【ザ・プレデター】
デコボコチームの友情とお馴染みプレデターの新種が見れるSFホラー映画
最愛の息子が手にした装置はまさかの――「ザ・プレデター」
【あらすじ】
特殊部隊員の傭兵クインは、南米で任務の執行中に、宇宙船の墜落を目撃し、宇宙人ハンター・プレデターに遭遇する。その後、証拠のために入手したプレデターの装置を安全な場所に送るが、偶然手にした彼の息子がそれを起動させてしまう。息子に危険が迫るなか、クインはプレデターの存在を隠したい政府の隠ぺい工作に巻き込まれ……。
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最強プレデターvsデコボコチーム――「ザ・プレデター」
【レビュー】
見た目のエグさとは裏腹に、長く愛されている地球外生命体が大暴れするSFホラー映画、『プレデター』シリーズの第4作目です。
監督は1987年の『プレデター』1作目で、アラン・”ダッチ”・シェイファー少佐(アーノルド・シュワルツェネッガーさん)が率いる特殊部隊の通信兵、ホーキンスを演じたシェーン・ブラックさん。やたら大きな眼鏡が印象的な、今で言えば IT 担当のキャラクターといったところでしょうか。
物語としての時系列は『プレデター2(1990)』や『エイリアンVSプレデター(2004)』の後で、『プレデターズ(2010)』より前になります。とはいえ、制作順としては最新版なので、今回の作品には異種交配を経て進化したデカいプレデターが登場。微妙なサイズ感が映画『アバター』を連想させます(させないか)。
何にせよ、相変わらずエグくて残虐なのに、なぜか憎めない(?)プレデターはもちろんのこと、この映画の見どころは1作目を彷彿とさせる、デコボコチームの友情です。
完全にイカれているメンバーではありますが、基本的には元軍人さんなので戦闘能力は非常に高い。「こんな連中に銃を持たせたらダメでしょう」と思いきや、銃を持たせると物凄くまともになります(それも問題だと思うが)。しかも、思いのほかお人好しで友情に厚く、仲間のためなら命までも差し出します。軍人さんとしての気質を示しているのかもしれません。
それほど友情ストーリーを丁寧に描いているわけではないのに、役者さんらのいい演技もあって愛着がわき、ほんの少しジンとしてしまいました。虫みたいなプレデターの顔を見ると我に返るんですけどね。
なお、最後はちょっぴりアイアンマン的な印象です。評判が今三つなので何とも言えませんが、もしも次回作があるならば、いっそのこと最後の“アレ”を進化させてもいいんじゃないかと勝手に思います。もちろん、イカれた奴らの友情ストーリーも外せません!
【登場人物と出演者】
クイン・マッケナは、元特殊部隊の現傭兵。妻子と疎遠ではあるものの、深い愛情は持ち続けています。デコボコチームを牽引する、知的で強く正しい男ですが、ちょっと危険な香りのするイケメン俳優ボイド・ホルブルックさんが演じているので、どちらかというと魅惑的な悪役という感じ。主役なんだがいつ裏切るかハラハラしてしまいました(裏切りません)。
イカれチーム「ルーニーズ」のリーダー的存在であるネブラスカ・ウィリアムズは、元空軍特殊部隊の軍曹で、男前の代名詞。もちろん“やらかした”のでルーニーズメンバーなわけですが、この人物は至ってまともです。ただし、心に深い傷あり。そんなカッコ良すぎる仲間思いのキャラクターを演じたのは、『ムーンライト(2016)』の演技で高い評価を得た旬な俳優、トレヴァンテ・ローズさん。
クインの息子、ローリー・マッケナは、自閉症でサヴァン症候群の天才少年。自分の存在が、大好きなパパにとって迷惑なのでは? と感じている部分が切ない(でもパパはちゃんと息子を愛している)。演じるのは、やはり天才子役のジェイコブ・トレンブレイ君。『ルーム(2015)』では、キャプテン・マーベル――じゃなくて、ブリ―・ラーソンさん演じるジョイの子供を演じていました。
ケイシー・ブラケットは、プレデターの出現でラボに呼ばれた進化生物学者。演じているのがエキゾチックな顔立ちをしたナイスバディなオリヴィア・マンさんなので、『マジック・マイク(2012)』や『X-MEN』のサイロック役(これはコスチューム自体がセクシー)同様、今回もサービスシーンがあります。さすがのプレデターも「ワオ! ごちそうさま」という感じでしょうか。
ちょっと怪しい政府の組織を率いるウィル・トレーガーを演じたのは、ドラマ『THIS IS US』での演技が高く評価されたスターリング・K・ブラウンさん。『ブラックパンサー (2018)』ではグッジョブみたいな名前のウンジョブを演じていました。
イカれチーム「ルーニーズ」のムードメーカー(?)、コイルは、チームメンバー同様に戦争でトラウマを負った元海兵隊員。時おりPTSDの症状が出ると、不思議な友情を結んだバクスリーに慰められます。演じるのは、コメディアンとしても有名なキーガン=マイケル・キーさん。
湾岸戦争でコイルと同じ部隊だったバクスリーは、普段のイカれっぷりと、闘う際のまとも具合とのギャップが一番激しい人物です。途中まで、演じているのがトーマス・ジェーンさんだとわかりませんでした。恐らく世界中にほとんどいないと思いますが、いまだにトーマス・ジェーンさん版『パニッシャー』続編を待ち続けているのに……。待っている間に、もはや誰だかわからないくらい老けてしまった(涙)。でも、待っているよう。
武器に詳しいリンチは、車の運転も上手です。 演じるのはアルフィー・アレンさん。個人的には『ジョン・ウィック(2014)』でジョンに追われまくっていた憎々しいヴィゴの息子、ヨセフ・タラソフ役が印象的。同じように独特の雰囲気を醸し出していますが、今回は愛すべきキャラクターです。
バクスリーに負けず劣らず「完全アウト」レベルでイカれているネットルズは、他のメンバー同様に根はとてもいい奴。猛烈に怪しいのは、ほとんど最初だけでした。演じているアウグスト・アギレラさんは、こっちまで嬉しくなるくらいメイキングで屈託なく語っています。
なお、マッケナの妻エミリーを演じたのは、人気アクションドラマ『CHUCK/チャック』で美人スパイを演じているイヴォンヌ・ストラホフスキーさん。 元軍人の妻として機転をきかせていますが、彼女自身のアクションシーンがないのでちと残念です。
【結論】
正直なところ、内容はあまり「無いよう」なので、愛すべきクリーチャーのプレデターを(食事どき以外に)愛でて、社会に適応できない愛すべき集団「ルーニーズ」の友情を堪能するのがいいんじゃないかと思う映画です。天才ちびっこも活躍するよ!
ライター中山陽子でした。
ザ・プレデター(2018)
監督 シェーン・ブラック
出演者 ボイド・ホルブルック/トレヴァンテ・ローズ/ジェイコブ・トレンブレイ/キーガン=マイケル・キー