っこさ」が勝っています。ものすごく怖いわけでもないし、最後は何だか「いい話」にまとめちゃった挙句、ついでに「面白いだろ~? ジム・キャリーだぜ~」といった演出を見せられて、少しばかり食傷気味になりますが……、

おじいちゃんや、おばあちゃんが集まったホームパーティーのカラオケで、サイケデリック・ロックで知られるジェファーソン・エアプレインの、「Somebody To Love」を歌うジム・キャリーさんを拝めるのは、この映画だけです。

ライター中山陽子でした。

 

ケーブルガイ(1996)

監督 ベン・スティラー
出演者 ジム・キャリー/マシュー・ブロデリック/レスリー・マン/ジャック・ブラック

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