【ワイルド・ブレイブ】
強すぎる家族vs凶暴な武装集団の雪山バトル
ロッジで父と息子が見たものとは――「ワイルド・ブレイブ」
【あらすじ】
材木店を営み、家族4人で暮らすジョー・ブレイブンは、父リンデンの認知症が悪化していることに心を痛めていた。妻のすすめもあり、思い出が詰まった雪山のロッジへ行き、父とゆっくり話をすることに。その背景で、武装した麻薬密売人が不穏な動きを見せていた。その日、そこに訪れるはずではなかったブレイブン父子と、そこに行くはずがなかった武装集団、そして、そこにいるはずがなかった存在が、奥深い雪山のロッジで予測不可能な事態を引き起こす。
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なぜかやたら強い家族と武装集団の戦い――「ワイルド・ブレイブ」
【レビュー】
海中バトルで世界を賑わせているジェイソン・モモアさん主演の、雪山ファミリー(?)バトルです。厳しい自然のなかで生活しているせいか、年老いた父も、息子も、その妻も、幼い娘も、みーんな強いという部分がポイント。
とはいえ、『アクアマン(2019)』を見たあとは、あれ? モモアさん普通の人間だったんだ、という感じ。強いけれど、決して最強無敵ではないのです。バーの乱暴な客にでさえ、多少手こずっていました。そのほうが、真実味があっていいのかもしれませんが、「無敵なモモアさん」を見たい人には物足りないかもしれません。
「ブツをとってこい」という悪党が、なぜかジョーを見張らずに自由な時間を与えたり、最後の見せ所が「なぜそうなった」というような戦法だったり、「そこで終わりかよッ!」というラストシーンだったりと、家族があまりにも強すぎるという以外にも、ツッコミどころは満載です。
【登場人物と出演者】
材木店を父から受け継いだジョー・ブレイブンは、尊敬する父と、美しい妻、可愛い娘という3人の家族を心から愛する、ゴッツイがとても優しい男です。かつて最強? だった父に鍛えられ、厳しい自然の土地で育ったため、武装した麻薬の密売人相手でも怯みません。演じたのはジェイソン・モモアさん。娘や妻にじゃれているときは、大きくてかわいい熊さんみたいです。
そして、ちょっぴり間抜けな麻薬密売人たちをビビらせているボスのカッセンを演じたのは、ギャレット・ディラハントさん。クールな男前なので悪役も多い方ですが、個人的には『チョコレートドーナツ(2012)』で演じた温厚なポール・フラガー役の印象が強いため、あまり怖そうには見えませんでした。
そして、その全く逆がジョーの父親リンデンを演じたスティーヴン・ラングさん。『ドント・ブリーズ(2016)』で演じた「ムキムキでサイコな盲目の老人」という怖いイメージがあまりにも強すぎて、認知症を患う年老いた普通の父親には到底見えません。バーで見知らぬ女性を亡き妻と間違えるシーンでは、どうしてもサイコキラーが被害者を脅すシーンに見えて仕方がありませんでした。
まあ、実際、明らかに普通の老人ではなく、1人で全員倒しちゃうんじゃないかと思うほど強い姿も見せてくれましたが。もっともっと、色んな作品で見たい俳優さんです。
なお、強いのは父と息子だけではありません。そこに嫁いだステファニーも、なぜか異常に強い。最愛の子を守る母親は強いものだということは分かりますが、その範ちゅうを完全に超えてます。ボウガンやナイフで、悪党とガンガン闘うたくましい妻ステファニーを演じたのは、カウボーイハットをかぶったショートパンツの腹だしくびれ美女が、ロデオをしながら「ヒーハー!」いってる的な美しさのジル・ワグナーさん(ブラマヨさんの「ヒーハー!」ではない)。
おまけに、父ジョーにくすぐられてキャッキャいってた猛烈にかわいい娘、シャーロットちゃんも強い! 雪山に慣れているので、どう進み、どう対処していいのか、よーくわかっています。都会の子供があの雪山に置かれたら、すぐ泣き出して、携帯が通じないと絶望し、何もせずに命を危険にさらしてしまうでしょう。でも、シャーロットちゃんは、ものすごく冷静で適切な行動ができる子供なのです。って映画だからなんだが。
【結論】
もしろ、ただものではない家族に関わってしまった麻薬密売人のほうが、「やっちまたー」と後悔する映画です。
なお、監督は、『イコライザー』など数々の作品のスタントを手がけたリン・オエディングさん。リアリティのあるアクションシーンもお楽しみに。
ライター中山陽子でした。
ワイルド・ブレイブ(2017)
監督 リン・オーディング
出演者 ジェイソン・モモア/ギャレット・ディラハント/ジル・ワグナー/スティーブン・ラング