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CINEMAバリQ

【キャプテン・マーベル】
しこたま強いジェンダーレスなヒーロー・アクション

クリー人のエリート特殊部隊だが実は――「キャプテン・マーベル」

【あらすじ】

過去の記憶を失ったヴァースは、夜ごと現れる悪夢に悩んでいた。彼女は、クリー人のエリート特殊部隊“スターフォース”に所属し、リーダーのヨン・ロッグから厳しい教練を受けている。しかし、敵の罠にはまり、逃げ出すために応戦した結果、1995年の地球・ロサンゼルスのビデオショップに落ちてしまう事態に。そこで政府のエージェント、ニック・フューリーと出会う。そのとき既に、彼女を罠にはめた敵も地球に降り立ち……。

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とにかく冗談みたいに強いのなんのって――「キャプテン・マーベル」

【レビュー】

アベンジャーズが結成する前の1990年代を舞台にした、『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』シリーズ第21作品目です。初となる女性の単独ヒーロー作品で、作中の音楽も主に女性ボーカルバンドの曲が選ばれていた模様。

トップガン(1986)』を思わせる空軍パイロットたちの姿や、ボロボロのデニム、バンドTシャツ、着込んだ革ジャンといったグランジファッション。おまけに監督は、マーベル映画初の女性監督 アンナ・ボーデンさんと、ライアン・フレックさんのコンビとか。とにかく、90年代に青春を送った女性には、“たまらん”作品なのです。(筆者もまた然り)

なおかつ、DCコミックスの『ワンダーウーマン(2017)』で、ガル・ガドットさんが演じたエレガントな女性ヒーローとは違い、この作品の女性ヒーロー「キャプテン・マーベル」はとてもジェンダーレス。

ちょうどこの時代に生まれた「ライオット・ガール」を示していたのかもしれません。「ライオット・ガール」とは、フェミニズム思想を持つパンク・バンドが起こしたムーブメントのこと。女性の地位向上と性差別の払拭をカッコよく主張しました。

物語の、「女性パイロットはテスト飛行しかさせてもらえない」からの~「女性パイロット大活躍」への流れが、1990年代のムーブメントへの、2019年の答えというわけです。

ヴァース(キャプテン・マーベル)は、電車のなかを(なぜか)威張りながら、“のっしのっし”と歩いたり、顎を上げて(なぜか)威張りながら会話したりと、ちょっとしたガキ大将みたいでした。そこがまたいい。

そして、何といっても冗談みたいに強い。終盤は、ちょっとモヒカンみたいになって、見ようによってはシルク・ドゥ・ソレイユみたいでした。キャプテン・マーベルが頼もしいお陰で、『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』がますます楽しみになりましたよ。

♪~ポーケーベルがぁ、鳴らなくて~♪ の歌でお馴染みの、日本を騒めかせた不倫ドラマ『ポケベルが鳴らなくて』も1990年代。フューリーが作動させた、ポケベルの存在やいかに……。

【登場人物と出演者】

キャロル・ダンヴァースは、飾り気のない男勝りの空軍パイロット。意志力も戦闘能力も負けん気も人一倍強い、ジェンダーレスな女性です。

記憶を失ったヴァースは、クリー人のエリート特殊部隊“スターフォース”に所属する、勝気な兵士。

キャプテン・マーベルは、一応ホモ・サピエンスのはずですが、強すぎてもはや定義しにくい存在です。でも、DCコミックスの最強男スーパーマン的な存在だとしたら、彼女にもスーパーマンの「クリプトナイト」のように、最大の弱点があるのかも?

演じるのは『ルーム(2015)』でアカデミー主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンさん。最初はこのキャスティングを「えー?」と思っていたけれど、想像以上にハマり役でした。ずーっとあのジェンダーレスな、カッコよくて親しみもある、空軍パイロットの雰囲気を保っていてほしいものですが……。

そして、もちろんS.H.I.E.L.D.のニック・フューリー役は、サミュエル・L・ジャクソンさん。CGで25歳ほど無理やり若返らせています。同じく、まだ新人時代のフィル・コールソンを演じていたクラーク・グレッグさんも若返っています。ちょ、ちょっと不自然だったような……。でもマーベルファンは、この登場を心から喜んだでしょう。

ちなみに、この作品ではアイパッチのないフューリーを拝めます。

なお『アニマル・キングダム(2010)』のベン・メンデルソーンさんが演じているだけに、高い変身能力を持つスクラル人の将軍タロスは、やたらにいい味を出しています。個人的には、かなり好きなキャラクターかも。

そして、名前だけ聞くとなぜか『スター・ウォーズ』シリーズのヨーダを思い出しちゃうヨン・ロッグが、クリー人のくせに青くないのは、やはり演じたのが綺麗なお顔のジュード・ロウさんだからかしらと思ったら、そもそも青くないクリー人がいるようですね。エリート特殊部隊“スターフォース”のリーダーとして、強さとアクどさと、ちょっぴりお茶目さ(?)を見せてくれます。

また、タロス並みにいい味を出していたのが、猫のグースちゃん。フューリーが赤ちゃん言葉で溺愛っぷりを披露していますが……!?

【結論】

とにかくキャプテン・マーベルが強い。そして、意外にもキャロル・ダンヴァース(ヴァース)、キャプテン・マーベルは、ブリー・ラーソンさんのハマり役。『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)』が待ち遠しいです。

ライター中山陽子でした。

 

キャプテン・マーベル(2019)

監督 アンナ・ボーデン&ライアン・フレック
出演者 ブリー・ラーソン/サミュエル・L・ジャクソン/ベン・メンデルソーン/ジャイモン・フンスー

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